ベトナム ベトナムの環境法規制情報

ベトナム 2020年環境保護法に基づく廃棄製品・包装材のリサイクル規制

2020年11月17日、ベトナム国会にて2020年環境保護法(72/2020/QH14)が可決されました。全16章171条から成る同法の構成は以下の通りとなります。

  • Chapter I (Article 1-6)
    一般規定
  • Chapter II (Article 7 – 21)
    環境要素および自然遺産の保護
  • Chapter III (Article 22 – 24)
    国家環境保護戦略、国家環境計画、および地方の環境保護
  • Chapter IV (Article 25 – 49)
    戦略的環境評価、環境影響評価、環境許可
  • Chapter V (Article 50 – 71)
    生産、ビジネス、サービス、都市、農村、その他地域における環境保護要件
  • Chapter VI (Article 72 – 89)
    廃棄物管理およびその他の汚染管理
  • Chapter VII (Article 90 – 96)
    気候変動への適応
  • Chapter VIII (Article 97 – 105)
    環境技術基準、環境基準
  • Chapter IX (Article 106 – 120)
    環境モニタリング、環境情報・データ、環境報告
  • Chapter X (Article 121 – 135)
    環境事故の防止・対応、および環境被害への賠償
  • Chapter XI (Article 136 – 154)
    環境保護のための経済施策、政策および資金
  • Chapter XII (Article 155 – 156)
    環境保護分野での国際統合および国際協力
  • Chapter XIII (Article 157 – 159)
    ベトナム祖国戦線、社会政治組織、社会職業組織、および環境保護のための住宅地域の責任
  • Chapter XIV (Article 160 – 163)
    違反の調査、検査、処理、環境紛争の解決、請求および告発
  • Chapter XV (Article 164 – 168)
    環境保護を所管する国家管理機関の責任
  • Chapter XVI (Article 169 – 171)
    実施規定

様々な点で2014年の環境保護法から改正されていますが、その主なポイントは以下の通りです。特に気候変動およびPOPs条約関連については具体的な要件にまで踏み込んだ内容となっています。

項目 詳細
気候変動 温室効果ガス(GHG)の削減、オゾン層保護、気候変動に関する国家データベース、排出権取引などを規定。
POPs条約 残留性有機汚染物質(POPs)及びPOPsを含有する原料・燃料・資材・製品・商品・設備の管理における環境保護に関する要件を規定。
廃棄製品・包装材のリサイクル 廃棄製品・プラスチックごみ等の収集・処理・リサイクルに関する要件を規定。特に今回の改正においては新たに「環境保護基金」という制度が導入された。
利用可能な最良の技術 環境汚染を引き起こす可能性のある工場に対するBATの導入を規定。
環境監査 事業者に対する環境監査の実施の推奨を規定。具体的な技術ガイダンスについては天然資源環境省により別途公布される予定である。

この新しい環境保護法のポイントの一つが、廃棄製品・包装材のリサイクルに関する規制です。従来の規制と比べて対象製品の範囲が拡大され、特に包装廃棄物が追加された点が重要です。また、生産者の責任を実施するための選択肢のひとつに、「ベトナム環境保護基金」という新たなオプションが加えられた点にも注目が集まっています。具体的な対象製品とそのスケジュールは下表の通りで、多くの日系企業に影響を与えると予想されます。

項目 対象となる製品、包装材 適用開始 生産者・輸入者の責任
リサイクルに関する責任 電池、バッテリー 2024年1月1日 以下のいずれかの方法にもとづき、製品・包装材のリサイクルを実施する。

  • 自社でリサイクル
  • 外部リサイクラーに委託
  • 第三者に委任
  • ベトナム環境保護基金に納付する。
電気電子機器 2024年1月1日
潤滑油 2023年1月1日
タイヤ 2024年1月1日
輸送機器(建設機械などの重機も含む) 2025年1月1日
各種包装材 2023年1月1日
処理に関する責任
  • 農薬、殺虫剤・殺菌剤、および各種化学品の容器
  • チューインガム
  • 使い捨ておむつ、ナプキン
  • タバコ
  • プラスチック製品及びプラスチック包装材(カトラリー、ストロー、靴、サンダル、玩具、家具、建設資材など)
2023年1月1日 ベトナム環境保護基金に納付し、関連活動を支援する。

エンヴィックスでは、ハノイの子会社と連携した現地での情報収集を強化しており、2020年環境保護法の解説やその義務事項などについてコンサルティングサービスの提供が可能です。関心がございましたら、是非お問い合わせください。

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全般 法体系ガイド ベトナム環境法体系ガイド(第3版)
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2020年2月7日
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