米国 資源保全回復法(RCRA)
EnviXは「米国 資源保全回復法(RCRA)」について、規制動向の調査報告書を作成・提供しております。
基本情報・概要
| 法律名 | 資源保全回復法 |
|---|---|
| 現地語名称 | Resource Conservation and Recovery Act |
| 公布日 | 1976年10月21日 |
資源保全回復法(RCRA)は、連邦の非有害廃棄物と有害廃棄物を規制している。一般にRCRAとして広く知られているものは、前身の1965年固形廃棄物処理法の1976年改正法およびその後の改正法を含めた、最も包括的な廃棄物関連法である。州主体の非有害廃棄物管理については最小限の連邦基準を、有害廃棄物については発生から処分までをカバーした包括的管理プログラムを定めている。実施規則は法律が定める廃棄物管理プログラムの実施に必要な要求条件(要件)で、米国環境保護庁(EPA)が策定する。具体的には、収集・保管に関する要件、廃棄物分別ガイドライン、廃棄物発生者の義務、処理処分施設の技術基準などが定められている。
目的
主な目的は以下の4点である。施行当初には予測できなかった廃棄物の発生や管理等の変化に対し、改正を重ねることで柔軟に対応している。
- 廃棄物の処理・処分が及ぼしうる害からの人々の健康や環境の保護
- エネルギーや天然資源の保全
- 廃棄物発生量の抑制
- 環境に配慮した方法による廃棄物処分の徹底
構成
合衆国法典(U.S.C.:United States Code)に編纂されたRCRA(42 U.S.C. Chapter 82)は Iから Xまでの10のSubchapterから成る。
| Subchapter | 条項 |
|---|---|
| I | 総記 |
| II | 廃棄物行政庁;EPA長官と関連機関調整委員会の権限 |
| III | 有害廃棄物 |
| IV | 非有害廃棄物 |
| V | 資源および回収に関する商務長官の義務 |
| VI | 連邦政府の責任 |
| VII | その他の条項 |
| VIII | 研究開発、実証および情報 |
| IX | 地下貯蔵タンクの規制 |
| X | 医療廃棄物の規制 |
用語の概念
RCRAにおいて、”Solid Waste” を単に「固形廃棄物」と訳すのは大きな誤りである。”Solid Waste” とは、産業、商業、工業、農業、地域社会の活動から生じるごみや生ごみ、排水処理場、上水道処理場、大気汚染抑制設備から発生するスラッジ、またはその他の廃棄物であるとされる。「Solid」とあるが、物理的に固体である廃棄物に限定されず、液体、半固体、気体も含み、廃棄物されるあらゆる物質を指すことに注意する必要がある。また、”Solid Waste”は、「非有害廃棄物(Non-hazardous Waste)」と「有害廃棄物(Hazardous Waste)」に大別される。「有害廃棄物」は、人体あるいは環境に対して重大な影響を及ぼすものという考え方にもとづき、EPAが定めるリストに記載されているか、EPAが定めた有害廃棄物の特性基準のいずれかに合致するもの、とされる。”Solid Waste”の定義を満たさない物質は、有害廃棄物にはなり得ない。したがって、”Solid Waste”の定義から除外される廃棄物は、RCRAの有害廃棄物規制の対象とはならない。家庭から発生するいわゆる都市ごみや、肥料として地中に戻される農業廃棄物などは、「非有害廃棄物」に分類され単に「固形廃棄物」と呼称される。
ユニバーサル廃棄物
RCRAの目標のひとつであるエネルギーおよび天然資源の保護のため、EPAは、有害廃棄物であっても、その有害性の程度に応じた規制アプローチによって、可能なものはリサイクルすることを奨励している。一般家庭を含めて広く発生する5種類(バッテリー、有害生物駆除製品、水銀含有機器、ランプ、エアゾール缶)の有害廃棄物はユニバーサル廃棄物と定義されて取り扱いなどの規制が緩和され、リサイクルの促進が図られている。
ユニバーサル廃棄物の取扱者※は、集積量にもとづき、「少量取扱者」(SQH)と「大量取扱者」(LQH)の2種類に区分され、それぞれ異なる要件を課される。
※取扱者:発生者およびユニバーサル廃棄物を他から受け取る施設の所有者もしくは運営者
特徴
廃棄物に対して適用される法律として、他にスーパーファンド法(包括的環境対策補償責任法:CERCLA)がある。廃棄物による汚染から人々の健康や環境を保護するという目的については、RCRAと同様の方針を持っている。RCRAは現在および将来の汚染に対する法律であるが、CERCLAは過去の汚染に対して適用される。
資源保全回復法の主な動き
| 2023年6月 | 米国EPA、RCRAに基づく有害廃棄物規制のリチウムイオン電池への適用可能性に関するガイダンスを公表 米国環境保護庁(EPA)の資源保全収集局(ORCR)は2023年5月24日、リチウムイオン電池を資源保全回復法(RCRA)のもとで「有害廃棄物(Hazardous Waste)」として管理することを推奨する覚書を公表した。本覚書にてEPAは、ほとんどのリチウムイオン電池は耐用年数終了時に有害廃棄物であり、リサイクルまたは廃棄のために最終目的地に到着するまで、ユニバーサル廃棄物管理基準のもとで管理可能であると結論付けている。本覚書には、ユニバーサル廃棄物およびリサイクルに関する有害廃棄物規制が、リチウムイオン電池にどのように適用されるかを明確にするために、リチウムイオン電池に関する有害廃棄物の判定や規制への問い合わせに対応する「よくある質問」が付属している。 |
|---|---|
| 2024年1月 | 米国EPA、資源保全回復法のもと、PFAS汚染のサンプリングを要求する同意に基づく行政遵守命令をケマーズに対して発出 米国環境保護庁(EPA)は、2023年12月20日付け報道発表にて、The Chemours Company(以下、「ケマーズ」と表現する)が、ウェストバージニア州パーカーズバーグ近くのワシントン工場施設のペル/ポリフルオロアルキル物質(PFAS)汚染のサンプリングを実施することに合意したことを発表した。同日、EPAが資源保全回復法(RCRA)の§3013(モニタリング、分析および試験)に基づいて発出した、同意に基づく行政遵守命令(AOC)は、ケマーズに対して土壌、地表水、堆積物、地下水および施設から発生する特定の廃棄物の流れを、サンプルを採取して分析し、既知および潜在的なPFAS汚染に関する情報を収集することを要求している。ケマーズは、PFAS汚染の範囲およびPFAS汚染の移動がコミュニティにどのような影響を与えるかについて、EPAの理解を向上させるためのデータを提供することになる。 |
本法律の詳細は、『米国環境法体系ガイド(製品編)の第3章 廃棄物・リサイクル』および『米国環境法体系ガイド(工場編)の第4章 土壌』を参照ください。
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