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日本、化学物質管理政策の動向に関する合同会議が開催

日本で、2025年3月10日に、化学物質管理政策の動向に関する合同会議が開催された。会議においては、化学物質管理政策を巡る最近の動向と合わせて、化学物質審査規制法(化審法)、化学物質排出把握管理促進法(化管法)、オゾン層保護法、フロン排出抑制法、化学兵器禁止法などの各法令の施行状況と動向が報告された。その他、CMP(Chemical and Circular Management Platform)構想の進捗についてと、各審議会、分科会、小委員会の審議状況と概要について説明があった。

化学物質管理政策をめぐる最近の動向」では、日本における化学物質規制の全体像と経産省化学物質管理化の所管法令と国際条約との関係が報告された。近年における所管法令の改正状況については、化学物質審査規制法における第1種特定化学物質の追加指定、第2種特定化学物質の追加指定、水銀汚染防止法における「特定水銀使用製品」の追加指定などについて報告があった。「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約」における動向としては、審議中の物質として、附属書Eでは臭素化ダイオキシン、附属書A、B、Cでは中鎖塩素化パラフィン(MCCP)、長鎖PFCA(LC-PFCA)、クロルピリホスがあることが報告されている。その他、ロッテルダム条約、化学物質に関するグローバル枠組み(GFC)、プラスチック汚染に関する条約交渉についての説明があった。

「化学物質審査規制法(化審法)の施行状況と動向」では、第2種特定化学物質(NPE)の新たな指定と、第1種特定化学物質の新たな指定(POPs条約対応)が説明されている。第1種特定化学物質については、PFOAの異性体とその塩及びPFOA関連物質、PFHxS関連物質、メトキシクロル、デクロランプラス及びUV-328について、第1種特定化学物質への指定時期、輸入を禁止する製品の指定、例外的に使用を認める用途の指定などについてスケジューが説明されている。

「化学物質排出把握管理促進法(化管法)の施行状況と動向」では、2023年度から新たに追加された第1種指定化学物質196物質のうち、2023年度は186物質の届出があったことが報告されている。また、排出量・移動量上位10物質のうち、追加対象化学物質は、炭化ケイ素(管理番号667)であり、総届出排出量・移動量に占める割合として6番目に多いことが報告されている。

循環経済への対応(リサイクル原料やプラスチック再生材)

循環経済への対応として、リサイクル原料や不純物の扱い、情報伝達の仕組みに関して「化審法の施行状況と動向」の「産業構造審議会制度構築ワーキンググループ」の検討事項、「化管法の施行状況と動向」のその他の取組、「CMP構想の進捗について」の中で取り上げている。

産業構造審議会制度構築ワーキンググループ」の検討事項においては、プラスチック再生材の化審法における適用の考え方が示されており、どのような場合が化審法の対象なのかがフローで示されている。また、輸入されるプラスチック再生材については、様々な形態があると思われるところ、化審法上の「製品」に該当しないことから、化審法上の「化学物質」であり、その蘇生の確認や輸入数量の届出といった化審法上の規制が適用されることを周知すべきとしている。

化管法の施行状況と動向」のその他の取組では、「国立研究開発法人産業技術総合研究所」において開発を進めている「プラスチック資源循環のための化学物質リスク評価ツール」が紹介されている。このツールは使用済みプラスチックのうち安全性の懸念が低いものについて、マテリアルリサイクル(再生材への利用)への転換を支援するもので、使用済みプラスチックの主な樹脂の種類や、回収ルート、出自、製品の用途等の情報を入力すると、添加剤(化学物質)の暴露・健康リスクの評価結果が得られるものである。

CMP構想の進捗について」においては、川上から川下への化学物質情報を伝達するCMPの中で、材料、部品、製品の化学物質情報の中に資源循環情報として、リサイクル材、リニューアブル材、リユース部品、リサイクル・リユース率を含めるとしている。

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下表は日本の化学物質規制情報に関する報告書の一覧です。

規制分野 規制テーマ(報告書の名称) 更新日
化学物質 日本 安衛法 労働安全衛生、化学物質の分類・表示、GHS、特化則等 2021年1月28日
化管法(PRTR法) 化学物質の排出・移動管理、情報伝達等 2021年1月28日
日本 化審法 化学物質の審査・評価、製造・輸入規制等 2021年1月28日

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