
EU ELV規則案 – 欧州議会の所轄委員会が修正案まとめる、炭素繊維への言及なし
弊社基幹サービス「海外環境法規制モニタリング」の配信情報より「欧州議会の所轄委員会がELV規則案の修正案を可決(1) – 再生プラ含有義務を緩和」について紹介します。
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欧州連合(EU)では「使用済み自動車(ELV)規則案」について、共同立法機関の欧州議会とEU理事会(各加盟国の大臣で構成)が並行して審議中で、各々、修正案のとりまとめを進めている。欧州議会では、環境委員会(ENVI)と域内市場・消費者保護委員会(IMCO)が本件の所轄委員会となり、2025年7月7日に修正案を賛成多数で可決した。今後、9月の本会議に諮り、そこで採択されると、欧州議会としての修正案となる。
今回のENVI/IMCOの修正案のポイントは次のとおり。
炭素繊維含有制限の見送り
修正「素」案の段階では、「車両の炭素繊維の含有を規則の附属書IIIに定める条件の下で、且つ同附属書に定める最大濃度までとする」ことや、そうした制限を将来的に欧州委員会が行政立法(委任法)で強化することを認める旨をELV規則に盛り込むことが提案されていたが、今回のENVI/IMCO修正案では、炭素繊維への言及は一切、無くなった。
再生プラスチック含有義務の緩和
「新車の再生プラスチック含有義務」について、ENVI/IMCO修正案は全般的に要件を緩和。含有目標を、規則発効6年後に「20%」とし、これを10年後に「25%」に引き上げるよう提案(欧州委員会の原案は、発効6年後に25%)。目標値に占めるELV由来の再生プラスチックの割合も15%に引き下げるよう提案(欧州委員会の原案は25%)。利用可能な再生プラスチックの種類も、目標値の50%まではプレコンシューマ廃棄物由来を認めるように提案(欧州委員会の原案はポストコンシューマ廃棄物由来のみを認める)。
今後の見通し
ENVI/IMCO修正案は今後、9月の本会議で審議される予定。そこで可決されれば、欧州議会としての修正案となる。既にEUの共同立法機関のもう片方であるEU理事会は、自身の修正案を2025年6月17日に採択済みなので、欧州議会の修正案がまとまり次第、双方の代表による妥協案作りの交渉が始まる。そこで妥協案がまとまり、両機関で正式に承認されるとELV規則が成立する(複数の業界団体や環境NGOは2026年初頭になると見込む)。
ちなみにEU理事会の修正案では、炭素繊維への言及が1カ所だけあり、附属書VIIのパートC「ELVからの取り外しが義務付けられる部品とコンポーネント」のリストに「炭素繊維強化プラスチック(carbon fibre reinforced plastics)部品」を追加することが提案されている。
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