東南アジア各国のプラスチック規制
近年、東南アジア諸国において、プラスチック包装材による環境負荷への懸念が高まる中、各国は法制度を通じた規制強化を進めています。特に、生産者責任拡大(EPR)制度や容器包装廃棄物の回収・再資源化義務に関する法令が整備されつつあります。ここでは、東南アジアにおいてプラスチック包装材に関する法令を制定している国を取り上げ、各規制の概要を紹介します。
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各国の関連規制動向
ベトナム
ベトナム政府は2022年1月10日、「環境保護法の複数条項の詳細規定に関する政令08/2022/ND-CP」を制定しました。本政令の第77~86条には、2020年環境保護の第54、55条で定める包装材を含む廃棄製品のリサイクルに関する拡大生産者責任(EPR)制度の詳細を定めています。具体的に本政令では、規制対象製品リスト、必須リサイクル率、環境保護基金、リサイクル計画書の策定、製品情報の開示義務、リサイクル実績報告などの事項について詳細に規定しています。本政令の付属書XXIIに定められる製品・包装材をベトナム市場で販売することを目的とした生産者および輸入者は、本政令第78条に定められる必須リサイクル率およびリサイクル規格に従って、その製品・包装材のリサイクルを実施しなければなりません。
また、2025年1月6日に公布された「環境保護法の複数条項の詳細規定に関する政令08/2022/ND-CPの改正・補足に関する政令05/2025/ND-CP」においては、「製造者」と「輸入者」の定義が明確になり、該当する事業者には:①包装材のリサイクルの実施、または②ベトナム環境保護基金への納付の2択から1つ実施する義務が発生します。
2022年政令の詳細については、和訳ページをご確認ください。
ベトナムEPR規制 環境保護法の複数条項の詳細規定に関する政令08/2022/ND-CP
フィリピン
2022年7月23日に制定された「2022年拡大生産者責任法(共和国法第11898号)」に基づき、プラスチック容器包装材の生産者責任(EPR)制度が規定されています。プラスチック容器包装材を使用する総資産が1億ペソを超える企業に対し、EPRプログラムの策定・実施や回収目標の順守、監査の実施を義務付けています。本実施規則では、EPRプログラムの内容や申請方法、監査の実施方法などについてさらに具体的に定められました。
また、本法の具体的な順守対応方法を案内する「環境天然資源省行政命令第2023-02号 2022年拡大生産者責任法の実施規則」が2023年2月2日に公布されました。本実施規則では、以下の項目に関する情報をEPRプログラムに含めなければならないとしています。各項目の具体的な内容についても、実施規則のなかで規定されています。
本実施規則の詳細は、和訳ページをご確認ください。
フィリピンEPR 2022年拡大生産者責任法(共和国法第11898号)実施規則
シンガポール
シンガポールでは2019年に「資源持続可能性法(Resource Sustainability Act 2019)」が公布され、包装材、廃電気電子機器、食品廃棄物の3分野で規制が強化されました。包装材については、拡大生産者責任規制の準備段階として、包装材の使用量に関する報告書(包装材報告書)と3R計画書の提出が課されれることになり、「資源持続可能性(包装材報告)規則(Resource Sustainability (Packaging Reporting) Regulations 2020)」では、規制対象となる包装材を定めています。
2020年規則の詳細は、和訳ページをご確認ください。
シンガポール 資源持続可能性法・規則
また、上記で取り上げられていないタイ、インドネシア、マレーシアでは、プラスチック包装材に特化した法規制は制定されていない状況ですが、プラスチック廃棄物の削減や、使い捨てプラスチックの廃止、包装材への再生材の使用などの目標が掲げらています。
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無料情報は以上となります(2025年8月29日最終更新)。
包装材規制テーマに関する最新情報、中長期動向報告書のご要望、また個別調査等のご相談などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
プラスチック規制 法体系ガイド
プラスチック規制を把握する最初の一冊として作成した本法体系ガイドは、プラスチックに関連する法規制を主な規制分野ごとに分けてまとめました。法規の内容全てを詳細にまとめているものではありませんが、東南アジア各国のプラスチック規制の全容を簡潔に把握していただくための手引としてお使いいただければ幸いです。
プラスチック規制 法体系ガイド
対象分野
ガイドは、基本的に下記の分野を網羅する形で作成しております。
- 基本政策
- 廃棄物
- 包装材
- エコデザイン
- マイクロプラスチック
- 生分解性プラスチック
- 使い捨てプラスチック
- その他(NGOや産業界の動向など)
その他
現状の公布された法規制および一部、重要な法案をとりあげております。規格は有料のため、基本的には紹介程度にとどめております。多くの法規制については細かい規定までは記載しておらず、概要をまとめております。
より詳細な内容を調査、報告する委託調査も承っております。
セミナー・イベント情報
当社主催の東南アジア関連セミナーをご紹介します。
規制テーマ | セミナー・イベント名称 | 開催日 |
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全般 |
世界環境法規制ウェビナー2024(終了)
2024年10月16日(水)より全4日間12講演をライブ&オンデマンド配信 欧州、米州、中国、東南アジアにおける環境規制の最新動向を総まとめする年に1度のシリーズ・ウェビナーです。 |
2024年10月17日 |
無料ウェビナー 世界の最重要環境規制トレンド解説(終了)
2024年6月20日に発売した世界環境規制トレンド・レポート第32号の中から最も重要な10テーマをピックアップして解説する無料ウェビナーを開催します。 |
