EU プラスチック規制
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使い捨てプラスチック製品(SUP)指令(EU) 2019/904
EUで海洋ごみの削減に向けて使い捨てプラスチック製品10品目と漁具を規制する指令が2019年6月12日に官報で公布された。欧州の海岸で最も多く見られるプラスチックごみのうち、比較的容易に代替可能なものは流通を禁止し、そうでないものは消費抑制策を講じるなどするもの。
包装/包装材/包装廃棄物規則案
容器包装廃棄物指令は、容器包装廃棄物の発生を抑制する施策を規定するとともに、そのリサイクル、リユース、リカバリーを促進する措置も定めている。容器包装廃棄物の最終処分は、最後の手段として位置付けられている。EU市場に上市されたすべての容器包装とすべての容器包装廃棄物を対象にしており、工業、商業、事務所、店舗、サービス、家庭その他どのレベルで使われたかに関わらない。包装廃棄物リサイクル目標や、返却収集システム整備要件、ラベル表示要件、有害物質含有規制を含め、材料要件などが設けられている。
欧州委員会は2022年11月30日、現行の「包装および包装廃棄物に関する指令94/62/EC」を改正・強化し、規則(EU全域で直接適用)に格上げする「包装および包装廃棄物に関する規則案(COM(2022) 677)」を発表しました。本法案は、「包装廃棄物の発生抑制」と「包装の資源循環性向上」を主目的とし、具体策として、2040年までの包装廃棄物削減目標やEU共通の材質表示ラベルの導入、プラスチック包装中のリサイクルプラスチックの最低含有率などを提案するものです。
EU 包装/包装材/包装廃棄物規則案
食品接触プラスチック材料規則
FCMに関するEUの全般的な規則は全般的なラベル要件等を定めている他、附属書IにはFCMに関連する材料グループが列挙されている。この材料グループ毎に別途規則を定めることができるとされている。各規則の要件は、認可物質リスト、移行制限値、使用条件等の様々な規定が規則を設けられたグループのFCM材料に適用されることとなる。
FCM材料グループ毎に個別に定めることができる規則の一つに、食品接触プラスチック材料規則がある。
循環型プラスチック同盟(CPA:Circular Plastics Alliance)の宣言
2019年9月、プラ循環利用を自主的に進める宣言に、プラ・バリューチェーンの100以上の官民関係組織が調印した。
同宣言は、EUの2018年プラスチック戦略による「2025年までに最低1000万トンのリサイクルプラスチックを毎年、新たな製品・包装に使うようにする」という目標達成に向けた具体策を提示している。(製品設計、回収・選別、再生利用、ケミカルリサイクルなどR&D)
欧州プラスチック協定(EPP:European Plastics Pact)の始動
- 循環型プラ同盟の目標(製品設計、回収・選別、再生利用、ケミカルリサイクルなどR&D)をより具体的に推進するために、すなわち、欧州のプラ使用を循環型にすべく、2020年3月、官民問わず幅広い関係者が自主的に参加する“欧州プラスチック協定(EPP)”が始動。
- 既に欧州14カ国の政府と3つの地方自治体、65の企業、3つのNGO、その他21組織(業界団体含む)が署名・参加(2020年3月11日現在)。
- 企業は製品や包装材への再生プラスチックの利用を増やし、その再利用率最低30%(重量ベース)を目指す。
新循環経済アクションプランの発表(2020年3月)
新アクションプランは、カギとなるバリューチェーンとして7つの産業分野を挙げ、「プラスチック」はその1つ。また、プラ廃棄物問題と密接に関連する「包装」も7つの主要バリューチェーンの1つ。
新アクションプランの特徴
従来のアクションプラン(2015年)に比べ、設計や製造レベルに焦点を当てた点。例えば、「プラスチック」および「包装」の循環性向上に向け、以下のような取組みが新アクションプランに盛り込まれた。
プラスチック:
- 包装・建設材、車両中のプラ材へのリサイクルプラ含有量に関する強制力を伴う要件の導入および廃棄物削減措置の実施
- 意図的・非意図的に添加されるマイクロプラの環境への流出対処
- バイオベースや、生分解性、堆肥可能プラの使用に係わる政策枠組みの制定
包装:
- 包装・包装廃棄物に関するEU指令の見直し
- 2030年までにEU市場を流通する全包装の再利用またはリサイクル(2019年の包装リサイクル率のEU平均は42%)
- 分別回収制度の調和に向けたEUラベルの実現可能性に向けた評価
- 食品接触プラ(PET以外)向けのリサイクル物質の安全性に関するルールの制定
マイクロプラスチックの規制に向けた動き
EUでは意図的に添加されるマイクロプラスチックと、非意図的に流出するものとに分けて対応を進めている。前者については、REACH規則(EC) No 1907/2006で制限する方針で、近くそのための欧州委員会規則が公布される見通しである(下記の最新動向に詳細)。一方、後者については、流出削減のための規制作りに向け、欧州委員会が背景や概要などを2021年11月30日に示し、12月28日まで意見公募を行った。その際、取り得る措置として、タイヤおよび合成繊維に関するエコデザイン要件の策定や、合成樹脂ペレットの管理に関する優良慣行の義務化などを提示した。その後、公開協議を2022年2月22日~5月17日に実施し、さらに意見を集めたが、動きは停滞。当初、本件に関するEU規則案を2022年第4四半期に出すとしていたが、その後、2023年第2四半期へと先送りした。
また、マイクロプラスチックによる海洋汚染への対応を主目的の一つとして、特定のプラスチック製品を対象に、禁止や消費抑制策、拡大生産者責任制度の導入などを加盟国に義務付ける「使い捨てプラスチック製品(SUP)指令(EU) 2019/904」を2019年に制定した。本指令では酸化型分解性プラスチック製の製品の上市も禁止している。
REACH委員会は、2023年4月26日に開催された会議で、「合成ポリマーのマイクロプラスチック(synthetic polymer microparticles)」に関してREACH規則の附属書XVII(制限物質)を修正する欧州委員会規則草案を採択した。その後、8月5日までEU理事会および欧州議会において3カ月間の精査に付され、両者の反対が無かったため、2023年内にはEU官報で公布され、発効する見通しである。香料カプセル、化粧品、農業・園芸用製品、人工芝の敷き砂利などを対象に、マイクロプラスチックが0.01重量%以上添加された混合物の上市を禁止する。その時期は製品種別に異なり、早いもので当該欧州委員会規則の発効から4年後、遅いもので12年後からとなる。
(最終更新:2023年9月1日)
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2018年10月17日 |
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