
インド ELV規則 2025年環境保護(廃車)規則
インド ELV規則
2025年環境保護(廃車)規則
Environment Protection (End-of-Life Vehicles) Rules, 2025
2025年1月6日公布、2025年4月1日施行
日本語版販売のお知らせ
インド環境森林気候変動省(MoEFCC)は2025年1月6日、「2025年環境保護(廃車)規則」を公布した。本規則は、2025年4月1日に施行する。本規則では、自動車メーカーなどを対象に拡大生産者責任(EPR)制度を設け、生産者に該当する企業には鋼鉄(steel)のリサイクルや登録、年次報告書の提出が義務付けられている。
本規則の案は2024年1月末に公表され、当時は「2024年廃車(管理)規則(End-of-Life Vehicles (Management) Rules, 2024)」という法令名になっていたが、本規則とは名前が異なっており多少の変更がありつつも、規制の概要はほぼ同様である。
基本情報・新規規則公布までの背景
法規・政策の名称(現地語名) | 公布日・施行日等 |
---|---|
使用済み自動車(ELV:End-of-Life Vehicles)に関する自動車業界規格(AIS-129) AUTOMOTIVE INDUSTRY STANDARD – End-of-Life Vehicles (AIS-129) |
2015年3月発行 |
2024年1月30日発表 | |
2025年環境保護(廃車)規則 Environment Protection (End-of-Life Vehicles) Rules, 2025 |
2025年1月6日公布 2025年4月1日施行 |
これまでは自動二輪車および自動三輪車に対する需要が大きいインドであるが、近年は自動車の需要も高まり、その販売台数は年間2000万台近くに達しており、2015年時点での累計登録台数は2億台を超えている。一方で、自動車の急激な増加とともに廃車の管理が急務となってきている。
適正な廃自動車(ELV)の管理に向けて、重工業国営企業省はインド自動車工業会(SIAM)やメンバー企業と協力してタミルナドゥ州の州都チェンナイ近郊にグローバル自動車研究センター(GARC:Global Automotive Research Centre)に自動車リサイクル・デモンストレーション・センターを設立し、2011年8月から稼働している。
また、インド自動車調査協会(ARAI:Automotive Research Association of India)は、2015年3月上旬、“使用済み自動車(ELV:End-of-Life Vehicles)に関する自動車業界規格(AIS-129)”を発行した。本規格は、ELVが環境に与える影響を軽減することを目的として策定されたものであり、強制規格ではなく、その採用は任意である。本規格には、安全なELVの処分方法や重金属(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム)の使用削減に向けた努力義務および適用除外項目などについて盛り込まれており、規格の策定に際しては、EUや日本、中国の取り組みなども踏まえつつインドの実情に合った制度が構築できるよう、インド自動車工業会(SIAM)を中心に関係者が検討を重ねてきた。
ELV規則案
廃車の環境上適正な処理を本格的に推進する目的で、ようやく2024年1月30日に「2024年廃車(管理)規則」案が発表された。自動車メーカーなどを対象に拡大生産者責任(EPR)制度を設けており、「生産者」に該当する自動車メーカーなどの企業は上市した自動車に使用された鋼鉄(steel)の一部をリサイクルする義務が2025年4月より課される予定である。本規則案は、制度的にほかのEPR規制と非常に類似しており、登録義務や年次報告書の提出、環境補償金制度に関する規定が盛り込まれている。
新規則の概要
対象自動車
本規則の対象自動車は、1988年自動車法で規定された「自動車」の定義に該当するすべての自動車である。電気自動車(EV)、燃料電池車、E-リキシャー、E-カートも含まれる。
対象事業者
対象事業者①「生産者」とは、以下の活動に関与している者と定義されている:
- 自社ブランドで自動車の製造または組み立て、および販売する
- 他の製造者またはサプライヤーが生産した自動車を自社ブランドで販売する
- 自動車を輸入する
対象事業者②「大口消費者」とは、100台を超える車両を有する消費者。
生産者の義務
生産者には、以下の各義務が規定されている。
- 鋼材のリサイクル
年度毎に設定された鋼鉄のリサイクル目標を達成する。履行する方法としては、自社のリサイクル施設を通じてEPR証書を発行する、またはリサイクル事業者よりEPR証書を購入することとなる。 - 登録
専用ポータルで登録を受ける。 - EPR目標値の通知
年度ごとにEPR目標値について当局に通知をする。 - 報告書提出
前年度において上市した自動車台数および種類(乗用車/非乗用車)、および、EPR目標の履行状況についてまとめた報告書を提出する。
ELVの回収所:消費者からELVを回収できるよう回収所(販売拠点も含む)を指定し、回収所の一覧を生産者のウェブサイトにアップロードし、販売拠点や修理拠点の目立つ場所に掲示する。
大口消費者の義務
大口消費者には、以下の各義務が規定されている。
- 廃車の引き渡し
廃車と判断された場合、180日以内に収集センターや自動車解体施設に引き渡す。 - 登録
専用ポータルで登録を受ける。 - 報告書提出
前年度において引き渡した廃車の内容についてまとめた報告書を提出する。
環境補償金
リサイクル目標値などの定められた義務の不履行以外、ELVの不適切な管理およびこれによる環境や人体への被害が発生した場合には、環境補償金という罰金の形が賦課される。一般的な罰金との違いは、環境補償金が賦課された後、3年間以内にその違反について是正できた場合には課された金額の一部が返還される。
本製品について
EnviXは本文書の日本語版(和訳)を販売しております。
製品名 | インド 2025年環境保護(廃車)規則 和訳資料 |
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発売・更新日 | 2025年2月5日 |
納品物 | PDFファイル(A4判 24頁) |
販売価格 | 通常価格:60,000円(税別) 弊社「海外環境法規制モニタリング」ご契約企業優待価格:30,000円(税別) |
ご注文・お問い合わせ | ご注文はWEBフォームより承ります(最短同日、メールにて納品)。 ご請求について。請求書を後日郵送、支払期限は納品日(毎月25日締め)翌月末を基本とします。 納品・請求方法はお客様の規定により変更・対応いたします。注文時に合わせてご指定ください。 ご質問・お問い合わせはお電話(03-5928-0180)もご利用ください。平日10~17時受付。 担当:ウー |
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規制分野 | 製品区分 | 製品・サービス名 | 発売・更新日 |
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全般 | 法体系ガイド |
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2018年5月1日 |
法体系ガイド |
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2017年1月5日 | |
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海外環境法規制モニタリング
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2025年2月4日 |
報告書 |
![]() インド政府は、大気汚染対策や石油の輸入量低減のために2010年頃からEV(電気自動車)普及を推進してきました。EV普及のため、インド政府と各州でそれぞれ、主に補助金支給を中心とした政策を発表しています。 |
2022年1月19日 |
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