
参加報告:第4回環境化学物質合同大会にて、化学物質とネイチャーポジティブに関する情報収集
EnviX研究員は2025年7月17日~18日の2日間にかけて、山形県で開催された第4回環境化学物質合同大会に参加し、化学物質管理とネイチャーポジティブに関する情報収集を行った。本学会は日本環境化学会と日本環境毒性学会の共同主催であり、環境汚染物質の最新の分析法や汚染状況、生態毒性に関する研究成果の発表とともに、本学術分野が社会にどう貢献するか等についてディスカッションやセミナー等が開催される。今回は「環境化学物質のリスク学・環境毒性学とネイチャーポジティブ・TNFDとの節合点」のテーマで特別企画が組まれており、国内企業のサステナブル担当者が企業でのTNFD取り組み事例を、研究所の研究員がTNFDでの生物多様性の定量評価に関する提案を、それぞれの立場から発表を行った。ネイチャーポジティブ創出への具体策、特に生物多様性の定量化について、新たな知見を得ることができた。
EnviX追加:本特別企画の意義
本特別企画は、以下の3つの意義を持つと考える。
- アカデミアの知見と、企業における実務の課題を融合し、学術と実務の架け橋を築く場・機会とする。
- 環境毒性学や環境化学の専門知識が、TNFD実装の中核を担えることを示す。
- 持続可能な社会に向けた学術の社会貢献を可視化する。
1点目の「企業における実務の課題」は、「生物多様性の向上・改善をどのように定量化するか」「化学物質の規制や排出量の削減と生物多様性との関係性をいかに示すか」といった課題が想定されていた。これらは多くの企業が対応に苦慮する課題であり、そこに対して環境毒性学や環境化学といった学術分野が、科学的根拠に基づいた具体的なアプローチや提案を行うことは、ネイチャーポジティブの実現に向けた貢献につながる。さらに本企画では、コンサルティング業、製造業、国立大学、公的研究機関といった多様なセクターから登壇者が集まっており、普段は交わる機会の少ない立場同士が、ネイチャーポジティブやTNFDといった共通の目標に向かって知見を共有し、課題認識を深めるための有意義な情報交換の場となっていた。
生物多様性の定量化に関する学術分野からの提案
企業からは、ライフサイクルアセスメントで用いられる毒性特化係数が、化学物質の生物多様性への影響を定量的に表すほぼ唯一の指標ではないかと発表があった。これに対し研究機関からは、野外での生物調査や生物応答試験(WET試験)などの実測データの結果をもとに、多様度指数や種の感受性分布(SSD)を用いた評価を行い、化学物質の排出量とあわせて継続的なモニタリングを実施することの重要性が強調された。
関連URL
第4回環境化学物質合同大会ウェブサイト
https://j-ec.or.jp/conference/33rd/index.html
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日本の環境法・環境規制動向
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海外環境規制トレンド・レポート
下表は日本の化学物質規制情報に関する報告書の一覧です。
規制分野 | 規制テーマ(報告書の名称) | 更新日 |
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化学物質 |
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2021年1月28日 |
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2021年1月28日 | |
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2021年1月28日 |
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