2024年7月24日 | |
無料ウェビナー ESG & コロナ時代の海外環境コンプライアンスを考える(終了) | 2020年12月17日 | |
容器・包装材 |
包装材規制ウェビナー2025(終了)
EU、米国、インド、ASEANを対象として、包装材に関する基本的な法規制の概要から、その最新動向、日本企業の皆様が注目すべき点などを中心に解説します。 |
2025年6月17日 |
プラスチック規制基礎解説ウェビナー(オンデマンド配信)
近年、包装材の拡大生産者責任や使い捨てプラスチックをはじめとしたプラスチック製品の流通禁止など、世界中でプラスチック規制の整備が進んでいるのは皆さんもご存じのことかと思います。本ウェビナーでは、国際、欧州、中国、米国、東南アジア・南アジアにおけるプラスチック規制の基礎的な概要および要件を解説します。 |
2023年11月21日 | |
プラスチック規制動向ウェビナー(オンデマンド配信)
EU、米国、中国を中心に世界における使い捨て/廃プラ規制、容器包装材規制、マイクロプラスチック/マイクロビーズや生分解性プラスチックに関する規制動向を解説します。 |
2022年11月8日 |
全開催履歴は下記リンクよりご覧ください。
セミナー・イベント一覧
毎年好評をいただいております「世界環境法規制セミナー(毎年秋頃開催)」に加え、不定期で専門セミナーを企画しております。セミナー開催情報は当サイトと合わせ、海外環境規制メルマガ(無料)でもご案内しております。 海外環境規制メルマガ(無料)
関連製品
EnviXは企業の環境コンプライアンスや経営・市場戦略立案に役立つ情報を提供を提供しております。
東南アジアの環境法・環境規制動向
東南アジアの容器・包装材規制情報に関連する製品を下記に紹介します。
規制分野 | 製品区分 | 製品・サービス名 | 発売・更新日 |
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全般 | 法体系ガイド |
![]() タイ進出企業必携! 環境法体系の枠組みを、化学物質管理、廃棄物管理、省エネ水、大気等を中心に概説 |
2020年12月1日 |
法体系ガイド |
![]() ベトナムへ製品を輸出、または工場進出されている企業向けに、化学物質、廃棄物、省エネ、水、大気、騒音・振動・悪臭の法体系、重要法規の概要をまとめた調査報告書です。 |
2020年2月7日 | |
法体系ガイド |
![]() |
2018年10月1日 | |
法体系ガイド |
![]() |
2017年3月1日 | |
法体系ガイド |
![]() |
毎月更新 | |
法体系ガイド |
![]() |
2015年11月1日 | |
法体系ガイド |
![]() |
2014年12月1日 | |
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海外環境法規制モニタリング
世界全体の環境法規制の動向をお届けする基幹サービス。同分野の豊富な知識と経験、高度な翻訳能力を兼ね備えた当社研究員が厳選した価値ある情報を速報、月例報告書、検索可能なWEBアーカイブでご提供します。 |
常時更新 | |
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海外環境規制トレンド・レポート
世界主要国における環境法規制の直近6ヶ月から1年間の動向を中心に調査し、ご報告する調査報告書です。 |
年2回更新 | |
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毎月配信 | |
容器・包装材 | 法規和訳 |
![]() 本法ではプラスチック容器包装材の生産者責任制度を規定しており、EPRプログラムの策定・実施や回収目標の順守、監査の実施を義務付けています。 |
2023年8月25日 |
法規和訳 |
![]() 本政令の第77~86条には、2020年環境保護の第54、55条で定める廃棄製品・包装材のリサイクルに関する拡大生産者責任(EPR)制度の詳細を定めています。 |
2022年4月30日 |
EnviXは各国の環境規制テーマについて、その中長期動向の調査報告書を作成・提供しております。
海外環境規制トレンド・レポート
下表は東南アジアの容器・包装材規制情報に関する報告書の一覧です。
規制分野 | 規制テーマ(報告書の名称) |
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容器・包装材 | 東南アジア各国のプラスチック規制 |
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EnivXでは日々の海外の環境規制動向の情報提供業務に裏付けられた、様々なノウハウやネットワークを活用し、お客様の様々な個別のご要望にお応えする調査のご相談も承っております。委託調査ページでは実績例等のご紹介もしておりますので、参考にされた上で、まずはお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。
個別調査・海外現地調査
コラム・無料記事
東南アジアに関連するコラム・無料記事(不定期更新)の一覧です。
規制テーマ | コラム・無料記事 | 更新日 |
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全般 |
東南アジア地域の環境規制動向(2)
東南アジア地域における最近1年間の主要動向を総ざらいし、解説します。世界環境法規制ウェビナー(10月開催)に向けた特別コラムです。 |
2020年9月2日 |
東南アジア地域の環境規制動向(1)
東南アジア地域における最近1年間の主要動向を総ざらいし、解説します。世界環境法規制ウェビナー(10月開催)に向けた特別コラムです。 |
2020年9月1日 | |
容器・包装材 |
![]() 対象事業者(プラスチック包装廃棄物を発生させる総資産が1億ペソ以上の製品生産者)には、EPRプログラムの策定、実施やプラスチック包装の回収義務が課される。 |
2022年8月31日 |