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日本 労働政策審議会、労働安全衛生法の一部改正の方針を発表

日本の労働政策審議会は、2025年1月27日、厚生労働省より諮問された「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案要綱」について妥当であると厚生労働大臣に答申した。この法律案要綱は、2025年1月17日に建議された「今後の労働安全衛生対策について」に基づくものである。要綱は、個人事業者等に対する安全衛生対策、小規模事業場に対する心理的な負担の程度を把握するための検査等の適用、化学物質による健康障害防止対策、機械等による労働災害防止対策、高年齢者の労働災害防止対策、作業環境測定士等による個人ばく露測定の実施からなる。

厚生労働省は、この法律案要綱にもとづき法律案を作成し、通常国会に提出する予定である。

個人事業者等に対する安全衛生対策

  1. 個人事業者等による措置
    労働災害防止に関する措置への協力、安全装置が必要な機械等の使用、安全又は衛生のための教育の受講を徹底する。
  2. 発注者等による措置
    労働災害を防止するための必要な措置の対象を、個人事業者等も、含めた混在作業に拡充する。
  3. 労働基準監督署等への申告
    作業従事者の申告と、取引停止等その他の不利益な取扱の禁止とする。
  4. 災害状況の調査
    個人事業者等に対する業務起因の負傷、疾病、死亡災害の発生状況の調査を行うことができるようにする。

小規模事業場に対する心理的な負担の程度を把握するための検査等の適用

ストレスチェックについて、50人未満の労働者を使用する事業場に対しては当分の間は努力義務とする特例があったが、職場のメンタルヘルス対策を推進するために、この特例を廃止し義務とする。

なお、2025年3月14日に開催された閣議によって、ストレスチェックを全事業所に義務化する改正案が閣議決定された。本改正案については、今後国会で審議されることとなる。本閣議決定に関する厚生労働大臣の会見は以下より閲覧可能である。
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00789.html

 

化学物質による健康障害防止対策

  1. 危険性及び有害性情報の通知制度の履行確保
    労働安全衛生法にもとづく通知対象物質を譲渡し、又は提供する者が第57条の2第1項の規定による通知をせず、又は虚偽の通知をした場合は所要の罰則を科す。
  2. 危険性及び有害性情報の通知制度における営業秘密の保持
    通知対象物質の成分の情報が営業秘密情報である場合には、その旨を相手(供給先)にあらかじめ明示した上で代替化学名等を通知することで成分の通知に代えることができるものとする。
  3. 作業環境測定の対象拡大
    個人ばく露測定を作業環境測定として位置づける。事業者は、通知対象物質等による危険性又は有害性の調査を行うにあたり必要に応じて実施する作業環境測定を作業環境測定基準に従って行うこととする。また、この作業環境測定は作業環境測定士に実施させる、又は作業環境測定機関に委託することを義務付けるとも提案されている。

なお、「作業環境測定」とは、労働安全衛生法の第2条にて「作業環境の実態を把握するため空気環境その他の作業環境について作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む。)」と定義される。安衛法施行令第21条にて規定される作業場に該当する事業者は、作業環境測定を実施しなければならない。

機械等による労働災害防止対策

  1. 特定機械等の製造許可及び製造時等検査制度の見直し
  2. 特定自主検査及び技能講習の不正防止対策の強化
  3. 型式検定対象機械等、技能講習対象業務等の見直し

高年齢者の労働災害防止対策

高年齢者の労働災害を防止するため、必要な措置を講じることを事業者の努力義務とする。国は措置内容に関する指針を公表し、それに従い必要な指導、援助等を行うことができるものとする。

作業環境測定士等による個人ばく露測定

作業環境測定の対象に個人ばく露測定が追加された。通知対象物質等による危険性又は有害性等の調査をおこなうに当たり実施される作業環境測定も作業環境測定士に実施させ、又は作業環境測定機関にこれを委託しなければならないこととする。

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