ベトナム ベトナムの環境法規制情報

ベトナム 工場の環境管理を規定する政令40/2019/ND-CPの解説

環境規制の強化が急速に進むベトナムにおいて、
EnviXは本国に特化した環境監査サービスを開始します。

本コラムでは、2019年5月13日に制定された、ベトナムにおける工場の環境管理を規定する「政令40/2019/ND-CP」の解説を通じて、弊社のベトナム特化型環境監査サービスをご紹介します。

ベトナムで工場を操業されている事業者の皆さまへ、現地の環境コンプライアンスについて是非ともお気軽にご相談ください。

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ベトナムで、2019年5月13日、「『環境保護法』の実施のための複数の政令を改正・補充する政令40/2019/ND-CP」(以下、本政令)が制定された。本政令は、本文と付属書の合計で200ページ以上におよぶ、非常に膨大な環境管理規定を定めている。

本政令によって、以下に示す4つの政令が一部改正、補充された。

  • 環境計画、戦略的環境評価、環境影響評価および環境保護計画に関する政令18/2015/ND-CP
  • 環境保護法の一部項目の実施の詳細に関する政令19/2015/ND-CP
  • 廃棄物及びスクラップの管理に関する政令38/2015/ND-CP
  • 環境モニタリング・サービス業に従事する組織の条件に関する政令127/2014/ND-CP

本政令は2019年7月1日より施行され、それにともない、上記政令のなかの以下の条項が無効となる。

  • 政令18/2015/ND-CP
    • 第11条
  • 政令19/2015/ND-CP
    • 第26条、第27条、第28条、第29条、第30条、第34条、第35条、第36条、第55条3項・4項・5項・6項、付属書5
  • 政令38/2015/ND-CP
    • 第9条5項・9項、第27条1項a・b、第38条、第41条、第43条1項b、第44条3項

政令40/2019/ND-CPの目的

本政令は、次の原則の下で制定された。

  • 指示書25/CT-TTgに従って環境保護に関する基本的かつ重要な問題に集中すること。環境保護に関する規定は統一性を確保すること。
  • 自主的かつ集中的に、リスク対象、リスクレベル、環境問題の特徴に応じて環境汚染の予防および管理を重視すること。環境への影響の要素・形態およびリスクレベルに応じて、影響の経過と「エンドオブパイプ」を組み合わせた管理を行うこと。
  • 企業、当局などの時間とコストを節約するために、行政手続き改善を強化すること。国の環境保護管理目標に沿って関連手続きをまとめ、簡単で分かりやすい進め方を確保すること。
  • 国の環境保護管理に関する各当局の役割・権限を明確にすること。環境保護に関する地方政府に権限を与え、各機関・組織・個人への義務づけを強化すること。
  • 環境保護に関する国際誓約・慣習に合わせること。ベトナム経済・社会の現状に合わせ、外国の環境保護法整備の経験を参考にすること。

政令40/2019/ND-CPの概要

それぞれの政令における改正されたポイントは以下の通り。

  • 政令18/2015/ND-CP
    戦略環境影響評価、環境影響の基本的評価に関する条項の改正・補充。環境影響評価については、環境保護施設の実証運転・運転結果報告・検証・完成確認、およびその他に関する条項など。
  • 政令19/2015/ND-CP
    鉱山開発における環境改善・回復基金、環境管理システム、およびその他に関する規定の改正・補充。
  • 政令38/2015/ND-CP
    固形廃棄物管理、排水管理、排ガス管理、定期的な環境調査、環境事故防止・対応措置、スクラップ輸入に関する規定の改正・補充。
  • 政令127/2014/ND-CP
    同政令第8条4項、第9条4項の補充および環境調査事業条件に関する第10条の改正・補充。

以下、その主なポイントを解説する。

一般産業固形廃棄物の排出者の責任

政令38/2015/ND-CPの第4章(第29条~第35条)では「一般産業固形廃棄物」の管理について定めているが、本政令ではこれらの条項が大きく改正された。「排出者」の責任としては新たに以下が盛り込まれている。

  • 特定の技術要件を満たした、一般産業固形廃棄物の貯蔵設備・区域の設置
  • 排出された一般産業固形廃棄物を輸送業者または処理業者に引き渡す際の、「引渡書」の利用。引渡書には、引渡側および受取側に関する情報、引き渡す廃棄物の情報(種類、量)を記載する。
  • 毎年の「一般産業固形廃棄物管理報告書」の作成と提出。ただし、この報告書は、有害廃棄物管理報告書に統合することもできる。

