米国 プラスチック規制
米国では、その土地の広大さからか資源をリサイクルするという意識は国全体でいまだ低いようです。リサイクル率が低いのはプラスチックも例に漏れません。2024年9月現在、米国には連邦レベルで包括的にプラスチックを規制する法規制は存在しません。
2018年に中国がプラスチック廃棄物の輸入を制限したことをきっかけとして、国内でリサイクルを行う必要が生じました。これによって、2021年より、プラスチックのリサイクルや汚染防止のための政策・戦略が打ち出されています。
一方、米国の各州は、州によってばらつきはあるものの、「使い捨てプラスチック」「包装材」など分野ごとに法規制を整備しています。
戦略・ロードマップ
米国プラスチック協定ロードマップ2.0
2024年6月10日、米国プラスチック協定(U.S. Plastics Pact、以下、「協定」)は、企業が包装用プラスチックの設計、使用、再利用方法を変えることを支援するための最新の戦略計画ロードマップ、「米国プラスチック協定ロードマップ2.0(U.S. Plastic Pact Roadmap 2.0)」を発表しました。
当該ロードマップでは、プラスチック包装が再利用、リサイクル、堆肥化され、廃棄物となる代わりに経済内に維持される循環型経済を生み出すための実践的なステップに焦点が当てられています。
2021年6月15日に協定が公表した2025年までの最初のロードマップ「米国プラスチック協定 2025年までのロードマップ(U.S. Plastics Pact Roadmap to 2025)」の失敗と成功から得られた教訓に基づき、プラスチック廃棄物に対処し、プラスチックのバリューチェーン全体にわたって体系的な変化を推進するための、下記の新たな5つの目標を定めています。
- 2030年までに、リストの全品目を廃止し、バージンプラスチックの使用量を30%削減する。
- すべてのプラスチック包装材を再利用、リサイクル、堆肥化可能なものに設計・製造する。
- プラスチック包装の50%を効果的にリサイクルし、包装のリサイクルや堆肥化を大規模に行うために必要な枠組みを確立する。
- すべてのプラスチック包装材において、ポストコンシューマーリサイクル材(PCR)率平均30%または責任を持って調達されたバイオベース含有率を達成する。
- バージンプラスチック使用量削減の一環として、実行可能な再利用可能包装システムを特定し、2030年までにその導入と規模を拡大する。
プラスチック・イノベーション戦略
米国エネルギー省(DOE)は2023年1月、プラスチック廃棄物削減に関するDOEの共同研究開発(R&D)の指針となる新しい「プラスチック・イノベーション戦略(SPI)」を発表しました。これは、2019年11月に開始された「プラスチック・イノベーション・チャレンジ」が発展したものです。プラスチック廃棄物の課題には、ライフサイクルと技術経済評価に基づいた方法で取り組み、コスト競争力と環境保全に優れた解決策を講じる必要があります。SPIでは、プラスチック廃棄物削減に関する下記の4つの戦略的目標を提示しています。
- ディコンストラクション(Deconstruction)
- アップサイクル(Upcycling)
- リサイクル可能な設計(Recyclable by Design)
- 規模の拡大および普及(Scale and Deploy)
関連規制動向
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2024年9月 |
米国プラスチック協定、「問題のある、または不要」な材料に関する最新の報告書を公表、材料リストを更新 |
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2024年7月 |
米国ホワイトハウス、新たなプラスチック汚染対策を発表――2035年までに連邦政府活動での使い捨てプラの使用を全廃 |
2024年7月 |
米国マサチューセッツ州、電子機器や包装材の拡大生産者責任定めるプラスチック削減法案が上院を通過 |
米プラスチック規制 法体系ガイド
米国のプラスチック規制を把握する最初の一冊として作成した本法体系ガイドは、米国の連邦レベル、環境規制ではリーダーともいわれるカリフォルニア州、対立する東海岸の州からニューヨーク州を選定し、プラスチックに関連する法規制を主な規制分野ごとに分けてまとめました。法規の内容全てを詳細にまとめているものではありませんが、米国のプラスチック規制の全容を簡潔に把握していただくための手引としてお使いいただければ幸いです。より詳細な内容を調査、報告する委託調査も承っております。
対象分野
ガイドは、基本的に下記の分野を網羅する形で作成しております。
- 基本政策
- 廃棄物
- 包装材
- エコデザイン
- マイクロプラスチック
- 生分解性プラスチック
- 使い捨てプラスチック
- その他(NGOや産業界の動向など)
その他
- 現状の公布された法規制および一部、重要な法案をとりあげております。
- 規格は有料のため、基本的には紹介程度にとどめております。
- 多くの法規制については細かい規定までは記載しておらず、概要をまとめております。
本製品の目次
Ⅰ. 概論
- 米国におけるプラスチック規制の現状
- 連邦政府機関等の戦略・ロードマップ
- 1 プラスチック・イノベーション戦略(SPI)
- 2 「プラスチック汚染防止のための国家戦略」案
Ⅱ. 各論
- 廃棄物
- 1 廃棄物管理の現状とプラスチック問題
- 2 プラスチック廃棄物に関する基本的な法規制
- 3 バーゼル条約
- 4 廃棄物の輸出
- 包装材
- 1 包装材関連規制の現状
- 2 一般的な包装材規制
- 3 食品包装材規制
- 4 包装材の拡大生産者責任に関する法規制
- エコデザイン
- 1 エコデザインの現状
