CDPの基礎解説 – スコアを上げるには?
EnviXではCDP回答に関するサポートサービスを提供しております。
CDPとは?
CDPは、英国の慈善団体が管理する非政府組織(NGO)です。
2000年に発足した当初は「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(Carbon Disclosure Project)」が正式名称でしたが、現在は略称のCDPを正式名称としています。
発足当初は世界の企業に対して、二酸化炭素排出量や気候変動への取り組みに関する質問書を出すことで情報収集していましたが、現在では水セキュリティー、フォレスト(森林)、プラスチック、有害化学物質など、広く環境に影響を及ぼす問題に対して企業の取り組みを評価する世界有数の機関となっています。
CDPの質問書に対応するには、最近良く耳にするTCFD、TNFD、SBT、RE100などの各種イニシアチブや、Scope1、2、3やLCA、CFPといったCO2排出量算定手法、マーケット基準、ロケーション基準、ブルーウォーター、グレーウォーターなどの用語を事前に理解するとスムーズに回答することができます。
CDPの質問書とは?
質問書に回答するには、あらかじめCDPへの登録が必要です。登録する金額レベルによって、他企業の回答結果が閲覧できるなど利用できる機能が異なります。
2024年4月からは中小企業(売上高、社員数などにおうじて分類される)向けの質問書が導入されました。中小企業向けの質問書は気候変動の項目に焦点を絞る形で質問書が単純化され、説明もわかりやすくなっています。
また、2024年4月からの大きな変更点として、「気候変動」「フォレスト(森林)」「水セキュリティー」の3種類の質問書の統合があげられます。採点については従来通り上記3項目それぞれについて行われます。
この3テーマ以外に、プラスチックと生物多様性がありますが、現在のところ採点の対象外となっています。プラスチックの項目には、包装材も含めたトータルのプラスチック使用量や、リサイクルプラスチックの比率などを回答する質問があります。将来的に採点対象となる可能性もあるので、今のうちから準備すると良いでしょう。
CDPスコア
回答のレベルに応じて、CDPのスコアが表示されます。スコアは以下の段階になります。
-
リーダーシップレベル(A、A-)
自社のサプライチェーンもふくめた環境リスクを緩和する行動を行っている企業 - マネジメントレベル(B、B-)
環境リスクによる自社への影響を把握し、その影響を管理している企業。また、自社の及ぼす環境影響を低減する活動を行っている企業。 - 認識レベル(C、Cー)
環境問題が自社の事業にとってどのような影響をもたらすかを把握している企業 - 情報開示レベル(D、Dー)
自社の環境への影響を把握しているが不完全なレベルの企業 - 無回答企業(F)
回答要請に対して応じなかった企業
CDPスコアを上げるメリットとは?
CDPに対する賛同者は年々増加しており、2023年時点で、136兆USD以上の資産を保有する金融機関など740以上の機関投資家との共同で調査が毎年実施されています。これは、当然のことながら、それら機関投資家の投資対象になるかどうかの判断材料の目安にCDPのスコアが使われる可能性が高いことを示します。
また、CDPの質問書のレベルを将来的な目標のマイルストーンにすることで以下のようなメリットが期待できるでしょう。
- 企業の社会的な評価の向上
- リスクと機会の明確化による競争力の強化
- 各種規制のを先取りし事前に対策を取る
- 取り組み状況の把握とベンチマーキング
CDPのスコアを上げるためには何が必要か?
CDPのスコアを獲得するには、質問書に回答するまでに、気候変動や水セキュリティーに対する一定程度の取り組みを行っている必要があります。事前に取り組む項目としては以下のようなものがあります。
- CO2排出量や、水使用量を把握する対象範囲(バウンダリー)を決める。(グループ会社がある場合、国内のみとするか、海外も含めて算出するか、など)
- 経営層に気候変動問題や、水セキュリティーに対する活動の理解を得る。(取締役会などで、これらの課題が議題に上がっていると良い。)
- CO2排出量や水使用量の削減目標、タイムスケジュールを作成する。特にCO2排出量については、SBTの目標(1.5℃目標)に準じたものであると良い。(削減目標は、原単位レベルではなくネットで示す方が良い。)
- 気候変動問題や、水セキュリティーが自社に及ぼすリスクと機会を特定する。
- Scope1、Scope2、Scope3のようなサプライチェーン排出量についても把握する。
- 排出量データや目標に対する取り組みをホームページなどで公開する。
リーダーシップポイントを獲得するには、以下の取り組みが必要です。
- Scope1、Scope2、Scope3について、第三者機関による認証を受ける。(認証機関は一定の基準を満たす認証が可能であることが必要。)
- サプライチェーンエンゲージメントを進める。(サプライヤーとコミュニケーションを取り、CO2排出削減目標や水セキュリティーを共有課題として取り組む。)
EnviXが提供するサービス
EnviXでは、以下のような悩みを抱えるお客様向けに、CDP回答に関するサポートサービスを提供しております。
- はじめてCDPの質問票に回答することになったが、なにから始めればいいか分からない。
- CDPのスコアを上げたいけど、どうすればいいのか悩んでいる。
- CDPのスコアの重要性について、上司や社内の関係部署に説明して協力を仰ぎたいけど、自分だけでは上手く説明ができない。
具体的には、以下のようなサポートが可能です。
- Scope1、Scope2、Scope3の算出および対象範囲の決定支援
- SBTの目標に準じた目標の設定支援
- CDP特有の専門用語理解のためのサポート
- 質問書における回答のポイントの解説(実際に回答しながら説明します)
- 社内向け説明資料の作成支援
- CDP対応のための人材育成支援
気になる方は遠慮なくお問い合わせください(担当:豊島、青木)。
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