
欧州委員会が循環型経済法(CEA)起草に向け意見公募と公開協議を開始、e-wasteの回収・リサイクル促進へ
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欧州委員会は2025年8月1日、循環型経済法(CEA:Circular Economy Act)の起草に向けた意見公募および公開協議を開始した(同年11月6日まで)。CEAは、欧州委員会が2025年2月に公表した新たな成長戦略「クリーン産業ディール」に含まれる主要施策の一つ。欧州連合(EU)の経済安全保障とレジリエンス、競争力を強化するとともに、持続可能な生産や循環型経済のビジネスモデル、脱炭素化の推進などを目的とする。欧州委員会はCEAを2026年第4四半期に提案する予定としている。
CEA起草の背景:循環型経済の現状および課題
- 循環率:
EUは現在、重要原料(CRM)の輸入に依存しており資源効率が不十分な状況にある。EUの循環率(circularity rate)を見ると、2010年は10.7%で、2023年は11.8%であり、停滞している。 - 二次原料:
二次原料の需給は量・質ともに不足または不均衡な状態にある。これは二次原料が高価であることや、品質が低いことが背景にある。また、二次原料および廃棄物の単一市場は分断されており、経済事業者に負担をもたらし、循環性や規模の経済の展開を妨げている。 - 規制および市場の失敗:
加盟国によるEU規則の解釈や実施がバラバラであり、これはEU単一市場の分断や、企業が廃棄物を価値ある二次原料に転換するコストを高額にさせ、規模の経済を妨げている。また、二次原料の販売者や消費者は、情報の制約と非対称性、行動バイアス、移行コスト、詐欺のリスクに直面している。
CEAの目的
- EU全体でのアプローチ:
競争力があり経済的に実行可能な循環型経済を創出するために、EU全体でのアプローチが必要。これは例えば、規制の簡素化や、循環型経済への投資と雇用創出を促進するための枠組みの確立などがある。 - 単一市場における循環性の向上:
単一市場での公平な競争環境を確保し、規模の経済効果を生み出すために、法的不確実性の問題に取り組む。また、廃棄物枠組み指令2008/98/ECやエコデザイン規則(EU) 2024/1781(ESPR)、包装規則(EU) 2025/40(PPWR)などの循環性を促進するための規制の潜在力を十分に発揮させる。 - 二次原料の十分な需給の創出:
需要と供給の両面で法的および非法的な措置の見直しを行い、手続きの簡素化や規制遵守負担の軽減を行う。 - 電気電子廃棄物(e-waste)への取り組み:
e-wasteは最も急速に増加している廃棄物の一つであり、年間2%のペースで増加している。このうちリサイクルされているのは40%未満であるため、効果的な回収とリサイクルを確保し、それらに含まれる二次原料に対する需要創出を目指す。 - 施策の組み合わせ:
廃棄物や二次原料、およびそれらを製品に含ませるための取り組みを促進するために、様々な施策の組み合わせを検討する。例えば、「廃棄物の終わり(EoW)」基準の改定や、拡大生産者責任制度(EPR)の簡素化・デジタル化などが含まれる。
なお、EU循環型経済法(CEA)については「EU 循環型経済法」にて解説しております。
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