欧州連合(EU) 欧州連合(EU)の主要規制テーマ

EU 循環型経済法

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循環型経済法

欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、2025年1月に公表した新指針「競争力コンパス」および2025年2月に公表した新成長戦略「クリーン産業ディール(CID:Clean Industrial Deal)」にて、「循環型経済法(CEA:Circular Economy Act)」を2026年第4四半期に提出する方針を示した。同法には、次のような施策を含めるとした。

  • 循環型製品や二次原料、廃棄物の自由移動を実現
  • 高品質リサイクル品の供給を増やし、需要を刺激
  • 電子電気廃棄物(e-waste)関連規制の改定
  • 廃棄物の終わり(EoW)基準の調和化促進
  • リサイクル材やバイオベース材の使用強制など

欧州委員会は2025年7月2日、CEAのベースを準備するための複数の取り組みを開始したとするプレスリリースを公表。複数の取り組みとして具体的には、(1) WEEE指令の評価報告書の同日公表と今後のCEAの中心的要素としての同指令改正案作り、(2) 循環性に関する戦略的対話の同日開催、(3) 間もなく開始予定のCEAに関する意見公募と公開協議などを挙げた。

欧州委員会、循環型経済法の起草に向け意見公募と公開協議を開始

欧州委員会は2025年8月1日、CEAの起草に向けた意見公募および公開協議を開始した(同年11月6日まで)。欧州委員会によると、CEAは、EUの経済安全保障とレジリエンス、競争力の強化、および持続可能な生産や循環型経済のビジネスモデル、脱炭素化の推進などを目的としている。今回の意見公募のために公表された証拠募集(call for evidence)文書によると、欧州委員会はCEAに次のような施策を含めることを想定している。

施策 概要
EU全体でのアプローチ 規制の簡素化、循環型経済への投資や関連雇用創出を促進するための枠組み確立など
単一市場における循環性の向上 単一市場での公平な競争環境の確保、法的不確実性への対処、単一市場における循環性の障壁の解消など
二次原料の十分な需給の創出 需要と供給の両面で法的および非法的な措置の見直し、手続きの簡素化、規制遵守負担の軽減など
e-wasteへの取り組み e-wasteの効果的な回収とリサイクルを確保など
施策の組み合わせ EoW基準の改定、EPRの簡素化など

欧州産業団体の期待

欧州機械・電気・電子・金属加工産業連盟(Orgalim)や欧州家庭用電気機器産業協会(APPLiA)などの欧州産業10団体は2025年7月15日、CEAに関する共同声明を公表した。声明では、CEAが循環性促進の実現手段に焦点を当てていることを歓迎し、今後の関連法規制が効果的かつ経済的に実行可能なものとなるよう、6つの課題を特定し、それぞれに推奨される行動を提示した。

