
日本、中央環境審議会が「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について」を具申
日本で、2025年3月28日に、中央環境審議会・循環型社会部会の太陽光発電設備リサイクル小委員会で取りまとめられた、「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について」が中央環境審議会会長から環境大臣に意見具申された。その主な措置は、太陽光設備の長期安定電源化による使用済太陽光パネルの排出の抑制、使用済太陽光パネルのリユースの促進とリサイクルの推進、放置・不法投棄対策、取り外し・再資源化費用の確保、リサイクル等に要する情報に関するものなどについてである。
「太陽光発電設備の長期安定電源化」については、国・事業者・事業団体・関連プレーヤー等の役割を明確化したアクションプランが策定されている。また、卒FIT電源の活用についても、発電を継続するための選択肢の周知・広報が進められている。
「リサイクルの推進」については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)に基づき適正処理を求めるとともに、再資源化を義務付ける仕組みとした上で、使用済太陽光パネルが関係者間で適切に受け渡され、確実に再資源化が行われる制度を構築することが必要としている。
「放置・不法投棄対策」については、発電事業終了後の適正な廃棄・リサイクルに対する地域の懸念が高まっているため、FIT/FIP制度における認定事業者の外部積立による解体等に要する費用の確実な確保や事業集約、廃棄物処理法による規制の遵守が必要であるとしている。
「取り外し・再資源化費用の確保」においては、適正に取り外しや廃棄・リサイクル等を行う事業者に費用が円滑に流通する仕組みの構築を求めている。
「使用済太陽光パネルのリサイクル等に要する情報」については、当該パネルの含有物質情報、取り外しや再資源化までの各段階における処理状況、当該費用の支払い義務者、支払い状況及び支払い額等の情報が必要になるが、これらの情報を国と第3者期間が管理した上で、関係者間で共有することが適当としている。
「取り外し・再資源化費用の確保」の詳細
本報告書では、太陽光パネルを廃棄する際の費用を、以下のように区別している。
- 太陽光パネルの取り外し・収集運搬・中間処理・埋立処分等の適正処理を実施するための費用(以下「取り外し等費用」という。)
- 太陽光パネルを再資源化するための費用(以下「再資源化費用」という。)
この費用は、現状では埋立処分と比べて再資源化のコストが上回り、太陽光パネルの再資源化を義務化することにより新たに生じる費用。
それぞれの費用に対しての費用の負担者、費用の流れは以下のようになる。
費用の種類 | 費用の負担者 | 費用の流れ |
---|---|---|
取り外し等費用 | パネルの所有者 | 太陽光発電事業の初期段階で費用を確保し、費用を第三者機関に預託する。 |
再資源化費用 | 製造業者又は輸入業者 | パネルのライフサイクルの初期段階で費用を確保し、第三者機関への支払いを求める。 |
今後の予定
環境大臣に提出された本意見にもとづき、今後は政府が太陽光発電設備のリサイクル制度を具体的に検討していくこととなる。
関連URL
- 中央環境審議会意見具申「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について」のプレスリリース
https://www.env.go.jp/press/press_04671.html - 添付資料1「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について」
https://www.env.go.jp/content/000302168.pdf - 添付資料2「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)の結果について
https://www.env.go.jp/content/000302460.pdf - 参考資料「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について」
https://www.env.go.jp/content/000302170.pdf
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