
日本 地球温暖化対策関連法令(温対法)概説
日本の地球温暖化対策に関連する法令としては以下のような法令があげられます。
- エネルギー政策基本法
- 地球温暖化対策推進法
- 気候変動適応法
- エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)
- 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)
- 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(再生可能エネルギー特措法/再生エネ特措法/FIT法)
- 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)
- 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律(水素社会推進法)
- 二酸化炭素の貯留事業に関する法律(CCS事業法)
- 特定物質等の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法)
- フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)
EnviXでは、これらの法律に関する改正動向や関連する審議会の情報をチェックし、それらの内容を要約したサマリーをホームページにアップデートしています(閲覧無料)。
以下に、基本的な法令の概要を説明します。また、関連するサマリーのURLにリンクしています。
エネルギー政策基本法
エネルギー政策基本法とは、2002年6月14日に公布・施行されました。この法律は、日本のエネルギー需給政策に関する基本的な方向性を定める法律です。 この法律は、「安定供給の確保」「環境への適合」「市場原理の活用」の3つの基本方針を掲げ、国・地方公共団体・事業者等の責務やエネルギーの需給施策の基本事項を定めています。エネルギー基本計画はこの法律に基づいて策定されています。2025年2月18日には、第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました。
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地球温暖化対策の推進に関する法律
地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化対策推進法、または温対法)は、 1998年10月9日に公布されました。この法律は日本国内における地球温暖化対策を推進するための枠組みに関する法律です。地球温暖化対策推進法、温対法とも呼ばれています。地球温暖化の防止のために、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに社会経済活動その他の活動による温室効果ガスの排出量削減等を促進するための措置を講じます。地球温暖化対策計画は、この法律に基づいて策定されています。最新の地球温暖化対策計画は、2025年2月18日に閣議決定されました。
事業者の義務事項:
事業者の義務として、国、地方公共団体が実施する施策に対する協力があります。また、ある一定規模以上の温室効果ガスを排出する特定排出者は、排出量算定・報告・公表制度に基づく温室効果ガス排出量の報告が求められます。エネルギー起源CO2排出量の算定・報告は、省エネ法で対象となる事業者です。一方、非エネルギー起源CO2が算定対象となるのは、従業員21人以上で、非エネルギー起源CO2及び6種の温室効果ガス(CH4、N2O、HFC、PFC、SF6、NF3)の排出量が二酸化炭素換算で3,000t/年以上の特定排出者が対象となります。
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気候変動適応法
気候変動適応法は、2018年6月13日に公布されました。この法律は、気候変動にともなう気温上昇や大雨頻度の増加、農作物の品質低下、動植物分布域の変化、熱中症リスクの増加などの被害を回避・軽減する適応策を法的に位置付け、これを推進するための責務や措置を規定しています。気候変動適応計画はこの法律に基づき策定されます。
エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)
省エネ法は、1979年6月22日に公布されました。この法律は、工場等・事業場、輸送、建築物及び機械器具等についてのエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換に関する所要の措置、電気の需要の最適化に関する所要の措置その他エネルギーの使用の合理化を進めるために必要な措置を講ずることを目的としています。
事業者の義務事項:
すべての事業者が、エネルギー使用の合理化、非化石転換等に関する取組の見直しや計画の策定が努力義務となっています。
特定事業者、特定連鎖化事業者など、事業者単位で年間のエネルギー使用量が原油換算で1500KL以上の場合は、エネルギー管理統括者、エネルギー管理企画推進者の選任、中長期計画の作成・提出、定期報告が必要になります。
工場等では、第1種エネルギー管理指定工場(各工場等単位で原油換算3,000KL/年度以上)は、エネルギー管理者の選任、第2種エネルギー管理指定工場(各工場単位で原油換算1,500KL以上3,000KL未満/年度)はエネルギー管理員の選任が必要になります。
輸送においては、特定貨物輸送事業者、特定荷主、特定旅客輸送事業者等において、輸送能力等届出、中長期計画の作成・提出、定期報告などが必要になります。
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)
GX推進法は、2023年5月19日に公布されました。この法律は、経済成長と脱炭素化を両立し、2050年カーボンニュートラルを実現することを目的としています。主な施策は、カーボンプライシングの導入、GX経済移行債の発行、化石燃料賦課金の徴収、排出量取引制度の導入などです。
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環境・安全衛生関連法令管理業務支援サービス
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- 法的要求事項リスト作成支援サービス。
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以下の様な法令を支援サービスの対象としています。お気軽にお問い合わせください(担当:豊島、青木)。
法令分類 | 法令名称 |
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基本的事項 | 環境基本法 環境影響評価法(環境アセスメント法) 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(公害防止組織法) |
地球温暖化・エネルギー・フロン | 地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法/地球温暖化対策推進法) 気候変動適応法 エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法) 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(建築物省エネ法) 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(再生可能エネルギー特措法/再生エネ特措法/FIT法) 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法) 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律(水素社会推進法) 二酸化炭素の貯留事業に関する法律(CCS事業法) 特定物質等の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法) フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法) |
大気汚染 | 大気汚染防止法(大防法) 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法) |
水質汚濁 | 水質汚濁防止法(水濁法) 下水道法 湖沼水質保全特別措置法 瀬戸内海環境保全特別措置法 浄化槽法 水道法 |
土壌汚染 | 土壌汚染対策法 |
騒音・振動・地盤沈下・悪臭 | 騒音規制法 振動規制法 工業用水法 建築物用地下水の採取の規制に関する法律(ビル用水法) 悪臭防止法 |
廃棄物 | 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法/廃棄物処理法) 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(バーゼル法) ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB処理特別措置法) |
循環型社会 | 循環型社会形成推進基本法 資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法) プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環法) 資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律(再資源化事業等高度化法) 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法/容リ法) 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法) 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法) 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法) 使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法) 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法) |
化学物質・安全衛生・危険物 | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法/化学物質審査規制法) 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法/PRTR法) ダイオキシン類対策特別措置法 水銀による環境の汚染の防止に関する法律(水銀環境汚染防止法) 毒物及び劇物取締法(毒劇法) 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律 労働安全衛生法(安衛法) 消防法 高圧ガス保安法 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管理法) 放射性同位元素等の規制に関する法律(放射性同位元素等規制法) |
自然環境・生物多様性 | 生物多様性基本法 地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律(生物多様性増進活動促進法) 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法) 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法) 水循環基本法 |
土地利用 | 工場立地法 都市計画法 建築基準法 |
関連製品・サービス
製品・サービス名 | 発売・更新日 |
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下表は日本の地球環境関連情報に関する報告書の一覧です。
規制分野 | 規制テーマ(報告書の名称) |
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地球環境 |
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