欧州連合（EU） 欧州連合（EU）の主要規制テーマ

EU エコデザイン規則（ESPR）／エネルギーラベル規則

EnviXは「エコデザイン規則（ESPR）、エネルギーラベル規則」について、規制動向の調査報告書を作成・提供しております。

基本情報・概要

エコデザイン規則（ESPR）

欧州連合（EU）で2024年6月28日、従来のエコデザイン指令2009/125/ECに置き換わる法律として、「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(EU) 2024/1781」（以下、「ESPR」）が官報で公布され、同年7月18日に発効した。国内法への置き換えが必要な「指令」から、すべての加盟国で直接適用される「規則（Regulation）」に格上げされたESPRは、EUで製品を上市または使用開始するために遵守すべきエコデザイン要求事項を設定するための「枠組み」を定めるものである。

指令から強化された主な点は、対象製品をEUで上市されるほぼすべての製品へと拡大したこと、製品に適用されるエコデザイン要求事を幅広い側面に広げたこと、売れ残り消費財の破棄を防止するための枠組みを導入したことなどである。また、製品の情報を提供・共有するためのツールであるデジタル製品パスポート（DPP）の導入も規定している。

ESPRは、以下に示す全14章（全80条）および8つの附属書で構成されている。

  • 第1章 一般規定（第1～3条）
  • 第2章 エコデザイン要求事項（第4～8条）
  • 第3章 デジタル製品パスポート（第9～15条）
  • 第4章 ラベル（第16～17条）
  • 第5章 優先付け、計画立案およびコンサルテーション（第18～22条）
  • 第6章 売れ残った消費財の破棄（第23～26条）
  • 第7章 経済事業者の義務（第27～38条）
  • 第8章 製品の適合性（第39～47条）
  • 第9章 適合性評価機関の届出（第48～63条）
  • 第10章 インセンティブ（第64～65条）
  • 第11章 市場監視（第66～68条）
  • 第12章 セーフガード措置（第69～71条）
  • 第13章 委任された権限および委員会手続き（第72～73条）
  • 第14章 最終規定（第74～80条）
  • 附属書I 製品パラメータ
  • 附属書II 性能要件の定義手順
  • 附属書III デジタル製品パスポート
  • 附属書IV 内部生産管理（モジュールA）
  • 附属書V EU適合宣言書
  • 附属書VI 自主規制措置の基準
  • 附属書VII 経済事業者による破棄が禁止される消費財
  • 附属書VIII 相関表

第一次ESPR作業計画

ESPRの下、最初の作業計画が2025年4月19日までに採択される予定である。作業計画には、エコデザイン要求事項の設定に優先的に取り組むべき製品グループのリストと、その設定スケジュールが定められる（ESPR 第18条）。その製品グループとは、鋼鉄、アルミニウム、繊維製品（特に衣料品および履物）、家具（マットレスを含む）、タイヤ、洗剤、塗料、潤滑剤、化学品、エネルギー関連製品、ICT製品およびその他の電子機器である。作業計画の採択後、個々の製品ごとの委任法（delegated act）が公布される予定である。委任法では、製品ごとに適用される具体的なエコデザイン要求事項が規定される。

ESPRに関するFAQ

欧州委員会は2024年9月25日、『持続可能な製品のためのエコデザイン規則（ESPR）：よくある質問と回答集（FAQ）』を公表した。同書は、ESPRに関連して、2024年5月に開催された欧州委員会ウェビナーにて、ステークホルダーから寄せられた質問とその回答をまとめたものである。特にDPP、作業計画および委任方の策定、懸念物質（SoC：substance of concern）の質問件数が多かったため、ステークホルダーはこれらのテーマに関心が高いと見られる。

エコデザインフォーラム

欧州委員会は2024年11月7日、ESPRの枠組みにおける「エコデザインフォーラム（Ecodesign Forum）」の設立を発表し、同フォーラムのメンバー募集を開始した（受付は12月5日まで）。エコデザインフォーラムは、加盟国が任命する専門家とともに、産業界、市民団体、学界の代表などの幅広い利害関係者（最大250名）で構成され、エコデザイン要求事項の策定や、ESPR作業計画の策定、売れ残り消費者製品の廃棄禁止の評価といった、ESPRプロセスにおける重要な段階で協議を行う（ESPR 第19条）。同フォーラムの第一回会合は2025年初頭に開催される予定である。

ESPR関連のマイルストーン

2024年7月18日 ESPR発効
2024年9月25日 ESPRのよくある質問と回答集（FAQ）公表
2024年11月7日 エコデザインフォーラム設置、メンバー募集開始（受付は12月5日まで）
2025年初頭 エコデザインフォーラム第1回会議開催
2025年4月19日まで 第1次作業計画の採択
2025年7月以降 製品別の委任法の採択
2026年7月 売れ残った製品（衣類、履物）の廃棄禁止
2027／2028年 最初の製品別要件の適用開始

エネルギーラベル規則

EUでは2017年8月1日、エネルギーラベリングの枠組みを設定する規則（EU）2017/1369が発効した（これに伴いエネルギーラベル指令2010/30/EUは2017年7月31日をもって廃止）。同規則は、消費者の購入決定に役立つように、エネルギー効率やエネルギー消費量などの情報を提供し、エネルギー関連製品（ErP：Energy-related Products）向けラベリングの枠組みを規定するものである。ラベルに関する要求事項詳細は、製品グループ別に制定される「委任法（delegated act）」で規定されている。

以前の指令2010/30/EUの下では、エネルギーラベル上で、「A+++ ～ G」のスケールによる省エネクラスが表示されていたが、本規則（EU）2017/1369では、明瞭な「A」（最も効率が良い）～「G」（最も効率が悪い）のスケールが採用されている。

エネルギーラベルに関して、ESPRでは、「規則(EU)2017/1369に従って設定されたErPについて、本規則第7条（4）で言及される性能に関する情報を含め、関連製品パラメータに関する情報をエネルギーラベルに組み込むことができない場合、かつ当該情報がエネルギーラベルでカバーされる情報よりも関連性が高く包括的だと考えられる場合、欧州委員会は、（顧客に混乱を招くリスクや経済事業者の管理負担、また当該情報を伝達する最善の方法を評価した上で）規則(EU)2017/1369に従って設定されたエネルギーラベルの代わりに、本規則に従ったラベルの設定を要求することができる」と規定している（ESPR 第16条）。

（最終更新：2024年11月15日）

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EU エコデザイン規則（ESPR）／エネルギーラベル規則

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