国際、その他の国・地域の主要規制テーマ

ビスフェノールS(BPS)規制動向

ビスフェノールS(BPS)について

ビスフェノールS(BPS:Bisphenol S)

BPSは、ビスフェノールA(BPA)の代替物質として知られている。

BPSの用途

速乾性エポキシ接着剤の硬化および腐食防止剤、ポリマー反応の反応物質として使用される。

健康・環境への有害性

欧州連合・CLP規則

「附属書VI 特定の有害物質の調和化された分類及び表示」のPart 3の表3に掲載されているBPSの調和化された分類を下表に示す。

ハザードクラス 調和化された分類
生殖毒性 カテゴリー1B
H360FD:生殖能への悪影響のおそれ。胎児への悪影響のおそれ

また、ベルギーによる「内分泌撹乱性評価」で、BPSは、「人の健康および環境に対して内分泌撹乱性あり」と結論づけられている。

国際条約における規制動向

ストックホルム条約

残留性有機汚染物質として提案されていない。

EU(欧州連合)における規制動向

REACH規則

日付 動向
2023年8月 欧州化学品庁、「ドイツがビスフェノール類の制限提案を一時的に撤回したこと」を公表
欧州化学品庁(ECHA)は、2023年8月30日付けECHA Weeklyで、ドイツが「規則(EC) No 1907/2006(REACH規則)」に基づいて提案している「4,4′-イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)および環境に対して同様な懸念を有するビスフェノール類(4,4’-isopropylidenediphenol (Bisphenol A) and bisphenols of similar concern for the environment)」の制限提案を一時的に撤回したことを公表した。当該制限提案については、2022年12月21日から2023年6月22日までの期間で公開協議が実施されていた。
2022年12月 欧州化学品庁、ビスフェノール類のREACH規則に基づく制限提案の公開協議を開始
欧州化学品庁(ECHA)は、2022年12月21日付けECHA Weeklyで、ドイツが提案している「4,4′-イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)および環境に対して同様な懸念を有するビスフェノール類(4,4’-isopropylidenediphenol (Bisphenol A) and bisphenols of similar concern for the environment)」の「規則(EC) No 1907/2006(REACH規則)」に基づく制限提案に関する公開協議を2022年12月21日から開始したことを公表した。意見提出期限は2023年6月22日である。なお、ECHAが、2022年11月9日付けECHA Weeklyで、ドイツの制限提案書が利用可能であると通知した「pre-publication」版の一部が訂正されていることに留意する必要がある。

米国における規制動向

有害物質規制法(TSCA)

規制動向なし。

各州規制

日付 動向
2024年8月 米加州議会、哺乳瓶などが含有する「あらゆるフォームのビスフェノール」を規制する法案を可決
米カリフォルニア州で、主に3歳以下の子どもの食事に使用するボトルやカップが含有するビスフェノールA(BPA)を規制する法律を改正し、規制の対象を「12歳未満の子どもの食事に使用するフィーディング製品またはおしゃぶりもしくは歯固め製品が含有するビスフェノール類」へと拡大する法案(SB 1266)が、2024年8月30日に州議会を通過した。この法案は同州のニューサム知事へ回付され、2024年9月30日を期限として、承認か否かの判断を受ける。米国では2012年、連邦食品医薬品局(FDA)が哺乳瓶とシッピーカップへのBPAの使用を禁止したが、SB 1266の起草者は、「製造者はこれらの製品からBPAを除去したが、BPAを置き換えるため、より有害であることが判明している代替化学物質――ビスフェノールS(BPS)やビスフェノールF(BPF)など――の使用にシフトした」と指摘し、このことによって子どもや親たちにもたらされる深刻な健康上の懸念に対処する必要性を訴えていた。

 

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2023年10月17日
世界環境法規制ウェビナー2022(終了)
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2022年10月6日
無料ウェビナー ESG & コロナ時代の海外環境コンプライアンスを考える(終了) 2020年12月17日
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2025年1月10日
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2024年12月13日
プラスチック添加剤規制 最新動向報告ウェビナー/解説レポート(オンデマンド配信)
国際、欧州、北米、アジアの製造/輸出入/使用の禁止・制限が進められている化学物質について規制別/添加剤別・規制状況を報告・解説します。
2023年7月21日
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2022年11月25日

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関連製品

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国際、その他の国・地域の環境法・環境規制動向

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2022年6月18日
報告書 PFAS規制解説レポート
欧米のPFAS規制対応のための情報源としてご活用ください。各PFASの規制内容については、解説に必要な範囲で原文および和訳の対照表(必要に応じて草案を含む)を記載。
2021年10月11日
法規和訳 サウジアラビア版RoHS 電気・電子機器等における有害物質の制限に関する技術規則
本規則の内容は、2020年11月26日にWTO-TBT通報した規則案および2018年3月28日にGCCがWTOに届けたGCCの規則案と異なる点が見受けられる。
2021年7月29日
法規和訳 GCC GSO技術規則案 電気・電子機器への特定有害物質の使用の制限 2018年8月29日
法規和訳 UAE RoHS規則及び規則実施ガイドラインver.2.0 2018年1月10日

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海外環境規制トレンド・レポート

下表は国際、その他の国・地域の化学物質規制情報に関する報告書の一覧です。

規制分野 規制テーマ(報告書の名称)
化学物質 デカブロモジフェニルエーテル(DecaBDE)規制動向
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)規制動向
ビスフェノールB(BPB)規制動向
ビスフェノールF(BPF)規制動向
ビスフェノールS(BPS)規制動向
ビスフェノールAF(BPAF)規制動向
EEA-NH4 規制動向
ADONA 規制動向
GenX(HFPOダイマー酸およびそのアンモニウム塩)規制動向
ペンタクロロフェノール(PCP)規制状況
PVC(ポリ塩化ビニル)規制動向
ビスフェノールA(BPA)規制動向
中鎖塩素化パラフィン(MCCPs)規制動向
UV-328 規制動向
デクロランプラス(DP)規制動向
バーゼル条約
水銀規制・水俣条約
PIC条約(ロッテルダム条約)
POPs条約(ストックホルム条約)
PFHxS 規制動向
PFOA(ペルフルオロオクタン酸)規制動向
PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)規制動向
PFHxA(ペルフルオロヘキサン酸)その塩および関連物質

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個別調査・海外現地調査

コラム・無料記事

国際、その他の国・地域に関連するコラム・無料記事(不定期更新)の一覧です。

規制テーマ コラム・無料記事 更新日
化学物質 POPs条約のデクロランプラス/UV-328に関する「附属書A 廃絶」の改正を通報
通報日である2024年2月26日から1年を経過した時点で発効する。
2024年4月10日
各国のペンタクロロフェノール(PCP)規制状況
主に農薬や殺虫剤関連の法令のなかでPCPは規制されていますが、工業用化学品に関する規制においてもPCPは対象物質に挙げられています。各国におけるPCPの製造、輸入、使用などに関わる規制の一例をまとめましたのでご参考ください。
2023年7月31日
米マクドナルド、食品包装におけるPFAS使用を全世界で禁止へ
PFASへの対策はいま世界中で議論されており、企業による取り組みとともに、欧米を中心とした規制化が進んでおります。
2021年3月10日
日米欧の化学物質規制 1年間の注目動向
日本、米国、欧州連合(EU)の化学物質規制の1年間と今後注視すべき規制要件を概説。世界環境法規制ウェビナー(10月開催)に向けた特別コラムです。
2020年9月14日
海外のGHS・MSDSの制定状況~オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・ブラジル 2009年9月3日