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仏、PFAS含有化粧品/テキスタイルなどの製造/輸出入/上市を禁止へ

弊社基幹サービス「海外環境法規制モニタリング」の配信情報より「フランス上院委員会、PFASを含有する化粧品/テキスタイルなどの製造/輸出入/上市を禁止する修正法案を採択」について紹介します。

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フランス上院の地域開発・持続可能開発委員会(以下、「上院委員会」と表記)は、2024年5月22日に、2024年4月4日に下院で可決された「ペルフルオロアルキル物質及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)に係わるリスクから公衆を防護することを目的とする法律案」を修正したうえで採択した。

修正法案は2024年5月30日の本会議(séance publique)において審議された。修正法案では、2026年以降、代替物質が存在する場合は、PFASを含有する化粧品、スキー用ワックスおよびテキスタイルの製造、輸出入および上市を禁止することなどが定められている。

下院法案には、PFASによる毒性が疑われる製品の製造・販売を即時に差し止める条項が盛り込まれていたが、上院委員会により削除された。

一方、同委員会は新たに「残留濃度」の概念(PFASの含有率が閾値を下回る製品は禁止対象としない)と「正味比率」の概念(事業活動により排出されたPFASに対してのみ課徴金を課す)を法案に導入した。

本法案では、以下が導入される。

  • 「汚染者負担の原則」
    水環境中にPFASを排出する事業者に対して、課徴金を課すというもの。当該の課徴金は、操業に許可を要する環境保護指定施設(ICPE)ごとに徴収され、課徴金による収入は各地域を所管している水管理庁(agences de l’eau)の活動資金に充当される。また、本法案では飲用水の質に関する検査基準が厳格化され、検査項目にPFASが追加されている。
  • 「残留濃度(concentration résiduelle)」
    PFASの含有率が政令の定める閾値を下回る製品については、禁止の対象としないというもの。上院委員会は、PFASの含有率を精確に測定することは難しく、非含有保証はほとんど不可能であるとしている。
  • 「正味比率(taux net)」
    厳密に事業活動により排出されたPFASに対してのみ課徴金を課すというもの。この概念について上院委員会は、「産業連関は複雑であることから、通常はPFASを使用していない製品の中にPFASの痕跡が見つかることがある。たとえば、製造過程で利用された水がすでに汚染されている場合のように、製造者に責任のない(PFASの)排出に対して課徴金を課すことは不当であろう」と説明している。

また、下院の初期案の段階より、以下の項目が除外された。

  • 製造、輸出入および上市が禁止されるPFAS含有製品:調理器具
    下院で採択された初期案の段階では、2026年1月1日以降、代替物質が存在する場合について、PFASを含有する化粧品、スキー用ワックス、テキスタイル、および食品に接触する製品の製造、輸出入および上市を禁止することが定められていた。しかし、下院における審議の過程で、産業界に配慮し、調理器具は禁止品目から除外された。
  • PFAS製品の製造または販売の”即時”差止め
    PFASのリスクは定期的にメディアで取り上げられる事案であり、上院では政党の別を超えて本法案の趣旨が支持されていた。一方で、上院委員会の報告者は、「公衆衛生の問題は重要であるが、だからといって社会・経済的な側面が看過されてよいわけではない」と強調した。下院審議の際、左派政党「不服従のフランス(La France insoumise)」の提案により、PFASに起因する毒性が疑われる製品の製造または販売を“即時に”差し止める条項が法案に盛り込まれたが、本条項は上院委員会により取り除かれた。

当該法案については、2024年5月30日の本会議において修正の上、上院法案として可決された。

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