米国 米国の主要規制テーマ

米国 水質浄化法(CWA)

EnviXは「米国 水質浄化法(CWA)」について、規制動向の調査報告書を作成・提供しております。

基本情報・概要

法律名 水質浄化法
現地語名称 Clean Water Act
公布日 1972年

水質浄化法(CWA:Clean Water Act)は、米国の水質汚染を規制している法律であり、「合衆国の水域」への汚染物質排出の規制と地表水の水質基準の規制のための基本構造を規定している。基礎となる1948年制定の連邦水質汚染防止法(Federal Water Pollution Control Act)が1972年に大幅に再編成・拡張されCWAが同法の通称となった。

対象汚染物質

産業、地方自治体、農業など様々な分野で水に排出される廃棄物。例として、浚渫された土、固形廃棄物、焼却残留物、汚水、下水、ゴミ、汚泥、軍用品、化学廃棄物、生物学的物質、放射性物質、汚染熱、壊れた又は放棄された機器、岩、砂、貯蔵庫(地下室)のちりやほこり、産業及び地方自治体及び農業から出る廃棄物。

合衆国の水域(WOTUS:Waters of the United States)

CWAに基づいて保護される水域。水質基準や汚染物質の排出に対処するための許可、水質認証プログラムなど、CWAに基づく水質を保護する広範囲の連邦プログラムに関係する。連邦規則集(CFR)の「33 CFR Part328(合衆国の水域の定義)」および「40 CFR Part 120(合衆国の水域の定義)」に規定されている。

CWAの枠組みと合衆国の水域の保護の中心となるのは「可航水域」という言葉であり、同法では「領海を含む合衆国の水域」と定義されている。CWAが制定されてから約50年間、米国環境保護庁(EPA)及び陸軍省(Department of the Army)(以下、両機関)は「合衆国の水域」という用語の永続的な定義を開発、成文化し、実施するという課題に取り組んできた。オバマ政権時代の2015年、規制対象となる水域を「合衆国の水域」として定義しなおす「2015年規則」が制定された。しかし、憲法と法律の権限の範囲を狭めるような解釈が生じるおそれがある等の理由により2019年に廃止された。2020年、両機関は「可航水域保護規則」(NWPR:Navigable Waters Protection Rule)を発表したが、それ以前に制定されたどの規則よりも「合衆国の水域」に対する保護が弱く従来の規則とは大きく異なるものだった。2021年1月20日、バイデン大統領により署名された特定の規制の見直しを指示した大統領令に対応して、両機関はNWPRの見直しを行ったが、同年8月30日に連邦地裁がNWPRを無効とする判決を下し、両機関はNWPRの実施を停止した。そこで、当該規則を見直す形で、2021年12月7日付け連邦官報(86 FR 69372)で「合衆国の水域」を定義する提案規則を公表し、2022年2月7日まで意見募集した。2023年1月18日、ついに同日付け連邦官報(88 FR 3004)で、「合衆国の水域」を定義する最終規則が公布され、2023年3月20日に発効した。

国家汚染物質排出削減システムプログラム

工場などの産業施設から海や河川などに汚染物質を直接排出する場合、国家汚染物質排出削減システム(NPDES:National Pollutant Discharge Elimination System)許可プログラムが適用される。NPDES許可プログラムの下で許可を取得していない限り、汚染物質を工場などの点源から本法律の対象である「合衆国の水域」に直接排出することは違法である。NPDES許可は、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)や、PFOAに代わって加工助剤として使用されていたヘキサフルオロプロピレンオキシド二量体酸(HFPO-DA)およびそのアンモニウム塩(GenX化学物質)などのPFASを含む汚染物質に対して排水制限、モニタリングおよび報告要件、水質保護のために設計されたその他の条件を設けている。

水質浄化法の主な動き

2023年1月 米EPA/陸軍省、合衆国の水域を定義する最終規則を公布
米国環境保護庁(EPA)および陸軍省(Department of the Army)は、2023年1月18日付け連邦官報(88 FR 3004)で、CWAに基づいて保護される水域となる「合衆国の水域」(WOTUS:Waters of the United States)を定義する最終規則を公布した。当該最終規則は連邦官報掲載から60日後の2023年3月20日に発効した。EPAは、2021年12月7日付け連邦官報(86 FR 69372)で公表された提案規則に対して寄せられた114,000件のコメントについて、検討および考慮して当該最終規則を策定した。
2023年4月 米EPA、水質浄化法に基づく史上初の措置として、同意に基づく行政遵守命令をケマーズに対して発行
米国環境保護庁(EPA)は、The Chemours Company(に対して、ウェストバージニア州パーカーズバーグ近くのワシントン工場施設からの雨水および廃水に含まれる「ペル/ポリフルオロアルキル物質(PFAS)」による汚染に対処するための是正措置を講じること、および、排出物によるPFAS汚染の程度を明らかにすること、を求める同意に基づく行政遵守命令(AOC)を発行したことを2023年4月26日に発表した。本AOCは、CWAの「第309条 施行」の「(a)州の施行:遵守命令」の(3)に基づく措置であり、環境中へのPFAS排出に関して汚染者に責任を負わせるための、CWAに基づく史上初の措置となる。
2023年5月 米EPA/陸軍省、合衆国の水域を定義する最終規則を公布
米国環境保護庁(EPA)および陸軍省(Department of the Army)は、2023年1月18日付け連邦官報(88 FR 3004)で、CWAに基づいて保護される水域となる「合衆国の水域」(WOTUS:Waters of the United States)を定義する最終規則を公布した。当該最終規則は連邦官報掲載から60日後の2023年3月20日に発効した。EPAは、2021年12月7日付け連邦官報(86 FR 69372)で公表された提案規則に対して寄せられた114,000件のコメントについて、検討および考慮して当該最終規則を策定した。
2023年9月 米国EPA/陸軍省、最高裁判所の決定に従い「合衆国の水域」規則を改正
米国環境保護庁(EPA)および陸軍省(DOA:Department of the Army)は、2023年9月8日付け連邦官報(88 FR 61964)および2023年8月29日付け報道発表で、水質浄化法(CWA)に基づいて保護される水域となる「合衆国の水域」(WOTUS:Waters of the United States)を定義する規則(2023年規則)の改正を発表した。当該改正規則は直ちに発効する。当該改正は、2023年5月25日の、サケット対EPAの連邦最高裁判所の判決に準拠させるだけのものであり、基本的な特徴を変更するものではない。当該判決により、2023年規則の特定の規定内容が無効であることが明確になった。改正された内容は、連邦規則集(CFR)の「33 CFR Part 328(合衆国の水域の定義)」および「40 CFR Part 120(合衆国の水域の定義)」に規定される。
2023年12月 米国EPA、地下水を介した汚染物質の排出に関してNPDES許可が必要か否かの判断に有用なガイダンス案を公表
米国環境保護庁(EPA)は、2023年11月27日付け連邦官報(88 FR 82891)にて、「地下水を経由する排出への水質浄化法(CWA)第402条国家汚染物質排出除去システム(NPDES)許可プログラムにおける最高裁マウイ郡対ハワイ野生生物基金判決の適用」と題するガイダンス草案を発表した。当該ガイダンス草案は、地下水を介した排出がNPDES許可を必要とする可能性があるか否かを判断するために使用すべき情報の種類について説明している。NPDES許可プログラムにおける「機能的に同等」基準の適切な適用において、許可当局、規制対象地域、およびその他の関係者を支援する。EPAは、当該ガイダンス草案に対する意見を2023年12月27日まで募集している。

本法律の詳細は、『米国環境法体系ガイド(工場編)の第2章 水』を参照ください。

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