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EV特集レポート EUの規制枠組みにおけるPHEVの現在とこれから

EV特集レポート
欧州連合(EU)の規制枠組みにおけるプラグインハイブリッド車 (PHEV)の現在とこれから
発売のお知らせ

欧州では最近、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)の隠れた環境コストやPHEVに関連するEU車両型式認証制度の構造的欠陥が公になりつつあります。欧州の交通・環境NGOであるT&Eは2025年9月、「域内で2023年に登録されたPHEVの実際のCO2排出量は、公称値のほぼ5倍であった」とする分析結果を公表しました。

PHEVの実走行値と公称値のギャップの原因は、主にユーティリティ・ファクター(UF)にあると見られています。UFは、PHEVのCO2排出量(公称値)を推定するためにWLTP(乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法)で使用されるパラメータであり、全走行距離に対するCD(charging-depleting)モード走行割合を反映したものです。欧州委員会はこのギャップを改善するために、2023年9月施行の法律の下でUFを修正し、さらにPHEVの車両型式認証試験方法を改善しました。新しいUFは2025/2026年と2027/2028年の二段階に分けて適用されることになっています。これらのUFが適用されると、PHEVのCO2排出量公称値は大幅に増加します。自動車メーカーにとっては、EUのCO2排出目標を達成する上でのPHEV販売のメリットは低下し、場合によっては多額の罰金リスクを伴う可能性もあります。このため、欧州の自動車業界は現在、UF修正の凍結を求めてロビー活動を展開しています。その主な舞台となっているのが、欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長が2025年1月に立ち上げた、欧州委員会と自動車業界の間の「欧州自動車産業の将来に関する戦略的対話」です。

PHEVとそのUFをめぐる議論は、EUの自動車排出規制や車両型式認証制度だけでなく、EUの環境・気候政策全般に対する信頼性にも関わるものです。また、この議論の行方は今後10年間の欧州自動車市場のあり方にも大きな影響を及ぼすでしょう。このような背景のもと、この特集レポートでは、現行のEU規制枠組みにおけるPHEVの位置付けと最新の政策議論の動向を整理してまとめました。

本製品について

弊社では本資料を下記の要領で提供しております。

製品名 特集レポート
欧州連合(EU)の規制枠組みにおけるプラグインハイブリッド車 (PHEV)の現在とこれから
発売・更新日 2025年10月20日
納品物 PDFファイル(A4判 25頁)
製品は同一法人内での共有が可能です。(社内で広く共有される際は、外部へ流出しないようご注意ください)
販売価格 24,000円(税別)
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担当:中里、真壁、劉

目次と構成

  • 1. EU規制とPHEV
    • 1.1. プラグインハイブリッド自動車とは
    • 1.2. OBFCM
    • 1.3. ユーティリティ・ファクター
    • 1.4. 2035年以降のPHEV
  • 2. PHEVのCO2排出量の実態
    • 2.1. 欧州委員会の公式見解:「PHEVの実際のCO2排出量は公称値の3.5倍」
    • 2.2. T&E最新レポート:「実走行値と公称値の差は2023年に5倍に拡大」
    • 2.3. PHEVユーザーの充電・走行パターン
  • 3. PHEV関連規制の見直し
    • 3.1. ユーティリティ・ファクターの見直し
    • 3.2. 欧州委員会規則(EU) 2023/443(Euro 6e)
  • 4. 2025年のPHEVからのCO2排出量予測
    • 4.1. PHEVの電気走行航続距離の延長による影響
    • 4.2. 2025/26年向けユーティリティ・ファクターの適用による影響
  • 5. EUにおけるPHEV関連政策議論の動向
    • 5.1. 業界の要求
    • 5.2. 欧州委員会の動き
  • 6.終わりに(まとめ)

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2018年10月17日
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下表は欧州連合(EU)の自動車規制情報に関する報告書の一覧です。

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自動車全般 EU 自動車排ガス規制(有害物質・GHG) 2021年1月9日
EU 電気自動車(EV / PHEV)・燃料電池車(FCV)政策 2020年7月4日
EU ELV指令/ELV規則案 2018年12月1日

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