
米国 TSCA PBT PIP(3:1)規制
PIP(3:1)について
「リン酸トリス(イソプロピルフェニル)(以下、PIP (3:1)と省略する)」は、3つのイソプロピルフェニル基を有するリン酸化合物である。
リン酸トリス(イソプロピルフェニル)(PIP(3:1))
Rx = H または CH(CH3)2 であり、3つの環すべてが少なくとも -CH(CH3)2基を有する。
PIP(3:1)の規制動向
PIP (3:1)は、有害物質規制法(TSCA)の「第6条(化学物質及び混合物の優先度、リスク評価並びに規制)」の「(h)項(難分解性、生体蓄積性及び毒性を有する化学品)」に基づいて、連邦規則集(CFR)の40 CFR §751.407に規定されており、2024年10月31日以降の加工および商業的流通が禁止されている(米国 TSCA PBT5物質)。
PIP (3:1)の流れについて下表に示す。(2024年10月時点まで)
2021年9月 | 「成形品中に使用するためのPIP (3:1)」及び「PIP (3:1)を含有する成形品」に関する最終規則(ウェブ掲載版/連邦官報掲載前版)を公表 |
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「PIP (3:1)を含有する成形品およびそれらの成形品を製造するために使用されるPIP (3:1)の加工および商業的流通に適用される遵守期日」および「当該成形品の製造者、加工業者および流通業者に適用される記録保管要件の遵守期日」を2021年3月8日から2022年3月8日に延長する最終規則を公布および発効* * 2021年9月17日付け連邦官報(86 FR 51823) |
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2021年10月 | 「成形品中に使用するためのPIP (3:1)」及び「PIP (3:1)を含有する成形品」に関する遵守期日を再延長する規則を公表 |
「PIP (3:1)を含有する成形品およびそれらの成形品を製造するために使用されるPIP (3:1)の加工および商業的流通に適用される遵守期日」および「当該成形品の製造者、加工業者および流通業者に適用される記録保管要件の遵守期日」を2022年3月8日から2024年10月31日まで延長することを提案する規則を公表 | |
PIP (3:1)を含有する成形品の遵守期日の再延長に関する提案規則の意見公募を開始 2021年12月27日まで意見公募 |
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2023年11月 | 米国EPA、PBT規則のPIP (3:1)/decaBDEの規定を改正する提案規則の意見公募を開始: 「PIP (3:1)」に関する禁止や適用除外、記録保管に関して2024年1月8日まで意見公募。 |
米国EPA、PBT規則のPIP (3:1)/decaBDEの規定を改正する提案規則の意見公募を開始(2023年11月)
米国環境保護庁(EPA)は、2023年11月24日付け連邦官報(88 FR 82287)で、連邦規則の「40 CFR Part 751 有害物質規制法の第6条に基づくある化学物質及び混合物の規則」の「Subpart E 難分解性、生体蓄積性及び毒性を有する化学物質(以下、「PBT規則」と省略する)」の「§751.403 定義」、「§751.405 DecaBDE」および「§751.407 PIP (3:1)」を改正する提案規則を公表し、意見公募を開始した。意見提出期限は2024年1月8日である(注釈:意見公募期間は45日間である)。なお、EPAは、「§751.409 2,4,6-TTBP」、「§751.411 PCTP」および「§751.413 HCBD」の合計3物質の改正は提案していない。
米国EPA、PIP(3:1)の遵守期日を更に延長する最終規則を公布(2022年3月)
米国環境保護庁(EPA)は、2022年3月8日付け連邦官報(87 FR 12875)で、有害物質規制法(TSCA)の「第6条(化学物質及び混合物の優先度、リスク評価並びに規制)」の「(h)項(難分解性、生体蓄積性及び毒性を有する化学品)」に基づいて制定された40 CFR Part 751の§751.407の「リン酸トリス(イソプロピルフェニル)(以下、「PIP (3:1)」と省略する)を含有する成形品」および「当該成形品を製造するために使用されるPIP (3:1)」の加工および商業的流通に適用される遵守期日(compliance date)」および「当該成形品の製造者、加工業者および流通業者に適用される記録保管要件の遵守期日」を「2022年3月8日」から「2024年10月31日」に更に延長する最終規則を公布および発効した。また、当該延長に伴って、§751.407の「(e) 川下通知」の安全データシート(SDS)およびラベルに記載する強制的な文言を修正している。
EPA、PIP(3:1)を含有する成形品の遵守期日を2024年10月31日に再延長へ(2021年10月)
米国の環境保護庁(EPA)は、2021年10月21日に「リン酸トリス(イソプロピルフェニル)(PIP (3:1))」を含有する成形品の加工および商業的流通並びに当該成形品を製造するために使用されるPIP (3:1)に適用される遵守期日を、PIP (3:1)を含有する成形品の製造者、加工業者および流通業者への関連する記録の保管要件と共に、2024年10月31日まで延長することを提案する規則を公表した。
EPAは、何れかの産業部門が「2024年10月31日」を超える遵守期日が必要であると考える場合、連邦官報掲載前のウェブ掲載版の「III 当該提案規則の規定」の「B. 更なる遵守期日の提案について」で、更なる遵守期日の延長を立証する以下に示す具体的な情報および証拠書類を提供する意見を求めた:
- サプライチェーン全体の成形品中のPIP (3:1)の具体的な用途;
