タイ タイの主要規制テーマ

タイ WEEE規制

よくわかる!タイ化学物質規制解説ウェビナー

2023年12月7日(木)開催 - 有害物質法、労働安全衛生環境法、CBI手続き、既存化学物質インベントリー、複雑なタイ化学物質規制を実務者の観点でわかりやすく解説!
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EnviXは「タイ WEEE規制」について、規制動向の調査報告書を作成・提供しております。

基本情報・概要

法規・政策の名称(現地語名) 公布日・施行日等
廃電気電子機器管理法(案) 法案段階

タイのE-waste規制法案の策定経緯

現在、タイにはまだ廃電気電子機器を規制するための法令がなく、その多くは家庭ゴミと一緒に捨てられている。PCDが集計した2016年のデータによると、一般市民から排出される有害廃棄物は60万トンを超え、そのうち39万トンが廃電気電子機器である。

カシコンタイ研究センターの推計によると、廃電気電子機器の10.1%が収集、リサイクルされているが、それ以外は中古品業者または廃品回収者によって、ほとんどがカーラシン県コンチャイ郡にある分別所に送られている。そこでは、人の手による分別、必要な部品・材料を分離するための焼却、破壊、切断などの危険な作業が行われ、結果として重金属が土壌や水源に混入し、汚染につながっている。

タイでは、国内で発生する、あるいは輸入されるE-wasteの管理が課題となっており、2007年頃より廃電気電子機器(WEEE)の管理に向けた法案が継続的に議論されてきた。

最新の法案公表と意見募集の実施

2018年8月31日、「廃電気電子機器管理法案」(以下、本ドラフト)が公開され、パブリックコメントが開始された。本ドラフトは、廃電気電子機器(WEEE)の管理において拡大生産者責任(EPR)をタイで導入するための法令であり、対象製品、製造者の義務事項、罰則などを規定している。概要は以下の通り。

名称 廃電気電子機器管理法案
対象製品
  • コンピューター
  • 電話及び携帯電話機
  • エアコン
  • テレビ
  • 冷蔵庫

※  天然資源環境大臣には対象製品を追加で指定する省令を発布する権限が与えられているため、将来的には他の製品にも拡大する可能性あり。

製造者の義務 対象となる製品の製造者は、製品スクラップを収集する義務を負う。ただし収集においては、どの製造者による製品のスクラップであるかを問わず、また外国から輸入された製品、ブランドもしくは商標名がない製品、または既に廃業した製造者による製品のスクラップも含む。EPRの原則に適合させるために、製造者が上記の活動を拒否することはできず、また、製品スクラップの持込者に対して何らかの収集基準を設けて、当該スクラップを送り返すことをしてはならない。そのほか、製造者は責任を負う製品の処理計画を作成し、当該の計画に従い実施しなければならない。
PCDの責任 PCDは、正しく適切な製品スクラップの処理方法に関する知識及び情報を定めて、一般市民、事業者、関係者に伝達し、本法に基づく実施方針を適用させる。また、製品スクラップに関する知識及び情報の調整・伝達センターを設立し、製品スクラップの処理及び製品スクラップ回収センターの所在地に関する情報を喧伝して、本法の規定を順守させる。

以降の情報については製品版報告書をご利用ください。本規制テーマに関する最新情報、中長期動向報告書のご要望、また個別調査等のご相談などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

タイWEEE法案 最新版公表 2021年内の成立を目指す

タイ天然資源環境省公害管理局(PCD)は、2021年4月下旬、廃電気電子機器の適正管理のために策定したWEEE法案最新版をウェブサイトに公表、意見募集を開始した。タイでは、拡大生産者責任の原則に基づくWEEE法案がかねてから議論されており、今回の意見募集は2018年以来の実施となる。当局は、2021年内の法案成立を目指している。

2018年当時の法案からの大きな変更点

  1. 対象製品の記載が削除
    以前の法案では、コンピューター、電話及び携帯電話機、エアコン、テレビ、冷蔵庫の5製品を主たる対象製品と規定していた。
  2. 製造者の義務が、リサイクルスキームの運用における実務対応より運用資金拠出に重きを置いた内容に変更
    以前の法案では製造者に収集義務が課され、どの製造者/ブランドによる製品のスクラップであれ、収集活動を拒否することはできないとされていた。また、製造者は責任を負う製品の処理計画を作成、実施するよう規定されていた。

最新版のWEEE法案の主なポイントは、以下のとおり。

  • 対象製品
    製品スクラップ処理委員会が官報に告示して、本法の適用対象となる電気用品・電子機器製品スクラップの種類、区分を規定する。
  • 処理基金
    電気用品・電子機器製品スクラップの処理の進展を支援・奨励するための費用に充てる目的で、「電気用品・電子機器製品スクラップ処理基金」を設立する。製造者、輸入者は、告示で定められた料率に従い基金に基金助成金を納めること。
  • 収集センター
    地方自治体または民間は収集センターを設立し、製品スクラップは収集センターに引き渡されること。

上記より、今回発表された法案では、収集センターの設立と基金設立によるWEEEの処理支援を確立する枠組みを定めるとともに、不法投棄を禁止し、排出者に対して収集センターに引き渡すことが規定されている。

一方で、今回の法案では、具体的な対象製品は定められておらず、規制の枠組みを固めた後に、別途製品スクラップ処理委員会の告示で規定されるため、本委員会の動向も注視しなければならない。

セミナー・イベント情報

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規制テーマ セミナー・イベント名称 開催日
全般 世界環境法規制ウェビナー2023
EU、北米、中国、東南アジア、ラテンアメリカにおける環境規制の最新動向を総まとめする年に1度のウェビナーです。全4日間13講演、2023年10月17~26日開催。2023年12月末までオンデマンド受講可、視聴回数制限なし。
2023年10月17日
世界環境法規制ウェビナー2022(全10講演)
各国の1年間の主要規制動向を総まとめする、年に一度の弊社人気企画です。今回は第18回開催となります。規制担当者の研修・キャッチアップ、事業戦略・計画立案のための情報ソースとしてご活用ください!
2022年10月6日
無料ウェビナー ESG & コロナ時代の海外環境コンプライアンスを考える(終了) 2020年12月17日

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  • 土壌・地下水の調査、修復
  • 環境・労働安全衛生関連法規制対応(環境監査支援サービス)
  • 化学物質規制対応サポート(届出の代行支援など)
  • 環境担当者の教育・トレーニング研修

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タイの環境法・環境規制動向

タイの廃電気電子機器規制情報に関連する製品を下記に紹介します。

規制分野 製品区分 製品・サービス名 発売・更新日
全般 法体系ガイド タイ環境法体系ガイド
タイ進出企業必携! 環境法体系の枠組みを、化学物質管理、廃棄物管理、省エネ水、大気等を中心に概説
2020年12月1日
法体系ガイド タイ環境法規制データベース 毎月更新
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規制分野 規制テーマ(報告書の名称)
廃電気電子機器 タイ WEEE規制

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個別調査・海外現地調査

コラム・無料記事

タイに関連するコラム・無料記事(不定期更新)の一覧です。

規制テーマ コラム・無料記事 更新日
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タイでは拡大生産者責任の原則に基づくWEEE法案がかねてから議論されており、今回の意見募集は2018年以来の実施となる。当局は、2021年内の法案成立を目指している。
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