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日本の法律・政令・省令・告示・通達とは? その違いは?

日本の法体系は何か?と尋ねられて、円滑に答えることができる人は意外に少ないのではないでしょうか。憲法が最上位で法律があり、政令や省令、告示があるのは知っているけれど、政令や省令はどちらが上位か、施行令や施行規則の位置づけとは何だったか、など、法令の名称だけでは必ずしもその位置づけを把握できない点が、日本の法体系の理解を妨げている一つの要因だと思われます。

本コラムでは、日本の環境規制に関連が大きい内容について、その法体系等を整理し、概説しています。事業者のコンプライアンスという観点からは憲法レベルの情報は余り必要ないでしょうし、頻繁に更新されるようなものでもありませんので、本コラムからは除外しています。

「法令」とは?

まずはじめに、「法令」とは何を指すのでしょうか。

国立国会図書館の解説情報によると、『憲法、条約、法律、政令、府省令、告示、規則、庁令、訓令、通達などの種類があり、一般的には、法律および行政機関の命令を合わせて「法令」と呼称されることが多い』とのことです。

他方、政府の管理するウェブサイト「e-GOV」では、提供している法令は「憲法・法律・政令・勅令・府令・省令・規則」であり、「告示・通達及び様式」については各省庁がホームページ等で提供していると説明しています。

また「法令」を国会が定める「法律」と行政機関が定める「命令」に分けて捉える方法もあります。「命令」は「政令」と「省令」、「告示」を含む用語として扱われています(行政手続法第2条)。

法令の定義は憲法にも規定はなく、その範囲の解釈がまちまちな部分もあるものの、上記の例にみるように、事業者のコンプライアンス上、よく目にする法令としては次のものの違いを抑えておけばよいと思います。

法律

  • 国会で衆参両院の可決、あるいは衆議院の優越制度により可決されるもので、憲法のあらゆる条項に「~法律でこれを定める」「法律の定めるところにより~」等とあるように、実務上、その制定・改正動向に最も注視しなければならない法令です。

政令

  • 憲法第73条では、内閣の事務を規定していますが、その6項に「この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること」とあります。また、「但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない」とも規定されています。
  • 実務上の注目点は、「施行令」として規定されるものは「政令」に位置づけられます。「法律」を施行するための「命令」というわけです。
  • ちなみに「命令」とは、行政機関が自らの権限に基づいて定めるものをいいます。内閣は、内閣総理大臣と総理大臣に任命された国務大臣(経済産業大臣、環境大臣等)から構成され、内閣が定める「施行令」は「政令」の位置づけになります。

省令

  • 国家行政組織法の第12条では「各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができる」と規定されています。
  • 「省令」も「政令」と同じく、法律の委任がなければ罰則を規定できません。
  • 実務上の注目点として、「施行規則」は「省令」に位置づけられます。

告示

  • 国家行政組織法の第14条1項では「各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができる」と規定されています。

通達

  • 国家行政組織法の第14条2項にて「各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達をするため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる」と規定されています。

「通達」と似たような用語に「通知」がありますが、「通知」に関する明確な定義は確認できず、上記の区分の一つというよりは、「知らせる行為」あるいは「知らせる内容を含むもの」を意味するものとして使用されている事が多いように見受けられます。

但し、様々な環境法令関連資料を見た経験上、「通知」は各省庁のトップではなく、それよりも下位の組織の長、局長等が公に何かを明らかに知らせる場合に用いられている印象があります。

例えば、経済産業省が化審法関連で公表している通知には、「経済産業省製造産業局長」や「号厚生労働省医薬・生活衛生局長・経済産業省製造産業局長・環境省大臣官房環境保健部長連名通知」という表記があります。そのような意味においては、「公示を必要とする」ものとして、「告示」に近いのかも知れません。

以上、日本における事業者の環境コンプライアンスにおいて、抑えておくべき法令等の基本事項について取り上げました。

(EnviX 研究員 石塚)

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