- 検査された代替品の詳細および更新が必要となる具体的な認証を含む、当該用途のための代替品を特定、検査および認証取得するために必要とされる具体的な手順;
- 代替品を特定、検査および認証取得するために必要とされる期間の推定値およびその証拠書類;および
- 当該機器の実証された耐用年数および交換部品の保証について適用されるあらゆる規制要件の特定を含む、交換部品の具体的な必要性(need)の証拠書類
また、EPAは、「当該情報が遵守期日の延長を評価する際に使用することに対して適切な種類の情報であるか否か」および「適用すべきその他の考慮事項があるか否か」に関する意見を要請した。
EPA、PIP(3:1)の遵守期日を延長する最終規則を公布および発効(2021年9月)
米国では2021年6月に、有害物質規制法(TSCA)の第6条(h)項に基づいて、PIP(3:1)を含む5種類の難分解性、生体蓄積性および毒性(PBT)を有する化学物質、および当該化学物質を含有する製品と成形品の製造、加工および商業的流通を禁止・制限する最終規則が公表されました。本規則は2月5日に施行され、PIP(3:1)およびPIP (3:1)含有製品/成形品は3月8日より適用が開始される予定であった。
しかし、環境保護庁(EPA)は、2021年9月17日付け連邦官報において、有害物質規制法(TSCA)の第6条(h)項(難分解性、生体蓄積性及び毒性を有する化学品)にもとづき、「PIP(3:1)を含有する成形品およびそれらの成形品を製造するために使用されるPIP(3:1)の加工および商業的流通に適用される遵守期日」ならびに「当該成形品の製造者、加工業者および流通業者に適用される記録保管要件の遵守期日」を2021年3月8日から2022年3月8日に延長する最終規則を公布した(同日、発効)。
今回の改正では、連邦規則集(CFR)の40 CFR Part 751の「§751.407 PIP (3:1)」を以下のように改正している。
- (a)項「禁止」(2)「PIP(3:1)及びPIP(3:1)を含有する製品及び成形品の特定用途の段階的禁止」に(iii)を追加する
(iii) 2022年3月8日以降、当該セクションの(a)項の(2)(ii)及び(b)項で規定されている場合を除いて、全ての者は、「成形品中に使用するためのPIP(3:1)」及び「PIP(3:1)を含有する成形品」の全ての加工及び商業的流通が禁止される。 - (d)項「記録保管」の(4)を改正する
(4) 当該セクションの(d)項の(1)の記録保管要件は、本セクションの(b)項の(1)(vi)及び(vii)に記述された活動には適用されない。また、当該セクションの(d)項の記録保管要件は、2022年3月8日まで「PIP (3:1)を含有する成形品」に適用しない。
また、EPAは、連邦官報(86 FR 51823)の「III. 当該最終規則の規定」の「B. 遵守期日の延長」で、当該最終規則に加えて、「特定のPIP(3:1)を含有する成形品」と「それらの成形品を製造するために使用されるPIP(3:1)」に対する追加の遵守期限の延長の必要性について利害関係者が意見を提出する機会を提供するために、近日中に別の「提案規則作成公示(NPRM)」を発布する計画であることも明らかにしている。
当時、EPAは、まだ、影響を受ける産業部門が2021年1月の最終規則における禁止事項を遵守するために最終的に必要とされる期間を決定するための十分な情報を得ていないため、当該追加の意見を求めるとしていた。
なお、EPAが、2021年9月3日に公表した「EPA Announces Plan for New Rulemaking on PBT Chemicals, Extends Existing Compliance Date to Protect Supply Chains」によると、EPAは、業界の意見提出者が、「サプライチェーン全体における成形品中の PIP (3:1)の具体的な用途の証拠書類」、「それらの用途の代替品を特定、試験、および適合させるために講じられた具体的なステップの証拠書類」、「更新を必要とする特定の認証の証拠書類」および「必要とされる時間の推定値」を提供することを期待しており、意見提出者からこれらの「より具体的な情報」が得られなければ、遵守期日を再度延長することはないだろうとしていた。したがって、今回の最終規則発行による遵守期日の再延長にあたり、利害関係者から十分な具体性を伴った情報が提出されたものと考えられる。
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![]() 米ニューハンプシャー州で2024年8月2日、PFASを添加されたカーペットまたはラグ、化粧品など、8種類の消費者向け製品の販売と流通を2027年より禁止する法案(HB 1649)が、州知事の承認の署名により法律として成立した。 |
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2023年12月4日 | |
![]() NY州は15.5平方インチ以上の住宅用電子ディスプレイの筐体やスタンドにおける難燃剤の使用を禁止する米国で初めての州となり、2021年3月より同じ内容の禁止を実施しているEUを追いかけるものとなりました。 |
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2021年10月29日 | |
![]() 2021年10月21日公表。当該提案規則については、連邦官報への掲載日から60日間の意見公募が実施される。 |
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2020年6月1日 | |
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2019年8月1日 |