欧州連合(EU) 欧州連合(EU)の主要規制テーマ

EU PFAS規制

欧州連合において、「ペル/ポリフルオロアルキル化合物(以下、「PFAS」と省略する)」は「極めて難分解性の化学物質(very persistent chemicals)」であることから、政策や現行の規則/指令でPFASによる汚染から人の健康や環境を保護するための様々な法的措置が講じられている。

欧州グリーンディール政策

欧州委員会が2019年12月11日に公表した「欧州グリーンディール政策(A European Green Deal)」は持続可能な欧州経済に向けたロードマップである。その枠組みの中で、化学物質関連では、「毒性がない環境のためのゼロ汚染の野心(a zero-pollution ambition for a toxic free environment)」を達成するための「持続可能な化学物質戦略(Chemicals Strategy for Sustainability)」が2020年10月14日に公表された。
EU グリーンディール

また、「汚染ゼロ行動計画(Zero Pollution Action Plan)」については、「水、大気および土壌へのゼロ汚染行動計画(Zero pollution action plan for water, air and soil)」のロードマップの意見募集が2020年10月1日から同年10月29日までの期間で実施された。本計画の採択予定時期は、2021年度の第2四半期(2021年1月~2021年3月)である。

2020年3月11日に公表された「新循環経済行動計画(A new Circular Economy Action Plan)」の「4.2. 毒性のない環境での循環性の向上」に基づく規制についても着目していく必要がある。
EU 循環型経済政策(サーキュラー・エコノミー)

持続可能な化学物質戦略

上述の通り、欧州委員会は2020年10月14日に欧州グリーンディールの一環として、持続可能な化学物質戦略を公表した。

PFASに対する欧州委員会の実施事項については、持続可能な化学物質戦略の「2. 毒性がない環境に向けて:欧州連合の化学物質政策のための新しい長期ビジョン」の「2.2. 喫緊の環境および健康問題に対処するための欧州連合の法的枠組みの強化」の「2.2.3. 環境中の化学物質汚染ゼロを目指して」の「PFAS」に以下に示す内容で規定されている。

  • 泡消火薬剤並びにその他の用途において、全てのPFASをグループとして禁止し、社会的にエッセンシャルな用途に限って使用を認める
  • 水、持続可能な製品、食品、産業排出物および廃棄物に関する関連法規制に基づいて、グループアプローチでPFASに対処する
  • 関連する国際フォーラム(ストックホルム条約、ロッテルダム条約およびバーゼル条約および経済協力開発機構)および第三国との二国間政策対話を通じて、世界的な規模でPFAS問題に対処する
  • 環境および製品中のPFAS汚染を修復するための革新的な方法論を特定するために、欧州連合全体のアプローチを確立し、研究および革新プログラムに基づいて財政支援を提供する
  • ホライゾン・ヨーロッパに基づいて、PFASに代わる安全な革新のための研究および革新のための資金を提供する

欧州連合におけるPFASに関わる法規制

PFASの製造、上市、使用および廃棄を規制する主な法律として、REACH規則、POPs規則およびCLP規則がある。

REACH規則

高懸念物質(SVHC)リスト、認可対象物質、制限対象物質の対象にPFAS類がいくつか含まれている。2020年にも「ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)、その塩および関連物質」の制限提案に関する社会経済分析委員会の意見書が策定されるなど、化学物質戦略を背景に、今後ますます物質評価・規制化が進むと思われる。
EU REACH規則

POPs規則

欧州連合が国際条約のPOPs条約および「1979年残留性有機汚染物質に関する長距離越境大気汚染に関する条約」の議定書を履行する規則である。

REACH規則では規定されていない「放出の削減、最小化および排除(第6条/附属書III関係)」、「廃棄物管理(第7条/附属書IV関係)」および「モニタリング(第10条/附属書III関係)」などが規定されている。

例えば、「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)およびその誘導体」が附属書I(第3条/第1項:製造、上市および使用を禁止する物質)および附属書IV(第7条に定める廃棄物管理規定の対象物質リスト)に掲載されている。

CLP規則

本規則に従って危険有害性を有すると分類される物質や混合物は、欧州化学品庁(ECHA)に所定の情報を届出する義務がある。附属書VIは「有害物質の調和化された分類および表示のリスト」であり、REACH規則の制限物質や高懸念物質の提案の根拠となる。
EU CLP規則

その他

上記の3つの規則の他に、PFASの製造、輸入および使用を最小限に抑制するための規制措置として、「食品接触材料に関わる規則」、「化粧品に関わる規則」、「植物保護製剤に関わる規則」および「殺生物性製品に関わる規則(BPR)」が挙げられる。

また、今後、上述の持続可能な化学物質戦略における欧州委員会の実施事項の「水、持続可能な製品、食品、産業排出物および廃棄物に関する関連法規制に基づいて、グループアプローチでPFASに対処する」に基づいて以下が実施される。

  • 可能であればPFASをグループとして追加する環境質基準指令および地下水指令の附属書を見直し
    工業プラントからのPFASの排出および報告に対処するための、工業排出に関する法律および欧州
  • 汚染物質排出・移動登録制度の改正提案
  • 下水汚泥法改正を含む廃棄物段階からのPFAS排出量に対処するための提案

(最終更新:2021年1月9日)

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更新日 規制分野 記事タイトル(サンプルにつき一部の記事タイトルのみ掲載
2020年11月 化学物質 欧州連合(EU) 欧州化学品庁、REACH規則に基づくPFAS類の制限に関するウェビナーを開催
2020年11月 水質汚染・水資源管理 欧州連合(EU) EU理事会が飲料水指令改正案を承認、欧州議会の承認で成立へ、安心な水道水に
2020年9月 化学物質 欧州連合(EU) 欧州食品安全機関、食品中のペルフルオロアルキル物質に対する耐容週間摂取量を設定
2020年6月 化学物質 欧州連合(EU) 欧州化学品庁、社会経済分析委員会がPFHxSの制限提案を支持したことを公表
2020年5月 化学物質 欧州連合(EU) 欧州5ヵ国、PFAS類のREACH制限提案を共同で作成へ――意見募集開始

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化学物質 法規和訳 ECHA SCIPデータベースの詳細な情報要件・FAQ 2020年11月9日
法規和訳 EU REACH改正規則(EU) No 2020/878 SDS編纂要件を定める附属書IIの改正 2020年7月13日
法規和訳 殺生物性製品(BPR)改正規則(EU)No 334/2014 2014年5月14日
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法規和訳 EU改正殺生物性製品規則(EU)No 528/2012の「解説書―日本のアーティクル製造者の為の法規解釈」 2013年4月22日
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下表は欧州連合(EU)の化学物質規制情報に関する報告書の一覧です。

規制分野 規制テーマ(報告書の名称) 更新日
化学物質 EU PFAS規制 2021年1月9日
EU REACH規則 2020年7月4日
EU CLP規則 2020年7月4日
EU 殺生物性製品規則(BPR) 2018年12月1日
EU RoHS指令 2018年12月1日

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