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Green×Digitalコンソーシアム「物流CO2可視化のためのガイドライン(Version1.0)」を公開

カーボンニュートラルの達成を目的として日本の大手IT企業等が会員となっているGreen×Digitalコンソーシアムは、2024年9月27日、「物流CO2可視化のためのガイドライン(Version1.0)」を公開した。本ガイドラインは、荷主、物流事業者、輸送作業事業者、物流拠点作業事業者の利用を想定して作成されたもので、物流部門におけるCO2データ算定およびデータ連携のフレームワークに位置づけられるものである。具体的に、本ガイドラインは、物流関連サービスを輸送モード別(道路輸送・海上輸送・航空輸送など)及びプロセス別(輸送・保管・拠点作業など)に分解した上で、それらの算定方法を解説している。なお、本ガイドラインは、この分野で先行する国際NPOであるSFC(Smart Freight Centre)が定める規定を参考にして作成された。

算定の基本コンセプトと製品・サービスレベル算定手順の全体イメージ

算定の基本コンセプトは輸送チェーン(TC)全体に対して、輸送機材を使用した作業のみならず物流拠点での作業を含めた網羅的な排出量の算定を行う。そして、輸送チェーンを輸送チェーン要素(TCE)に分解したうえでTCEごとに個別に計算を行い、積み上げで排出量をもとめる。

本ガイドラインで規定される物流CO2算定の全体手順は以下の通り。

  • Step0:輸送チェーンを定義する
  • Step1:輸送チェーン(TC)をTCEに分解する
  • Step2:各TCEをTOC、HOCとして分類する
  • Step3:TOC、HOCごとの「GHG活動データ」を集める
  • Step4:TOC、HOCごとの「総排出量」を計算する
  • Step5:TOC、HOCごとの「総活動量」を計算する
  • Step6:TOC、HOCごとの「排出原単位」を計算する
  • Step7:各TCEにおける「対象貨物の排出量」を計算する
  • Step8:Tier間の輸送チェーン全体の「対象貨物の排出量」を計算する
  • Step9:「製品単位の排出量」を計算する(オプション)(輸送チェーンの総排出量 ÷製品単位(個数等))

製品・サービスレベルの算定手順の全体イメージは9ステップからなり、輸送チェーン(TC)の定義、輸送チェーンをTCEに分解、輸送作業カテゴリー(TOC),物流拠点作業カテゴリー(HOC)ごとの「GHG活動データ」の収集、総排出量の計算、総活動量の計算、排出原単位の計算、各TCEにおける「対象貨物の排出量」の計算、輸送チェーン全体の「対象貨物の排出量」の計算という手順でCO2算定を進める。

Green×Digitalコンソーシアムについて

環境関連分野のデータ交換をデジタル化を通じて可視化し、2050年カーボンニュートラル実現に寄与することを目的に、2021年10月に設立。実作業グループとして、見える化WG、バーチャルPPA早期実現対応WG、データセンター脱炭素化WG(デジタル田園都市事業化)環境活動データ価値化WGの4グループがあり、CO2移動量の可視化、データ連携、再生可能エネルギーの新たな調達方法の確立などが議論されている。

SFCについて

世界的な貨物輸送によるGHG排出の影響の削減に重点を置いた国際的な非営利団体。今回発行された「物流CO2可視化のためのガイドライン」においても海外の先行ルールとしてSFCが発行した「End-to-End GHG Reporting of Logistics Operations Guidance」が引用されている。

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