英仏NGO、仏食品大手ダノンをプラスチック汚染で共同提訴
弊社基幹サービス「海外環境法規制モニタリング」の配信情報より「英仏NGO、フランスの食品大手ダノンをプラスチック汚染で共同提訴」について紹介します。
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世界中でプラスチック規制がますます厳しくなるなか、環境NGOが企業によるプラスチック汚染を訴えるというニュースがヨーロッパからとびこんできました。これは、英仏を拠点とする3つの環境NGO(非営利の環境法律団体ClientEarth、フランスを拠点とする環境NGOのSurfrider Foundation EuropeおよびZero Waste France)が2023年1月9日に発表したもので、仏食品大手ダノン(Danone)がプラスチック汚染を理由にパリ司法裁判所に提訴されました。原告となったこれらのNGOは、同社が「親会社および発注元企業の配慮義務に関する2017年3月27日の法律」(注)を遵守していないと主張しています。一定規模以上の企業は同法に定められた「配慮計画」において企業活動のリスクを緩和・防止する方策を示さなければならなりませんが、ダノンの2021年の配慮計画ではプラスチックの使用が主要なリスクとして特定されていなかったとのことです。同法を根拠に食品製造関連企業が提訴されるのは、フランスでは初めてとのことで、共同原告はダノンに対し、配慮計画において自社のプラスチック使用に関する包括的な見通しを示すことを要求しています。
(注)国内に5000人超、世界に1万人超の従業員を擁するフランスの企業に対し、自社、子会社、下請事業者の就労者の人権や環境への配慮を義務付けた法律。対象となる企業は、配慮計画(Plan de vigilance)を策定し、年次報告書において公表しなければならない。
ダノンの2021年の年次財務報告書によれば、同社のプラスチック使用量は2020年には71万6500トンでしたが、2021年には75万994トンに増加しました。ダノンの製品は120カ国で販売されていますが、国際的な脱プラスチックネットワークBreak Free from Plasticは再三にわたり、同社が世界で最も包装用プラスチックを使用している企業の1つであると警告しております。特にインドネシア、スペインおよびチュニジアでは、ダノンは2022年に最もプラスチック汚染を発生させた企業の筆頭とされているとのことです。
ダノンは毎年、2017年3月の法律に定められた「配慮計画」の中で、自社活動が環境、人権、健康及び安全に与えるリスクを緩和・防止する方策を示さなければなりませんが、同社の2021年の配慮計画ではプラスチックの使用が主要なリスクとして特定されていませんでした。プラスチックのリスクを配慮計画から除外することは法律違反であるとの警告に対し、ダノンの2022年12月末の回答が不十分であったことから、共同原告は訴訟に踏み切ったと説明しています。
ダノンは自社の公式ウェブサイトや年報の中で、(1) 2025年までにプラスチック容器包装材を100%リサイクル可能、再生利用可能または堆肥化可能にする、(2) 容器包装材におけるリサイクルプラスチックの混入率を増大させる、(3) バージンプラスチックの使用量を削減すると誓約していますが、共同原告は、いずれの方策も欺瞞であり、抜本的な解決策は脱プラスチックしかないと主張します。共同原告はダノンに対し、配慮計画において自社のプラスチック使用に関する包括的な見通しを示すことを要求しており、具体的には、製造から輸送、販売までの全プロセスにおいて使用されるプラスチックを網羅的に評価することを求めています。
どの企業も現在進行形でプラスチックの削減に取り組んでいるなかで、グローバル企業が糾弾されるというニュースですが、今後もその動向に注視する必要があるでしょう。
エンヴィックスでは、世界のプラスチック規制についての現状と今後の予定について調査可能ですので、何かお困りのことがあれば遠慮なくご連絡ください。
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2024年9月13日 |
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容器・包装材 | ケミカルリサイクル動向 | 2023年9月22日 |
プラスチックペレット規制動向 | 2023年9月22日 | |
世界のマイクロプラスチック規制動向 | 2023年9月1日 |
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