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中国財政部、企業サステナビリティ開示における気候関連開示基準を公布

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中国財政部、生態環境部などの9の中央行政機関は2025年12月19日、「企業サステナビリティ開示基準第1号 気候(試行)」を公布した。同基準は、ISSB基準の「サステナビリティ開示基準書S2号 気候関連開示」(IFRS S2)を参照しており、中核となるフレームワーク(ガバナンス、戦略、リスクと機会の管理、指標と目標)はIFRS S2と一致しているが、具体的な内容や開示要件は、中国の国情に合わせて調整されている。同基準では、実施範囲と要件が明確になるまでの期間については、企業は自主的に実施すると明記されている。今後、上場企業から非上場企業へ、大手企業から中小企業へ、自主開示から義務開示へと段階的に開示の対象範囲を拡大していく見通しである。

主な内容

本基準は、主に「ガバナンス」、「戦略」、「リスクと機会の管理」と「指標と目標」の4つの部分に関する内容を定めている。

  • 第1部「ガバナンス」
    企業の気候関連ガバナンスに関する開示目標を定め、ガバナンス機関または個人、経営情報、ガバナンス情報の統合開示、第三者検証に関する開示要件を定めている。
  • 第2部「戦略」
    企業の気候関連戦略に関する開示目標を定め、気候関連のリスクと機会に関する情報の開示要件、および同情報が企業戦略と意思決定に与える影響、現在および予想される財務的影響、気候変動へのレジリエンスなどの開示要求を定めている。
  • 第3部「リスクと機会の管理」
    企業の気候関連のリスクと機会の管理に関する開示目標を定め、気候関連のリスクと機会の管理プロセスの開示方法、同プロセスの企業の全体的なリスク管理プロセスへの統合レベルおよび統合開示の要件を定めている。
  • 第4部「指標と目標」
    一般的な業界指標、業界に特化した指標、気候関連目標、および温室効果ガス排出量の算出根拠などの内容を規定している。

IFRS S2との違い

本基準は、中核となるフレームワークにおいてIFRS S2とは高い一貫性を維持しているが、以下のように開示内容や開示要件など異なる部分もある。

  • 気候への影響の開示要件の追加
    IFES S2は、気候リスクが企業の財務状況に与える影響の開示に重点を置いているが、中国基準はそれ以外に、企業の活動が気候にどう影響するかについての情報の開示も要求されている。
  • 開示内容の調整
    • 温室効果ガス算出方法:IFRS S2では、「GHGプロトコル」の使用を推奨しているが、中国基準では、中国当局が公布または認可した算出標準およびガイドラインを優先的に使用することが強調されている。
    • 中国基準では、カーボン排出枠の決済および取引情報に関する開示要件が追加されている。
  • スコープ3の免除について
    IFRS S2は初年度に、スコープ3の免除規定を設けているが、中国基準にはこのような免除設定はない。しかし、企業は合理的な努力を払った後でもスコープ3の排出量を算出できない場合、代わりに温室効果ガス排出の管理方法を開示することも認められる。

今後の実施計画

中国財政部会計局の担当者は、記者会見の際に、同基準の実施に関する質問に回答する際、今後の実施計画について、以下のように語った。
現段階では、気候開示基準は試行文書として位置付けられており、実施範囲と要件が明確になるまでは、企業による実施は任意である。今後は、重点分野を絞り込み、まずは試行的に実施し、段階的に進め、対象範囲を上場企業から非上場企業へ、大企業から中小企業へ、定性要件から定量要件へ、自主開示から義務開示へと拡大していく予定である。

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