- 2 エコラベル、環境配慮設計(Design for the Environment (DfE))
- 3 環境に関するマーケティング・ガイドライン、グリーンガイド
- 4 APR設計ガイド: APR Design® Guide for Plastics Recyclability
- マイクロプラスチック
- 1 マイクロプラスチック問題の現状
- 2 法規制体系
- 生分解性プラスチック
- 1 米国における生分解性プラスチックに関する法規制の現状
- 使い捨てプラスチック
- 1 使い捨てプラスチック問題の現状
- 2 法規制体系
- その他(NGO・産業界の動向など)
- 1 産業界の動向
- 2 企業の動向
カリフォルニア州
- カリフォルニア州におけるプラスチック問題および規制の現状
- 方針・政策
- 1 カリフォルニア州プラスチック・プログラム
- 法規制体系
- 1 廃棄物
- 1.1 廃棄物管理の現状
- 1.2 プラスチック廃棄物に関する基本的な法規制
- 2 包装材
- 2.1 含有物質規制
- 2.2 食品包装材規制
- 2.3 包装材の拡大生産者責任
- 3 ラベル表示
- 3.1 エコデザイン・環境配慮設計
- 3.2 表示に関する法規制
- 3.3 リサイクル材の使用に関する法規制
- 4 マイクロプラスチック
- 4.1 マイクロプラスチック問題の現状
- 4.2 法規制体系
- 4.3 戦略・ロードマップ
- 5 生分解性プラスチック
- 5.1 カリフォルニア州における生分解性プラスチックに関する法規制
- 6 使い捨てプラスチック
- 6.1 現状
- 6.2 法規制
- 7 その他(NGO・産業界の動向など)
- 7.1 NGOの動向
- 1 廃棄物
ニューヨーク州
- ニューヨーク州におけるプラスチック規制の現状
- 戦略・ロードマップ
- 1 ニューヨーク州固形廃棄物管理計画:持続可能な材料管理による循環型経済の構築
- 2 ニューヨーク州海洋行動計画
- 3 ニューヨーク海洋ゴミ緊急対応ガイド:総合ガイダンス文書
- 法規制体系
- 1 廃棄物
- 1.1 廃棄物管理の現状とプラスチック問題
- 1.2 プラスチック廃棄物に関する法規制(固形廃棄物)
- 2 包装材
- 2.1 プラスチック包装材・食品包装材規制
- 2.2 包装材の拡大生産者責任
- 3. エコデザイン
- 3.1 ニューヨーク州におけるエコデザインの現状
- 4 マイクロプラスチック、生分解性プラスチック、使い捨てプラスチック
- 4.1 マイクロプラスチックに関する法規制体系
- 4.2 生分解性プラスチックに関する法規制体系
- 4.3 使い捨てプラスチックに関する法規制体系
- 5 その他
- 5.1 企業の訴訟
- 1 廃棄物
提供形態/価格
製品名 | 米国 プラスチック規制に関する法体系ガイド(連邦、カリフォルニア州、ニューヨーク州) |
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発売・更新日 | 2024年9月17日 |
納品物 | PDFファイル(約53頁) 同一法人組織内で共有利用可 |
価格 | 50,000円(税別) |
連絡先 | ご注文はWEBフォームより承ります(最短同日、メールにて納品)。 ご請求について。支払期限は請求日翌月末を基本とします。 納品・請求方法はお客様の規定により変更・対応いたします。注文時に合わせてご指定ください。 contact@envix.co.jp 03-5928-0180(担当:奥田) |
セミナー・イベント情報
当社主催の米国関連セミナーをご紹介します。
規制テーマ | セミナー・イベント名称 | 開催日 |
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全般 |
受付中
世界環境法規制ウェビナー2024
欧州、米州、中国、東南アジアにおける環境規制の最新動向を総まとめする年に1度のシリーズ・ウェビナーです。全4日間12講演、ライブ&オンデマンド配信。 |
2024年10月16日 |
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2024年7月24日 | |
世界環境法規制ウェビナー2023(終了)
EU、北米、中国、東南アジア、ラテンアメリカにおける環境規制の最新動向を総まとめする年に1度のウェビナーです。全4日間13講演、2023年10月17~26日開催。2023年12月末までオンデマンド受講可、視聴回数制限なし。 |
2023年10月17日 | |
世界環境法規制ウェビナー2022(終了)
各国の1年間の主要規制動向を総まとめする、年に一度の弊社人気企画です。今回は第18回開催となります。規制担当者の研修・キャッチアップ、事業戦略・計画立案のための情報ソースとしてご活用ください! |
2022年10月6日 | |
無料ウェビナー ESG & コロナ時代の海外環境コンプライアンスを考える(終了) | 2020年12月17日 |
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2024年9月3日 |
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2022年4月15日 | |
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米国環境法体系ガイド 工場編
米国の工場系環境法規をまとめた、事業者必携のガイドです。 |
2021年9月13日 | |
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2024年9月19日 |
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