国際、その他の国・地域の主要規制テーマ

SDGs(持続可能な開発目標)

2015年9月25日に第70回国連総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development)」の「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」の「目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する」の「ターゲット12.4」は「2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する」と規定している。

ターゲット12.4の「グローバル指標(Global Indicator)」である12.4.1の「有害廃棄物や他の化学物質に関する国際多国間環境協定で求められる情報の提供(報告)の義務を果たしている締約国の数」で、「5つの多国間環境協定(MEA: multilateral environmental agreements)について、各MEAの事務局に関連情報を提出した締約国(5つのMEAについて、批准、受諾、承認またはアクセスした国)の数をいう」と定義されている。5つのMEAとは以下の通りである。

  1. 有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(以下、「バーゼル条約」と省略する)
  2. 国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約 (以下、「PIC条約」と省略する)
  3. 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約 (以下、「POPs条約」と省略する)
  4. オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書
  5. 水銀に関する水俣条約(以下、「水俣条約」と省略する)

以下、各条約の概要となります。各条約の採択経緯・対象物質や製品については、上記リンクより各条約のページを御覧ください。

バーゼル条約

バーゼル条約とは、特定の有害廃棄物の国境を越える移動などの規制についての国際的な枠組みおよび手続きなどを規定した国際条約であり、1992年5月5日に発効している。

法規・政策の名称(現地語名) 公布日・施行日等
有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(バーゼル条約)
Basel Convention on the Control of Transboundary Movements of Hazardous Wastes and their Disposal
採択日:1989年3月22日
発効日:1992年5月5日

当該条約の本文および附属書は2019年改訂版が最新である。当該条約の締約国数は188で、事務局は、条約に定められた業務(締約国への通報等)を行うため、ジュネーブに設置されている。事務局職員の人事権は、「国際連合環境計画(UNEP)」が有している。

当該条約の第15条(締約国会議/Conference of the Parties)の第5項(e)に基づいて、本条約の実施に必要と認められる補助機関として「公開作業部会(OEWG: Open-ended Working Group)」および「バーゼル条約施行・遵守委員会(ICC:Basel Convention Implementation and Compliance Committee)」を設置している。
バーゼル条約

ロッテルダム条約(PIC条約)

PIC条約とは、先進国で使用が禁止または厳しく制限されている有害な化学物質や駆除剤が、開発途上国に無秩序に輸出されることを防ぐために、締約国間の輸出に当たっての「事前通報・同意手続(PIC: Prior Informed Consent)」等を規定している国際条約であり、2004年2月24日に発効している。

法規・政策の名称(現地語名) 公布日・施行日等
国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約(PIC条約/ロッテルダム条約)
Rotterdam Convention on the Prior Informed Consent Procedure for Certain Hazardous Chemicals and Pesticides in International Trade
採択日:1998年9月10日
発効日:2004年2月24日

当該条約の本文および附属書は2019年改訂版が最新である。当該条約の締約国数は164で、事務局は「国際連合環境計画(UNEP)」および「国際連合食糧農業機関(FAO: Food and Agriculture Organization of the United Nations)」である。
ロッテルダム条約(PIC条約)

ストックホルム条約(POPs条約)

POPs条約とは、環境中での残留性、生体蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等の「残留性有機汚染物質(POPs: Persistent Organic Pollutants)」の、製造および使用の廃絶/制限、排出の削減、当該物質を含有している廃棄物等の適正処理等を規定している国際条約であり、2004年5月17日に発効している。

法規・政策の名称(現地語名) 公布日・施行日等
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約/ストックホルム条約)
Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants
採択日:2001年5月22日
発効日:2004年5月17日

当該条約の本文および附属書は2019年改訂版が最新である。POPs条約の現時点での締約国数(Number of Parties)は184で、事務局は「国際連合環境計画(UNEP: United Nations Environment Programme)」である。

当該条約の第6条の「在庫及び廃棄物から生ずる放出を削減しまたは廃絶するための措置(Measures to reduce or eliminate releases from stockpiles and wastes)」の第1項の(d)(ii)に「国際的な規則、基準及び指針並びに有害廃棄物の管理について規律する関連のある世界的及び地域的な制度を考慮して、残留性有機汚染物質である成分が残留性有機汚染物質の特性を示さなくなるように破壊され若しくは不可逆的に変換されるような方法で処分されることまたは破壊若しくは不可逆的な変換が環境上好ましい選択にならない場合若しくは残留性有機汚染物質の含有量が少ない場合には環境上適正な他の方法で処分されること」と規定されており、同条の第2項で締約国会議は、「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」の適当な機関と「第1項の(d)(ii)に規定する少ない残留性有機汚染物質の含有量を定めるため、適当な場合には、附属書A、附属書B及び附属書Cに掲げる化学物質の濃度の水準を確立する作業を行うこと」において緊密に協力すると規定されている。
ストックホルム条約(POPs条約)

水俣条約

水俣条約とは、水銀および水銀化合物の人為的な排出から人の健康及び環境を保護する目的で、水銀の採掘、貿易、製品や製造プロセスへの使用、排出等の規制を包括的に定めた国際条約であり、2017年8月16日に発効している。

法規・政策の名称(現地語名) 公布日・施行日等
水銀に関する水俣条約
Minamata Convention on Mercury
採択日:2013年10月10日
発効日:2017年8月16日

当該条約の本文および附属書は2019年改訂版が最新である。当該条約の締約国数は136で、事務局は「国際連合環境計画(UNEP)」である。
水俣条約

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