メカニカルリサイクルの各国動向
メカニカルリサイクルとは、収集、選別、破砕および粉砕、洗浄および乾燥、再粉砕、コンパウンド加工などの機械的処理によってプラスチック廃棄物を回収するプロセスである。材料の化学構造を変えないため、ポリマー材料の複数回の再利用/再リサイクルを可能にし、クローズドループを形成する。
処理工程は廃棄物の組成によって異なる。適切な処理を行うために、異なる順序を踏んだり、複数回行ったりすることもある。
ヨーロッパでは最も広く採用されている、一次(産業)および二次(消費者使用後)プラスチック廃棄物を処理するリサイクルプロセスであり、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む材料回収のために確立されている。
プラスチックのリサイクル
廃プラスチックのリサイクルについては、大きく3つの手法がある。
メカニカルリサイクルの利点
メカニカルリサイクルの利点は、以下の通り。
- 埋立処分する廃棄物の削減
- バージンポリマーの生産に使用される資源の削減
- プラスチック汚染とそれに伴う環境影響の削減
- 温室効果ガスの排出削減
メカニカルリサイクル可能なポリマーの種類
すべての使用済み熱可塑性プラスチックは、メカニカルリサイクルが可能である。リサイクルするためには、プラスチックは材料の種類によって選別されなければならない。選別技術には以下のようなものがある。
- 浮沈選別
- 浮遊選鉱
- 近赤外選別
- 蛍光X線選別
- レーザーによる識別
フランスの動向
フランス議会科学技術選択評価局(OPECST)は2023年6月29日、プラスチックのリサイクルに関する評価書を採択した。OPECSTは、リサイクルだけではプラスチックの循環型経済を確立することはできないとの認識から、廃プラスチック発生量を抑制することをより重視している。当該評価書Note n°39「プラスチックのリサイクル」において、「リサイクルだけでは、プラスチックの循環型経済を確立することはできず、プラスチック産業が2050年までに炭素中立を達成することもできない」との見解を示している。
報告者は、同評価書において、「どのような技術を用いてもリサイクルには技術的・衛生的・制度的な限界がある。熱可塑性プラスチックは非混和性であり、メカニカルリサイクルではポリマー特性の劣化が著しい。現状では、リサイクルは廃棄物の発生を“緩和”する役割しか果たせていない。」という所見を提示している。
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