スペイン スペインの環境法規制情報

スペイン 気候中立法案(温室効果ガス正味排出ゼロ法案)

当社サービス「海外環境法規制モニタリング」の月例報告書(2020年6月号)より、「スペイン 気候中立法案(温室効果ガス正味排出ゼロ法案)」について紹介します。
本サービスでは世界全体の環境法規制の動向をお届けしております。サンプル資料として最新版の月例レポートをご提供しておりますので、是非ともお問い合わせの上、導入をご検討ください。
海外環境法規制モニタリング

*

「気候中立」という言葉をご存知ですか?

まだ馴染みは少ないかもしれませんが、英語では”Climate Neutral”と書かれ、近年EUで盛んに議論されているキーワードです。2020年3月4日には、欧州を2050年までに世界初の温暖化ガス排出実質ゼロの大陸にすることを定める「欧州気候法案」が欧州委員会より公開されました。もともとは、2018年に発表された、今後のEU戦略について明記した方針書にもとづくものです。また、すでにフランスでは2019年11月に「エネルギー・気候法」が公布され、2050年までの目標が具体化されております。

このような動きのなかで、スペインでも類似の法案がいま議論されております。2020年5月19日、「気候変動及びエネルギー移行法の第1草案」が議会に提出されました。本法案は、2050年までに「気候中立(温室効果ガスの正味排出量をゼロとする)」を目指すことを示しております。目標達成のためのツールとして「国家エネルギー及び気候計画」が提示され、また、脱炭素経済への移行に伴う新規投資や雇用の創出についても言及されています。

この法案のなかで掲げられている具体的な目標は以下の通りです。

  • 2050年までに、気候中立(温室効果ガスの正味排出量)ゼロを達成する
  • 2050年までに、電力消費を100%、再生可能エネルギーでまかなう
  • 2030年に、温室効果ガスの排出量を1990年比で20%削減する
  • 次の10年間で、エネルギー消費の少なくとも35%を再生可能エネルギーでまかない、電力消費については、2030年に、少なくとも70%をまかなう

これらの目標は、「国家エネルギー及び気候計画(PNIEC)」を履行していくことで達成されるとスペイン政府は述べています。PNIECの概要は以下の通り。

  • 2021年から2030年までで、温室効果ガスの排出量を1990年比で23%削減する
  • 2030年までに、エネルギー消費の42%を再生可能エネルギーでまかなう
  • 2030年までに、電力消費の74%を再生可能エネルギーでまかない、エネルギー効率を39.5%改善する

PNIECによれば、2021年から2030年の10年間に、2000億ユーロ(約24兆円)の投資と25万人から35万人の雇用を創出されるとのことです。主な取り組みとしては、「建物におけるエネルギー効率の向上」、「モビリティー策として2040年までに乗用車及び商用小型車両のCO2排出量ゼロ」、「全土における充電インフラの整備」、「航空機のバイオ燃料供給目標の設定」、「バイオガス、バイオメタン、水素などの再生可能ガスの使用の促進」などが挙げられています。

以上が、スペインの気候中立に関する法案の紹介です。本件について関心のある方は是非お問い合わせください。またエンヴィックスでは、EUに限らず、世界中の気候変動関連の政策や規制の調査を随時承っております。お困りの際には遠慮なくご相談ください。

関連製品

EnviXはスペインの環境法・環境規制動向を日々調査し、企業の環境コンプライアンスや経営・市場戦略立案に役立つ情報を提供を提供しております。
スペインの環境法・環境規制動向

スペインの環境政策全般情報に関連する製品を下記に紹介します。

規制分野 製品区分 製品・サービス名 発売・更新日
全般 - 海外環境法規制モニタリング
世界全体の環境法規制の動向をお届けする基幹サービス。同分野の豊富な知識と経験、高度な翻訳能力を兼ね備えた当社研究員が厳選した価値ある情報を速報、月例報告書、検索可能なWEBアーカイブでご提供します。
常時更新
- 海外環境規制トレンド・レポート
世界主要国における環境法規制の直近6ヶ月から1年間の動向を中心に調査し、ご報告する調査報告書です。
年2回更新
- 海外環境法規制メルマガ(無料)
海外の環境規制情報を要約して月1回、毎月上旬に配信します。累計1千人以上が購読する、環境規制担当・経営担当必読のメールマガジンです。
毎月配信

EnivXでは日々の海外の環境規制動向の情報提供業務に裏付けられた、様々なノウハウやネットワークを活用し、お客様の様々な個別のご要望にお応えする調査のご相談も承っております。委託調査ページでは実績例等のご紹介もしておりますので、参考にされた上で、まずはお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。
個別調査・海外現地調査