日本 日本の環境法規制情報

日本・環境省、PFOSおよびPFOAを水道法の水質基準項目に追加、2026年4月施行へ

日本の環境省は、2025年6月30日、水道水中の有機フッ素化合物であるペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)およびペルフルオロオクタン酸(PFOA)の管理を強化するため、以下の2件の省令を公布した。いずれの省令も2026年4月1日から施行される。

  • 水質基準に関する省令の一部を改正する省令(令和7年(2025年)6月30日環境省令第19号)
  • 水道法施行規則の一部を改正する省令(令和7年(2025年)6月30日環境省令第20号)

前者の省令は、「水質基準に関する省令(平成15年(2003年)厚生労働省令第101号)」の一部を改正し、PFOSおよびPFOAの水質基準値として、それらの合算値で0.00005 mg/L(50 ng/L)以下とすることが新たに追加された。一方で後者の省令は、水道法施行規則(昭和32年(1957年)厚生省令第45号)を一部改正し、今回水質基準として追加されたPFOSおよびPFOAの検査の回数をおおむね3か月に1回以上を基本とするとした。したがって水道事業者や地方公共団体には、2026年4月以降、PFOSおよびPFOAの検査が義務付けられることとなった。

また、同じく2025年6月30日に環境省から「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の施行等について(通知)」も発表された。本通知は、上記の水道法に関する2件の省令公布に伴い、公共用水域および地下水におけるPFOSおよびPFOAの基準値を「指針値(暫定)」から「指針値」に変更するものである。公共用水域および地下水においては、2020年5月以降、水質汚濁防止法の「要監視項目」に位置づけられ、「指針値(暫定)」としてPFOS及びPFOAの合算値で50 ng/Lが設定されていた。

水道水中PFOSおよびPFOA規制の経緯

公布日 概要
2020年3月
  • 「水質管理目標設定項目」(水質管理上留意すべき項目)に位置づけ
  • 「暫定目標値」(PFOS及びPFOAの合算値で50 ng/L以下、努力目標値)が設定
2025年6月
  • 「水質基準」に位置づけ
  • 基準値(PFOS及びPFOAの合算値で50 ng/L以下)が法的義務化
  • 施行日:2026年4月

水道水質基準について

水道法第4条に基づく水質基準は、水質基準に関する省令(平成15年(2003年)5月30日厚生労働省令第101号)により定められており、汚染物質の毒性に関する情報の有無等によって、以下に示すような3つの分類に位置づけられる(Fig. 1)。


Fig. 1 水道水質基準の分類(環境省ウェブサイトから引用)

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規制分野 規制テーマ(報告書の名称) 更新日
化学物質 日本 安衛法 労働安全衛生、化学物質の分類・表示、GHS、特化則等 2021年1月28日
化管法(PRTR法) 化学物質の排出・移動管理、情報伝達等 2021年1月28日
日本 化審法 化学物質の審査・評価、製造・輸入規制等 2021年1月28日

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