  1. 循環型経済における規制の課題と、公平な競争の確保
    循環型経済への移行において、特に電気電子機器(EEE)部門は複雑な規制や市場の障壁などに直面しているため、EUレベルの規制簡素化と、競争および効率性を確保するための経済環境の構築が必要。エコデザイン規則(EU) 2024/1781(ESPR)は価値あるものだが、既存の法令と適切に整合させなければ二重規制を生み出す危険性があるため、同規則の下で制定されるものは、首尾一貫した整合性が求められる。
  2. 市場の断片化
    廃棄物や二次原料に関する真のEU単一市場が存在しないことにより、原料の自由移動が阻害されている。これは加盟国ごとの規制の一貫性のなさや定義のばらつき、国境を越えた輸送手続きの複雑さなどが原因となっているため、一貫した規制、分類、輸送手続きを含むEU全体で共通化された規制の採用が必要。また、EoW基準の明確化も推奨。
  3. 持続可能かつ競争力のある二次原料の供給を阻む障壁について
    リサイクル材はバージン材と比べて価格競争力が低く、品質維持や供給能力に課題がある。また、リサイクル材の含有率に関する厳格な目標や技術的な制約は、市場分断やサプライチェーンの混乱を招く可能性がある。これに対しては、回収・処理インフラへの投資支援を優先し、ケミカルリサイクルを含む原料回収技術への研究開発資金を増やし、国際規格に沿った明確な品質ガイドラインの策定が必要。
  4. 不安定な品質のリサイクル材
    リサイクル材の品質が安定していないと、とりわけ高性能用途において、その使用を製造工程に組み込むことが困難になる。特にWEEEリサイクル材に対するEU全体での義務的な品質基準の確立が必要であり、こうした政策を推進する手段としてESPRを優先することが重要。
  5. 不適切な(Suboptimal)WEEE回収目標
    現在のWEEE回収目標の設定と実施は、EEEの複雑さや多様な寿命、変化する消費者行動、毎年の販売台数の変動を十分に考慮できていないため、目的に適っていない。したがって、WEEE回収目標設定を見直し、算定方法を簡素化し、EU全体で一貫した報告要件を導入する必要がある。
  6. 効果的な施行の欠如
    法規制が適切に設計されていても、効果的に施行されなければ機能しない。例えば、WEEE枠組みの施行が加盟国間で一貫しておらず、非遵守の事業者が義務を回避し、責任ある事業者の取り組みを損なうのと同時に、環境目標や技術革新の達成を妨げている。これについては、加盟国全体の施行メカニズムを強化すべきであり、具体的には、各国の市場監視当局への十分なリソース配分や拘束力ある施行目標を検討する必要がある。

 

また、CEA起草に向けた意見公募開始を受け、英国の慈善団体であるエレン・マッカーサー財団や欧州環境NGOのZero Waste Europe(ZWE)、ECOSなどが2025年8月1日に共同声明を公表した。声明では、EUが掲げる3つの主要優先事項(競争力、戦略的レジリエンス、脱炭素化)を達成するために、循環型経済が重要な役割を果たすことを強調している。さらに、欧州委員会に対して、次の3点を要請している。

  • 資源利用に関して、科学ベース(science-based)の目標を設定すること
  • 原料だけでなく、製品やその部品の再利用を維持すること
  • 化学物質と循環型経済の法規制を統合し、安全な物質循環を促進すること

EU循環型経済法に関する主な動き

2026年第4四半期 CEAの提案(予定)
2025年8月1日 欧州委員会がCEAの起草に向けた意見公募および公開協議を開始。具体的な施策として、規制の簡素化や、単一市場の循環性向上、二次原料の十分な需給創出、e-wasteの回収とリサイクル促進などを想定。
2025年7月2日 欧州委員会はWEEE指令2012/19/EUの評価報告書を公表。欧州委員会はプレスリリースで「(同報告書は)WEEE指令改正案作りに役立つ」とし、「同改正は今後のCEAの中心的要素になる」とした。
欧州委員会は同日付けデイリーニュースで「本日、循環性に関する戦略的対話がリベラ執行副委員長(競争政策担当)、セジュルネ執行副委員長(繁栄・産業戦略担当)、ロズウォール環境担当委員の出席の下、開催される」ことを公表した。
2025年6月12日 欧州持続可能ビジネス連盟(Ecopreneur)とドイツ持続可能ビジネス協会(BNW)がCEAをテーマとしたイベントを開催。CEAの公開協議を間もなく開始することを示した。特に高額なリサイクル材への対処や、二次材料の単一市場確立、EPR制度の対象拡大および簡素化などに取り組む必要があるとした。
2025年1月29日
2025年2月26日
欧州委員会が公表した新指針「競争力コンパス」や、新産業戦略「クリーン産業ディール(CID)」でCEAを2026年第4四半期に策定する方針を示した。同法を通じてリサイクル規模の拡大や、廃棄物や二次原料などの単一市場の創設、e-waste関連規制の改定などを提示した。
2024年7月23日 欧州委員会のフォンデアライエン委員長の2期目(2024~2029年)続投の承認に際して、同委員長は次期の政策方針(Political Guidelines)を公表し、新たな「循環型経済法(CEA)」を提案する方針を示した。特に重要原料(CRM)に関して、二次原料の市場需要と廃棄物の単一市場の創設を支援するとした。

(最終更新:2025年8月19日)

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