タイ タイの環境法規制情報

タイ、環境税(環境汚染税)について

本稿は、2014年10月21日(火)に予定しておりますエンヴィックス「第10回世界環境法規制セミナー」(お申込み受付中)の開催に際して、当日の講演プログラムの一部を紹介するコラムです。

第10回「世界環境法規制セミナー」は終了いたしました。次回も是非ご期待ください。

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タイ環境NGOのTEI、環境税の制定を国家平和秩序評議会に要求

2014年6月21日に現地で報じられたところによると、タイの環境NGO「タイ環境研究所(TGI:The Thailand Environmental Institute)」は国家平和秩序評議会(NCPO:National Council for Peace and Order)に対し、前政権により棚上げされている環境税関連法案を制定し、公害の問題に取り組むことを求めていくという。これに関してTGI会長の Qwanruedee Chotichanattawewong氏は、とりわけ必要性が高い環境税を筆頭に、緊急性の高い環境政策のリストをNCPOに対して提示する予定だと 語った。

環境税関連法案は廃水管理および温室効果ガスの排出に対する課税を規定

実際に環境税が施行された場合には、産業界は新たに廃水管理および温室効果ガスの排出に対して課税されることとなる。また、電化製品を購 入する一般市民も、購入した製品の処分にあたっては付加的な税金を支払うことが求められる。「この環境税は税率が製品コストのおよそ0.5%とごくわずか なものです。しかしこの問題に関してなんら動きがありませんでした。NCPOが行動を起こすことを期待しています」とQwanruedee氏は述べた。 Qwanriedee氏は6月20日、森林管理や大気・水の汚染、廃棄物管理など、軍事評議会における取り組みが必要な喫緊の環境の課題を議論するための TGI会合において、有害廃棄物管理の向上に優先的に取りくまなくてはならないと述べた。さらに、「有害廃棄物の問題におけるひとつの具体的な問題が、違 法な廃棄物投棄場における地元の政治家の力をいかに弱めるかということです」と語っている。

生計を立てるための森林伐採が進行

一方で森林管理については、Thai Forest Land Reclamation PartyのDamrong Pidech氏は森林資産を保護する唯一の方策は貧しい人々に土地を与えることだと主張している。実際にこれまで森林管理局は約3000万ライ(480億 m2)の土地を低所得者に与えてきたと見られるという。そうした土地は、いずれの第三者にも譲渡することを禁じられているが、実際にはそのうち2000万 ライの土地がすでに譲渡されていると見られるという。「当局は、このうちどれだけの土地が違法に所有されているかを調査し、取り返していかなくてはなりま せん」とDamrong氏は語った。本来の土地の権利者は現在、生計を立てるために森林を侵食しているという。また同氏は、違法伐採について、広大なエリ アを国立公園のチーフが1人で監視することは不可能であるため、国立公園内に森林区画を監視する小規模ユニットを設けるべきであると述べた。

タイ財務省・財政政策局のSomchai Sujjapongse局長によると、同省は、企業による環境汚染状況に基づいた環境汚染税の制定に向けて現在準備を進めているという。具体的なドラフトなどの文書については、2013年5月初旬時点では未公表である。

現在検討が進められているドラフトより以前にも、財務省は、汚染者負担原則に基づく環境汚染税に関するドラフトを作成していた。しかし、 この最初のドラフトは、排水量などに基づく税の算定方法を採用しており、この点に関してタイ自治委員会(Council of State)で同意を得られず廃案となった。その後、汚染の種類に対して異なる税率を適用するべきであるという意見のもと、財務省は、水や大気などといっ たカテゴリー毎に汚染の種類を分類する新たな法案を作成してきた。Somchai局長は同法案に対して「市民の環境意識を高める良い手段となるだろう」と 期待を寄せている。

汚染税の算定方法

Somchai局長によると、新しい法案の下では、例えば排水については生物化学的酸素要求量(BOD)などの指標に基づき汚染税が定め られることになるという。一方、廃案では、年間排水量1トン当たり1万バーツ(約3万3000円)の汚染税が課せられる予定であった。さらに廃案には、細 かな規定が多く、様々な税率が定められていた。しかし自治委員会は、その算定方法が複雑性で且つ依然として議論の余地があるため、それに反対を示した。

タイで進む環境関連規制の制定

現在工業省でも、工場の安全確保および環境保護を目的として、工場法の改正を進めている。工業化に伴う環境悪化が進むなか、環境保全に向けて新たな規制の制定や既存規制の改正がますます重要になるだろう。

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