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日本、「化学物質に関するグローバル枠組み(GFC)の国内実施計画(案)」を意見募集

日本で、2025年2月18日に、「化学物質に関するグローバル枠組み(GFC)-化学物質や廃棄物の有害な影響から開放された世界へ-の国内実施計画(案)」が公表された。意見募集の期間は2025年3月21日まで。本実施計画は、化学物質のライフサイクル全体に係る包括的な化学物質管理を示すもので、5つの戦略的目的と28のターゲットの達成を目標として取組を進める。GFCは、「国際的な化学物質管理に関する戦略的アプローチ(SAICM)」の後継となる新たな枠組みであり、2023年9月に開催された第5回国際化学物質管理会議(ICCM5)で採択された。

5つの戦略的目的の概要

  • 戦略的目的 A
    ライフサイクルを通じて、化学物質の安全で持続可能な管理を支援し、達成するための法的枠組み、組織的メカニズ
    ム及び能力が整備されている。
    この戦略目的は7つのターゲットが設定されている。
    化学物質と廃棄物による有害な影響を防止する法的枠組みについては、SAICMに基づく化学物質管施策を進めてきており、引き続き関連法令の確実な実施と、取組内容や各基準等の検討・見直し、諸外国の法制度との調和化を進めていくとしている。
  • 戦略的目的 B
    情報に基づいた意思決定と行動を可能にするために、包括的で十分な知識、データ及び情報が生成され、利用可能で、
    全ての人に入手可能である。
    この戦略目的は7つのターゲットが設定されている。
    バリューチェーン全体を通じた化学物質に関する情報はchemSHERPAなどの情報伝達ツールを用いて企業間同士で実施しているが、部品リユース・リサイクル材情報などの資源循環情報も取入れた新たな企業・業界を跨いだ伝達可能な製品環境に関する情報伝達基盤の構築を目指して検討を進めるとしている。
    化学物質の有害性及びリスク評価に関する取組として、AI技術を用いて、化学物質の構造情報等から、生体内での毒性発現メカニズムを推計し、毒性を予測するAI‐SHIPSの開発を行い、さらに、人口知能を用いた分解性を予測するQSARモデル(AI-QSAR)の開発も進めている。
  • 戦略的目的 C
    懸念課題が特定され、優先順位が付けられ、対処される。
    この戦略目的は1つのターゲットが設定されている。
    ここでは、懸念課題の特定化、優先化、対応を順次進めて行くことが掲げられ、懸念課題の例として、PFOS、PFOA等のPFAS、化学物質の内分泌撹乱作用、ナノマテリアルなどの対応状況が上げられている。
  • 戦略的目的 D
    人の健康と環境へのベネフィットが最大化され、リスクが 防止され、防止が実行不可能な場合は最小化されるように、 製品のバリューチェーンにおいて、より安全な代替品と革 新的で持続可能な解決策が存在する。
    この戦略目的は7つのターゲットが設定されている。
    この戦略目的では、化学物質の製造から使用、循環利用、廃棄に至るライフサイクル全体を通じた環境リスクの最小化を目指している。その中で、循環型社会の形成に関する施策では、リサイクル原料への有害物質の混入について、バリューチェーン全体を通じて材料や製品に含まれる化学物質に関する信頼できる情報を可能な限り入手可能とする取組等を推進するとしている。
  • 戦略的目的 E
    増大した効果的なリソース動員、パートナーシップ、協力、 能力形成及び全ての関連する意思決定プロセスへの統合を 通じて、実施が強化される。
    この戦略目的は6つのターゲットが設定されている。
    化学物質と廃棄物の適正管理のために、目的に沿って公的資金・民間資金を問わず必要な資金が動員されることが必要だとしている。国内の取組としては廃棄物適正処理のための交付金の交付、事業者の不適正処理等を行った場合における都道府県の支障除去に対する支援制度がある。国際的な取組としては、バーゼル条約、ストックホルム条約及びロッテルダム条約(化学物質・廃棄物関連3条約)の連係について効率的な実施に向けて協力するとしている。

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下表は日本の化学物質規制情報に関する報告書の一覧です。

規制分野 規制テーマ(報告書の名称) 更新日
化学物質 日本 安衛法 労働安全衛生、化学物質の分類・表示、GHS、特化則等 2021年1月28日
化管法(PRTR法) 化学物質の排出・移動管理、情報伝達等 2021年1月28日
日本 化審法 化学物質の審査・評価、製造・輸入規制等 2021年1月28日

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