
EU ELV指令(廃自動車指令)
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ELV指令改正
欧州委員会は2020年10月22日、「廃自動車(ELV)指令」の改正を検討するための作業を開始した。このためのロードマップを示す開始影響評価書を公表し、11月19日までこれに対するフィードバックを受け付けた。
ELV指令は当初の目的を概ね達成しているが、年間約400万台発生していると見られる「行方不明車両(missing vehicles)」の問題が残っている。
2000年に採用された同指令には、その後の自動車製造における進歩(ブラスチック、電子機器、重要原材料(CRM)、炭素繊維といった新素材の使用の増加やEV市場の展開など)に伴う様々な課題に対処するためのアップデートが、完全には施されていない。
同指令の適用範囲からは、多くの車種が除外されている(特にトラックと二輪車)。
「欧州グリーンディール(European Green Deal)」や「循環型経済行動計画(Circular Economy Action Plan)」の目的との整合性を高めなければならない。特に、以下の項目についての検討が必要である。
- 廃棄物対策:これには自動車のリユース、修理、リマニファクチャリング、リサイクルを容易にするためのエコデザイン(環境配慮設計)が含まれる。
- リサイクルとリユースを促進する可能性や、高度リサイクル向けの公平な競争の場を確保する可能性(現在、EU域内でこの点で格差が生じている)
- EU全体で部品再利用やELVの高度リサイクルを促進するための具体的な措置の推進
- 新車製造における再生材利用
- ELV管理コスト負担における自動車製造者の役割:本格的な「拡大生産者責任(EPR)」のスキームに則り、EUで上市された商品の使用済み段階について製造者がより高い財政的責任を負っている部門がある。それらの部門と比較すると、自動車製造者の役割は、今のところ限定的なものである。
- 他のEU法規との一貫性(例:廃棄物枠組み指令、電池指令、RoHS、REACH、自動車型式認証及び登録に関するEU法規など)
- 全ELVの回収と適性処理を確保すべく条項を修正し、その施行を改善する:特に、車両の登録/登録抹消およびELV輸出やATF(authorised treatment facilities、認可処理施設)の検査に関わるEU加盟国間の協力強化を通して。
なお、欧州委員会は、ELV「指令(Directive)」を「規則(Regulation)」に置き換えるべきかどうかについても検討するとしている。
基本情報・概要
欧州連合(EU)内では、年間800万~900万台の廃自動車(ELV:End of Life Vehicle)が発生している。これらを正規に、かつ環境適合的に処理するための法的基盤が、「廃自動車に関する2000年9月18日付欧州議会及び理事会指令」(ELV指令)である。
2000年10月21日にEU官報に掲載されると同時に発効し、加盟国は2002年4月21日までに同指令を遵守するために必要な法律、規則、行政規定を施行することを義務付けられた。
適用範囲
ELV指令の対象車両は、以下の通りである。
- 乗用車:
「車両のフレーム構造に関する指令(70/156/EEC)」の附属書IIのAでカテゴリーM1に定義されている自動車。すなわち、運転者席を除き、座席数が8席以下の構成である、主に乗用目的の自動車 - 小型商用車:
「車両のフレーム構造に関する指令(70/156/EEC)」の附属書IIのAでカテゴリーN1に定義されている自動車。すなわち、最高重量75t以下の、主に貨物運搬を目的とする自動車 - 三輪自動車:
「二輪車と三輪車に関する指令(92/61/EEC)」に定義された三輪車で、原動機付三輪車以外のもの
再利用、リサイクル、リカバリーに関する目標値
ELV指令は、ELVの処理について、2015年以降の目標値を定めている。
- 再利用 / リサイクル:85%以上
- 再利用 / リカバリー:95%以上
※ 再利用(reuse):ELVから取り外したコンポーネントを同じ目的に使用すること
※ リサイクル(recycling):廃棄物を処理して再び何かに使用すること
※ リカバリー(recovery):廃棄物を処理して燃料とする等の方法で有効利用すること
(最終更新:2021年1月9日)
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