日本 日本の環境法規制情報

日本 サーキュラー・エコノミーの実現に向け、資源循環体制の強化へ

2021年3月9日、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が可決された。その後、同法律案は、2021年1月から開催中の第204回通常国会に提出された。同年5月25日に衆議院で可決され、6月4日に参議院で可決された。同法は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること、とされている。2021年6月8日時点では未公布であるため、正確な施行日については特定できないが、遅くとも2022年6月・7月ごろまでには施行されると予想される。

法律案可決の背景

海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規則強化等への対応を契機として、国内におけるプラスチック資源循環を一層促進する重要性が高まっている。これを踏まえて、同法は、プラスチック使用製品の設計から廃棄物処理に至るまでのライフサイクル全般であらゆる主体におけるプラスチック資源循環の取り組みを促進するための措置を講じることを目的としている。

法律概要

同法は、以下の全9章(66条)から構成されている。

第1章 総則
第2章 基本方針等
第3章 プラスチック使用製品設計指針
第4章 特定プラスチック使用製品の使用の合理化
第5章 市町村の分別収集及び再商品化
第6章 製造事業者等による自主回収及び再資源化
第7章 排出事業者による排出の抑制及び再資源化等
第8章 雑則
第9章 罰則

目的と基本方針、具体的制度

同法第1条では、法律の目的を以下のように定めている。

(目的)
第一条
この法律は、国内外におけるプラスチック使用製品の廃棄物をめぐる環境の変化に対応して、プラスチックに係る資源循環の促進等を図るため、プラスチック使用製品の使用の合理化、プラスチック使用製品の廃棄物の市町村による再商品化並びに事業者による自主回収及び再資源化を促進するための制度の創設等の措置を講ずることにより、生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

したがって、同法は、以下を通じて生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的としている。

  1. プラスチック使用製品の仕様を合理化してプラスチック使用製品の廃棄物を削減すること
  2. 市町村による再商品化や事業者による自主回収・再資源化を促進するための措置を講じることでプラスチックのリサイクルを推進すること

さらに、プラスチックの資源循環の促進等を総合的かつ計画的に促進するため、以下の事項が基本方針として策定された。

  • プラスチック廃棄物の排出抑制、再資源化に資する環境配慮設計
  • ワンウェイプラスチックの使用の合理化
  • プラスチック廃棄物の分別収集、自主回収、再資源化 等

また、具体的な制度として、以下5つの施策が導入された。

  1. 製造事業者等が努めるべきプラスチック使用製品の設計指針の策定とそれに適合した製品の認定制度
  2. プラスチック製品使用合理化のために特定プラスチックの提供事業者が取り組むべき判断基準の策定
  3. 市町村によるプラスチック資源の分別収集・再商品化のための制度
  4. 製造事業者等による自主回収及び再資源化の促進のための制度
  5. プラスチック製品の廃棄物の排出事業者が排出抑制や再資源化等取り組むべき判断基準の策定及び排出事業者による再資源化

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