米国EPA、TRI報告対象のPFASに関して報告義務を強化する最終規則を公布
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米国環境保護庁(EPA)は、2023年10月31日付け連邦官報(88 FR 74360)で、「2020会計年度国防権限法(FY2020 NDAA)」に基づいて、「緊急対処計画および地域住民の知る権利法(EPCRA)」の第313条(有害化学物質排出目録)および「汚染防止法(PPA)」の第6607条(発生源の削減およびリサイクルデータ収集)に基づく報告の対象となる「有害化学物質排出目録(TRI:Toxics Release Inventory)」に掲載されているすべてのPFASを「特に懸念がある化学物質(40 CFR §372.28にリストされている)」に追加し、すべての「特に懸念がある化学物質」について、供給者届出要件(40 CFR §372.45)に関するデ・ミニミス免除の利用可能性を撤廃する最終規則を発表した。
当該最終規則の発効日は2023年11月30日で、2024年1月1日からはじまる報告年(報告期日:2025年7月1日)から適用される。
デ・ミニミス免除およびフォームA
これまでは、TRIに報告する施設が輸入、加工、またはその他の方法で使用する混合物やその他の商標製品中にTRIリスト掲載化学物質が含有していても、その濃度が1%(発がん性物質については0.1%)未満であれば、閾値計算および放出やその他の廃棄物管理の決定を行う際に無視することを許可するデ・ミニミス免除が存在した。これは相対的な濃度に基づくため、供給者がデ・ミニミス免除に依存した場合、報告施設によっては相当量の「特に懸念がある化学物質」が見落とされる可能性がある。また、TRI報告の閾値を満たさない施設に対して、当該化学物質の年間報告可能量の合計が500ポンドを超えず、かつその製造、加工、その他の使用量が100万ポンドを超えないことを条件に、簡易な報告フォームで証明する選択肢、フォーム A(代替閾値証明書)も存在した。
最終規則の概要
上記でも記載したように、最終規則は以下の2点を決定するものである。
- TRIの報告対象となるすべてのPFASを「特に懸念がある化学物質」に追加
- すべての「特に懸念がある化学物質」について、供給者届出要件(40 CFR §372.45)に関するデ・ミニミス免除の利用可能性を撤廃
TRIの報告対象となるPFASは、既に100ポンドという報告閾値が設定されているが、「特に懸念がある化学物質」に追加されると、他の「特に懸念がある化学物質」と同様の報告要件となる。デ・ミニミス免除が利用不可になることに加え、フォームAの使用オプションがなくなり、より具体的な情報を把握できる範囲報告の利用が制限される。これにより、PFASの排出量および廃棄物管理量のより完全な把握が可能となる。
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