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地球温暖化問題に関する国際的な動向

本稿は、2014年10月21日(火)に予定しておりますエンヴィックス「第10回世界環境法規制セミナー」(お申込み受付中)の開催に際して、当日の講演プログラムの一部を紹介するコラムです。

第10回「世界環境法規制セミナー」は終了いたしました。次回も是非ご期待ください。

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地球温暖化問題に関する国際的な動向を2件掲載します。

北半球のCO2濃度、2014年4月に初の400ppm超え
世界気象機関(WMO)の観測結果

2014年5月26日付の世界気象機関(WMO)のプレスリリースによると、WMOの「全球大気監視計画」(GAW:Global Atmosphere Watch)に基づく観測の結果、北半球では初めて、同年4月の1か月全体を通しての大気中二酸化炭素(CO2)濃度が400ppmを超えたとのことであ る。400ppmというこの閾値は象徴的かつ科学的にも重要性がある。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は同年4月、「気候変動への最も壊滅的な 影響を避けるためには、CO2濃度を450ppm未満に抑えなければならない」と述べている。

WMOがGAWのネットワークにより北半球に設置した監視ステーションは今春すべて、CO2濃度最高値を記録した。今回の監視は、植物が 成長過程でCO2を吸収する前の春の早い段階に実施された。北半球の春季の最高値はすでに400ppmを上回ったが、2015~2016年には地球全体の CO2年間平均濃度がこの閾値を超えてしまうものと見込まれている。WMOによると、2012年時点のCO2濃度は393.1ppm(産業革命以前のレベ ル278ppmに比べ141%)であった。北半球のCO2排出は、南半球に比較すると人為起源のものが多い。生物圏も季節変動を制御している。CO2排出 量が最も少ないのは、植物が十分にCO2を吸収する夏である。排出量のピークは冬季~春季であり、これは生物圏によるCO2吸収不足、有機物の腐敗に伴う 排出量増加、人為起源の排出などが原因である。

モントリオール議定書の作業部会、HFCの段階的削減について多少の進展、
今秋のMOP26で再検討へ

2014年7月14~18日、モントリオール議定書締約国の第34回公開作業部会会合がパリで開催された。今回の会合では、オゾン層保護 に関する様々な課題が検討されたが、ハイドロフルオロカーボン(HFC)の段階的削減を目指し、モントリオール議定書を改正する案について5年連続で協議 された。HFCは温室効果ガスであるが、オゾン層破壊物質(ODS)ではないため、同議定書の枠組みの下で管理するか否かが論点となっている。

同議定書の下でHFCの生産・消費を管理する計画に反対している国々(中東諸国、インド等)は、ODSではないHFCは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)で取り上げるべきだと述べる。また、代替物質のコストと利用可能性についても憂慮している。

一方、EUを含む改正案賛成派(米国、カナダ、メキシコ等)は、UNFCCCではHFCに関する進展がほとんどないが、モントリオール議 定書は類似したガスへの取り組みに成功してきた、と言う。そして、(1)ODSの段階的廃止がもたらした(代替フロンの導入という)問題を解決すべき道義 的な責任がある、(2)「オゾン層保護に伴って生じた悪影響に対処すべき」と定めたウィーン条約が法的根拠として存在する、と述べている。

今回協議された議定書の改正案とその他の課題は、2014年11月にパリで開催される第26回モントリオール議定書締約国会合(MOP26)でさらに検討され、議決される。

HFCとは・・・

Hydrofluorocarbon(ハイドロフルオロカーボン):
代替フロンの一つ。塩素を持たないためオゾン層を破壊しないが、強力な温室効果ガスとしての性質を有する。

 

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