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CDP最新レポート、サプライチェーンにおける気候リスクへの対応による潜在的利益を報告

CDPは2024年9月25日、“Strengthening the chain – Industry insights to accelerate sustainable supply chain transformation”と題したレポートを発表した。それによると、企業のサプライチェーン排出量(スコープ3)は、運用排出量(スコープ1および2)の平均26倍に上るため、企業が透明性と対策をサプライチェーン全体に浸透させ、環境への影響を減らし、ビジネスを将来にわたって保証することが不可欠である。しかし、CDPに情報開示した企業の56%以上が排出量削減の取り組みを行っているが、バリューチェーンを対象にしている企業はわずか15%に過ぎない。ところが、これらの取り組みにより、スコープ3排出量の削減と合わせて合計136億ドルの節約が実現された。現在、バイヤーは平均して、調達支出の50%未満、上流排出量の40%未満を占めるサプライヤーとのみ関与している。バイヤーが関与を強化し、大規模な排出量削減を推進する大きな余地がある。

持続可能なサプライチェーンへの移行ステップ

持続可能なサプライチェーへの移行ステップにおける財政的な主な支援としては、以下の項目があげられる。

  1. 環境に配慮した慣行を採用するサプライヤーに低金利やより良い融資条件の提供(大きく且つ長期的な影響力)
  2. 有利な契約条件の提示(大きく且つ長期的な影響力)
  3. 脱炭素化における取り組みで大幅な進歩を示したサプライヤーへの注文量の拡大(大きく且つ長期的な影響力)

3.については、これにより、サプライヤーはより安定して予測可能な収益源を得ることができ、そのような取り組みを継続する動機付けになる。

トレーニングとサポートを受けたサプライヤーは、サプライチェーンで積極的に能力構築を行わなかったサプライヤーと比較して、CDP への情報開示の可能性が 21% 高く、気候関連リスク評価を実施する可能性が 1.7 倍高くなる。科学的根拠に基づく目標(SBT)に関しても支援を受けたサプライヤーは、支援を受けなかったサプライヤーに比べて、SBTを設定する可能性が2.6倍高くなった。

スコープ3排出量への野心的な行動に相関する3つの要因

おなじく、スコープ3に関連してCDPが2024年6月25日に発表したレポート(”Big challenges, simple remedies”)では、スコープ3上流排出量の削減に相関する最も重要な3つの要因が特定されている。

  • 気候変動対策に責任を持つ取締役会 – 気候関連課題に関する監視と権限を持つ取締役会を設置している企業は、スコープ3の目標と5℃に沿った移行計画を持っている割合が5倍高くなる。
  • サプライヤーエンゲージメントプログラム – 気候関連課題に関して、サプライヤーと協働する企業は、スコープ3目標と5℃に合わせた気候移行計画を持つ割合がほぼ7倍高くなる。しかし、サプライヤーと協働している企業は、まだ10社中4社にすぎない。
  • インターナルカーボンプライシング(社内炭素価格)の導入 – すべてのビジネス上の意思決定に社内カーボンプライシングを義務付けている企業は、スコープ3の目標と5℃に沿ったスコープ3移行計画を持っている割合が4倍高くなる。

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