米国 修理する権利(Right to Repair)法
「修理する権利(Right to Repair)」法とは、独立修理業者及び製品の所有者に修理する権利を与える物である。
製造者及び認定修理業者は、独立修理業者及び製品の所有者に、修理に必要な「文書等」(修理マニュアル、診断ツール・ソフトウエア、部品等)を公平な条件で提供しなければならない。
動向解説動画
2024年7月24日(水)に配信した「無料ウェビナー 世界の最重要環境規制トレンド解説」にて本内容の解説を行いました。弊社「Youtubeチャンネル」にて解説動画を公開しております。
連邦の法規
連邦には修理する権利に特化した法律はない。しかし、近年では、以下の二つが修理する権利を支援している。
- 2021年7月、米国経済の中の競争促進に関する大統領令で大企業による競争阻害への対処をFTCに指示している。その中で、競争阻害の一つに「修理する権利の制限」に触れている。
- 2021年7月21日、連邦取引委員会(FTC)の「製造者と販売者によって設けられた修理の制限に関する政策声明」の中で「製造者等による修理する権利の制限は、『独占禁止法』等、FTC管轄の既存の法規に違反すると考えられる」と述べている。
州の法規
2013年、マサチューセッツ州で全米初の修理する権利法が成立した。対象は、2015年以降に製造された自動車。製造者は診断・修理情報を所有者や独立修理工場に提供することが義務付けられた。
その後、多くの修理する権利法が様々な製品を対象にいくつもの州で成立した。
電気電子機器に関する修理法は、長い間上程されては棄却されて来た。しかし、2022年の12月、ニューヨーク州で制定されたのを皮切りに、下表の通り次々に制定された。
州 | 成立日 | 法案番号 | 備考 |
---|---|---|---|
ニューヨーク | 2022年12月28日 | S4104A | |
2023年5月3日 | S1320 | S4104Aを改正 | |
ミネソタ | 2023年5月24日 | SF 2744 | 予算に関する法律 |
カリフォルニア | 2023年10月10日 | SB 244 | |
オレゴン | 2024年3月28日 | SB1596 |
規制動向
2022年末から2024年の5月時点で、電気電子機器に関する4つの州の修理する権利法が成立したが、それらを比較すると以下のことが言える。
ューヨーク州の規則が電気電子機器の修理する権利法のひな形となっている。
続く州の法規は、前に制定された法規の抜け穴や施行が難しい点を修正して盛り込む形で変化している。以下に例示。
- 法律の発効日から過去にさかのぼって適用される。2015年以降生産、販売された機器まで対象としている州がある。
- オレゴン州の法規からParts Pairingを禁止しており、現在上程されているいくつかの法案でも禁止されている。
審議中の主な「修理する権利」法案と生産者の課題
2024年3月にまとめられたメディアの記事によると、25の消費者用製品に関する法案が上程されていた。そのうちの10の法案は消費者用電気電子機器に関する物である。その他の製品を対象にした法案の数はさらに多い。
これらの動向をみると、生産者にとって以下のような課題が見える。
- 迅速に文書などの供給体制を整える必要がある。すでにいくつかの州では施行している。
- 州により共通な部分と異なる部分がある。すべての州の法規に適合する対応をとらなければならない。
- 修理する権利法はまだまだ変化していく。注意深くモニタリングし、迅速に対応しなければならない。
※上記の規制動向は、2024年7月時点でのものとなります。
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