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欧州連合理事会、PFAS/ビスフェノール類を禁止する玩具の安全性に関する規則の最終妥協案を公表

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欧州連合理事会は、2025年6月11日付けで、COREPERによって承認された、「指令2009/48/ECを廃止する玩具の安全性に関する欧州議会及び理事会規則に関する提案」の欧州議会および理事会の合意に向けた最終的な妥協案を公表した。本稿では、化学物質に関わる本妥協案の「附属書II 個別の安全性に関する要件」の「Part III 化学的特性」の概要を紹介する。本妥協案では、現行の玩具の安全性に関する指令2009/48/EC(玩具安全性指令)では使用が禁止されていない「ペル/ポリフルオロアルキル物質(PFAS)」および「特定のビスフェノール類」が新たに追加されている。なお、玩具を欧州連合に上市する場合、本妥協案の「第5条 必須安全性要件」の第2項に定める「一般安全性要件」および附属書IIに定める「個別の安全性要件」を満たすことが必須である。

附属書II 個別の安全性に関する要件

Part III 化学的特性

  1. 規則(EC) No 1935/2004(食品接触材料・枠組み規則)
    通常または予見可能な使用条件下で、食品と接触する、または食品にその成分が移行すると合理的に予想される玩具またはその部品およびその包装は、規則(EC) No 1935/2004の要件に適合しなければならない。
  2. 規則(EC) No 1272/2008(CLP規則)
    玩具、玩具の構成部品、または玩具の微細構造部品中に存在する物質が、以下に示すCLP規則の附属書VIのPart 3の表3の調和化分類において、以下に示すカテゴリーの何れかである場合、当該物質は禁止される:
    a. 発がん性、生殖細胞変異原性または生殖毒性(CMR):カテゴリー1A、1Bまたは2;
    b.  人の健康に対する内分泌撹乱性:カテゴリー1または2;
    c. 特定標的臓器毒性の単回曝露または反復曝露の何れか:カテゴリー1;
    d. 気道感作性:カテゴリー1;
    e. 皮膚感作性物質:カテゴリー1A
  3. ペル/ポリフルオロアルキル物質(PFAS)
    玩具、玩具の構成部品、または玩具の微細構造部品に、PFASを意図的に使用することは禁止される。「PFAS」とは、完全にフッ素化されたメチル(CF3-)またはメチレン(-CF2-)炭素原子(水素/塩素/臭素/ヨウ素が結合していない)を少なくとも1つ含む物質である。
    なお、「規則(EC) No 1907/2006(REACH規則)」、または「規則(EU) 2019/1021(POPs規則)」に従って定めるPFASの使用に関する制限または禁止が優先される。
  4. ビスフェノール類
    玩具、玩具の構成部品、または玩具の微細構造部品中にビスフェノール類(合計10件)が存在することは禁止される。
  5. 規則(EC) No 1223/2009(化粧品規則)
    人形用遊戯化粧品などの化粧品玩具は、化粧品規則に定める組成要件及び表示要件に適合しなければならない。
  6. 規則(EU) 528/2012(殺生物性製品規則)
    玩具が、殺生物性製品規則の「第3条 定義」の「(a) 殺生物性製品」に定める定義に基づいて、殺生物性製品であるとみなされる限りにおいて殺生物機能を有すること、若しくは殺生物性製品規則の第3条の(a)に定義される様に、1種類以上の殺生物性製品で処理されているまたは意図的に配合されていることが禁止される。

Part III 化学的特性/付録

上記以外に「Part III 化学的特性」には「付録A. 特定の限度値の対象となる物質」、「付録B. 特定の表示要件の対象となる物質」、「付録C. 一般的に禁止の対象となる物質の許可される存在」および「付録D.  玩具中で禁止されるビスフェノール類」の合計4件の付録が規定されている。付録Dは、上記(4)の表中の物質である。

付録Aは、「移行限度が定められている物質(合計19件)」、「N-ニトロサミン類」、「限度値が定められている物質(合計14件)」および「香料アレルゲン(合計59件)」について規定されている。「限度値が定められている物質」について、現行の玩具安全性指令で定める物質にフェノール、スチレン、アクリロニトリル、ブタジエンおよび塩化ビニルの5件が新たに追加されている。

付録Cについて、現行の玩具安全性指令で定める物質はニッケルだけであるが、コバルトが新たに追加されている。

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2006年12月29日付け官報公布、2008年8月1日適用開始、「食品に接触することを意図する材料及び製品の適正製造規範に関する2006年12月22日付け欧州委員会規則(EC) No 2023/2006(欧州経済領域に関連する法文)」。
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