貯水池の設置

政令38/2015/ND-CPの第37条(廃水の収集と処理)について、新たに第4項~第8項が追加された。そのなかでも特に「第6項」では、特定業種に対して「貯水池」の設置を要求する内容となっており、具体的には以下の通り。なお、対象となる業種は、本政令の付属書第Iセクション付属書IIaで定められる「環境汚染の危険性がある生産形態に該当するプロジェクト」であり、電気電子機器、紙・パルプ、電池・バッテリー、化学品など全17業種となっている、。

対象 要件
設計上の廃水量が50~500m3未満/日 廃水処理システムのトラブル時に廃水を環境中に排出させないために、廃水を最低1日分貯蔵できるタンク、設備、用具または手段(全てをまとめて「緊急用貯水池」)か、廃水を循環処理できる緊急用貯水池を有すること。
設計上の廃水量が500~5000m3未満/日 廃水処理システムのトラブル時に廃水を環境中に排出させないために、廃水を最低2日分貯蔵できる貯水池、または、廃水を循環処理できる貯水池を有すること。
設計上の廃水量が5000m3以上/日 廃水処理システムのトラブル時に廃水を環境中に排出させないために、廃水を最低3日分貯蔵できる生物学的処理を取り入れた貯水池、または、廃水を循環処理できる貯水池がある。

この規定の追加は、2016年にベトナム中部で起きたフォルモサ社の製鉄所からの排水による大規模な環境汚染事故が背景にあると言われているが、企業側の負担が大きいことから、本政令のドラフト時点でも産業界からは反対の声があった。

産業排ガスのモニタリング

政令38/2015/ND-CPの第47条(産業排ガスのモニタリング)が全面的に改正され、要求事項が大幅に追加された。政令の付属書第Iセクション付属書IIIで規定される業種(ガラス、鉄鋼、セメント、火力発電所など全11業種)を中心として、一部の施設には排ガスの自動連続モニタリング装置の設置が義務付けられ、2020年12月31日までに各地方の天然資源環境局にデータを送信する必要がある。

以上が政令40/2019/ND-CPの概要です。このように、ベトナムでは環境規制が厳しくなっており、今後ますます現地での環境管理の重要性は高まると言えます。エンヴィックスでは、ベトナムでの環境違反や環境事故を未然に防ぐためにも、現地のパートナーと協力してベトナムに特化した環境監査サービスを提供しておりますので、是非ご検討ください。

環境監査サービスについて

なぜ、ベトナムで環境監査が必要なのか?

ベトナムでは1993年に初の環境管理に関する基本法となる「環境保護法」が公布されて以降、同法は2005年と2014年に全面的な改正が実施されてきた。これは、国内の環境汚染に対処するためのものであるが、それに伴い規制内容はますます厳格化されてきた。

また今後は、特定工場を対象とした「化学物質排出移動量届出制度(PRTR)」や「公害防止管理者制度」といった新たな環境管理制度が導入される予定である。

そのほか、罰則の強化や定期的に実施される当局による工場検査といった点からも、環境規制に対するリスクは高まっている。

こういったリスクを低減するためにも、生産工場における定期的な環境監査と自社内での環境管理体制の構築は一層必要となっている。

環境監査の目的

環境監査の目的は以下の通り。

  1. ベトナム環境保護法およびその各種下位法令に関する順守状況を評価する。
  2. 環境違反、環境事故の発生を未然に防止する。
  3. 適切な環境管理手法(廃棄物管理やエネルギー管理など)を知ることで、工場のマネージャーやスタッフの意識向上に繋げる。

環境監査を実施することで得られるメリット

エンヴィックスが提供するベトナムでの環境監査サービスを通じて得られるメリットは下記の4点になります

  1. 工場のマネージャーやスタッフの環境意識が向上することで、「環境に優しい企業」というイメージを構築することができる。
  2. ベトナムの環境規制を体系的に把握することができ、適切な環境管理手法を体得することができる。
  3. 環境規制の不順守事項を見つけ、それらを是正することで、違反の発覚を未然に防止することができる。
  4. 工場の生産プロセスにおける資源効率やエネルギー消費の改善に繋げることができる。

環境監査サービスについてのご質問・ご相談など、お気軽にお問い合わせください(担当:青木)。

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全般 法体系ガイド ベトナム環境法体系ガイド 2015年3月1日
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