プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)
2022年2月28日から3月2日までケニアのナイロビにある国連環境計画(UNEP)本部で開催された第5回国連環境総会の2部(UNAE-5.2)において、175カ国の代表によってプラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書を2024年中に策定する決議5/14が採択され、2022年に国際文書策定のための政府間交渉委員会(INC)を設置することが決定された。
国際文書策定に向けたこれまでの動きは下記の通り。(随時更新)
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第1回政府間交渉委員会(INC-1)
期間:2022年11月28日から12月2日
場所:ウルグアイのプンタ・デル・エステ
概要:
- 議長が選出され、交渉が正式に開始
- INCは会期中に多数の提案を受け取った。
- 第2回政府間交渉委員会(INC-2)に先立ち、プラスチックの全ライフサイクルに対応する包括的なアプローチに基づいて国際文書の構成要素に関する選択肢を概説する文書の作成をINC事務局に要請した。
第2回政府間交渉委員会(INC-2)
期間:2023年5月29日から6月2日
場所:フランスのパリにある国連教育科学文化機関(UNESCO)本部
概要:
- 会期初日、ジョージア、エストニア、スウェーデン、米国が事務局として選出された。
- 各国がプラスチックの環境への流出の防止、人の健康への悪影響の防止等を条約の目的に掲げ、目標達成期限を設定することに対して支持を表明する意見が出た。
- 135カ国が、政府が行動を選択できる任意の協定ではなく、すべての国に平等に適用される拘束力のある国際文書を求めている。
- 94カ国が、問題のあるプラスチックポリマーや懸念のある化学物質、リスクの高いプラスチック製品の使用禁止や段階的廃止および削減を求める意見を出している。日本を含む各国からは、プラスチックの回収、再利用およびリサイクル促進などの重要性について意見が出された。
- 議論の結果、INC-3の開催までに事務局の支援のもとで国際文書のゼロ・ドラフトを作成することがINC議長に委任され、会期間中の作業の特定や、INC-3の前に事務局が作成した統合報告書に関する議論を行う準備会合を1日開催すること等が決定。
ゼロ・ドラフト(草案)
ゼロ・ドラフトは、2023年9月4日、第3回政府間交渉委員会(INC-3)のプレセッション文書として公表された。INC-1およびINC-2における各国の意見を踏まえ、一次ポリマー、懸念のある化学物質およびポリマー、製品の設計および性能、拡大生産者責任、廃棄物管理等について、規制や締約国が講じるべき措置の選択肢が記されている。
第3回政府間交渉委員会(INC-3)
期間:2023年11月13日から11月19日
場所:ケニアのナイロビにある国連環境計画(UNEP)本部
概要:
- 2023年9月4日に公表された国際文書のゼロ・ドラフトをベースに進められた。
- プラスチック、石油化学、化石燃料産業を代表するロビイストと一部の国の反対により、会期中の作業に関する合意は得られなかった。
- 議論の結果、各国の提案が全て盛り込まれたゼロ・ドラフトの改定版が作成された。改訂版は、第4回政府間交渉委員会(INC-4)での議論のベースとなる。
第4回政府間交渉委員会(INC-4)
期間:2024年4月23日から4月29日
場所:カナダのオタワ
概要:
- 問題のあるプラスチック製品や化学物質の禁止および段階的廃止、拡大生産者責任制度の策定、製品設計要件、国際文書実施のための資金などに関しては各国の意見が整合した。
- 一次プラスチックポリマーの生産削減の必要性については議論されず、プラスチック汚染の川上対策に関しては会合期間中の作業から除外されることとなり、抽出または生産削減対策を国際文書に含めることが困難となった。
- ペルーとルワンダは、2040年までに世界の一次プラスチックポリマー使用量を2025年比で40%削減することを目標とする会合期間中の作業に関する提案を提示し、マラウイ、フィリピン、フィジーなど多数の代表が強く支持した。
- 最終日の2024年4月29日には、オーストラリア、スウェーデン、フランス、フィリピンを始めとする28カ国が、以下を宣言する、「Bridge to Busan(釜山への架け橋)」宣言に署名した。
今後の予定
INCは2024年末までに作業を完了し、INCの交渉が終了した後の2025年半ばには、国際文書の採択と署名のために外交会議を開催する予定である。
会合 | 期間 | 場所 |
---|---|---|
INC-5 | 2024年11月25日~12月1日 | 韓国・釜山 |
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