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日本、ストックホルム条約(POPs条約)新規対象物質の化審法第一種特定化学物質としての指定についての3省合同審議会を開催

日本で、2025年6月20日に残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(以下「POPs条約」という)において新たに対象となった物質の取扱に関する3省(厚生労働省、経済産業省、環境省)の合同会議が開催された。対象となるのは、クロルピリホス、中鎖塩素化パラフィン(MCCP)並びに長鎖ペルフルオロカルボン酸(LC-PFCA)とその塩及びLC-PFCA関連物質である。各物質の主な用途は以下の通りである。

  • クロルピリホス:有機りん系の殺虫剤で、主に殺虫剤やシロアリ駆除剤として使用されてきた。
  • 中鎖塩素化パラフィン:炭素数14~17のパラフィン系炭化水素に塩素原子が結合した化学物質の混合物。難燃剤、可塑剤、潤滑剤などに使用される。
  • 長鎖ペルフルオロカルボン酸(LC-PFCA:PFASの一種で、特に炭素鎖長が長いものを指す。撥水性や撥油性、耐熱性、耐薬品性などの特性を持ち様々な製品に使用されている。

化審法による対応(案)については、これらの物質群が、難分解性、高蓄積性、かつ長期毒性を有することから、化審法第一種特定化学物質に指定することとした(本合同会議の資料1の別表のNo.1~3、具体的には下表の通り)。

No. 化学物質名 化審法官報公示整理番号
(参考)
1 チオりん酸O・O-ジエチル-O-(3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル)(別名クロルピリホス) 5-3724
2 中鎖塩素化パラフィン(以下の(1)、(2)又は(1)かつ(2)を満たす物質) 2-68
(1) 炭素数が14から17までのものであって、かつ塩素含有率が重量比で45%以上である直鎖クロロアルカンを含有する 物質又は混合物
(2) 以下の分子式を有する炭素数が14から17までの直鎖クロロアルカンを含有する物質又は混合物
C14H(30−y)Cly(y ≥ 5)
C15H(32−y)Cly(y ≥ 5)
C16H(34−y)Cly(y ≥ 6)
C17H(36−y)Cly(y ≥ 6)
3 (1) ペルフルオロアルカン酸(炭素数が9以上21以下のものに限る。)(別名長鎖PFCA、LC-PFCA)又はこれらの塩 2-2659
(2) ペルフルオロアルカン酸関連物質(フッ素、塩素又は臭素以外の原子に直接結合するペルフルオロアルキル基(炭素数が8以上20以下のものに限る。)を有する化合物であって、自然的作用による化学的変化によりペルフルオロアルカン酸(炭素数が9以上21以下のものに限る。)を生成する化学物質として厚生労働省令、経済産業省令、環境省令で定めるもの)

LC-PFCA関連物質については、個別具体的な物質ではなく、以下の要件を満たした「例示的リスト」が作成されている。

  • フッ素、塩素又は臭素以外の原子に直接結合した炭素数8以上20以下のペルフルオロアルキル基を有する化合物

この例示的リストに変更があっても機動的に第一種特定化学物質として指定できるようにするため、具体的な物質群は省令で定めることとした。(資料1の別表3の(2))

具体的な物質を示した例示的リストは、合同会議資料1の別添2に公開されている。

今後の予定

  • 2025年9月以降
    3省合同会合における輸入禁止製品等に係る審議
  • 2025年冬以降
    TBT通報、化審法施行令の一部を改正する政令案に関するパブリックコメント
  • 2026年以降
    • 改正政令公布
    • 3省合同会合におけるLC-PFCA関連物質に係る審議、LC-PFCA関連物質の指定に係る省令の公布
    • 改正政令、省令の施行

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規制分野 規制テーマ(報告書の名称) 更新日
化学物質 日本 安衛法 労働安全衛生、化学物質の分類・表示、GHS、特化則等 2021年1月28日
化管法(PRTR法) 化学物質の排出・移動管理、情報伝達等 2021年1月28日
日本 化審法 化学物質の審査・評価、製造・輸入規制等 2021年1月28日

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