米国環境法体系ガイド 工場編(2025年版)

膨大な情報量を有する米国の環境法規制情報、その中から日本の事業者に関連が大きい事項を抽出し、要点をまとめ、体系的に編纂した「米国環境法体系ガイド 工場編(2025年版)」を作成しました。

日本の事業者に関連が大きい事項の要点を示し、さらなる詳細情報へのガイドとなることを目的としております。以下、本ガイドのポイントです。

各章の概要を紹介します。

第0章 総論

  • 米国の行政区分や基礎情報から始まり、法体系、法律や規則の形成過程を概説。
  • 米国の環境政策の概観や、環境規制に関係する主な組織についても簡単に紹介。

第1章 環境影響評価

米国における環境影響評価制度は、複数の法令が重層的に関与する構造を持つ。本章では、制度全体の理解を助けるため、以下の三つの切り口からその枠組みを整理する。

  • NEPA(国家環境政策法)
    環境影響評価の中核を担う手続法であり、連邦政府が関与する事業の計画・許認可に際して、他法令の規制内容や環境的影響を体系的に検討・記録する枠組みとして機能する。
  • ESA(絶滅危惧種法)
    絶滅危惧種とその生息地への影響を規制する実体法で、民間事業者にも直接適用される。
  • その他の関連法令
    事業の立地や性質に応じてNEPA文書に反映される複数の法令が存在し、関係機関との調整が必要となる。

なお、2025年以降の政権交代に伴う制度運用の変化など、最新の政策動向にも触れている。

第2章 化学物質

米国工場の化学物質規制について、報告義務の中核をなす「緊急時対応計画及び住民の知る権利法(EPCRA)」を中心に解説。あわせて、EPCRAの報告に組み込まれている「汚染防止法(PPA)」の要件も整理し、工場運営における具体的な留意点をまとめている。これらの法律は、第7章で解説する『労働安全衛生法(OSHA)』による作業者の安全基準と合わせて、工場における化学物質の安全な取り扱いを規定するものである。

第3章 水

米国における飲料水汚染防止および水質の維持に関わる法規には、『水質浄化法(CWA)』、『安全飲料水法(SDWA)』、およびそれらの規則がある。これらの法規は膨大で、読み解くのが困難であるため、本章では以下のようにして、理解し易いように工夫している。

  • 本書の読者(工場の所有者や運営者)が理解、遵守すべき項目に焦点。
  • 法規が求める事項の概要を手っ取り早く把握する方法も紹介。
  • 連邦、州、地域の規制の関係も解説。

第4章 大気

大気汚染を規制する連邦の『大気浄化法(CAA:Clean Air Act)』とその規則は広範囲の大気汚染規制法規を取り扱っており、その理解と整理は非常に困難であることから、以下の点について重点的に取りまとめた。

  • 工場等固定排出源に焦点を絞り、かつ企業様が留意すべき点をピックアップし、説明
  • 具体的には、国家環境大気質基準、国家有害大気汚染物質排出基準、新規固定排出源排出基準、新規排出源審査(NSR)、酸性雨規制、許可プログラム等
  • 連邦の規制と州の規制の関係についても説明
  • 新政権下で規制はどう変わろうとしているのか

自動車などの移動排出源の規制は「米国法体系ガイド(製品編)」を御覧ください。

第5章 土壌

  • スーパーファンド法として知られる包括的環境対策補償責任法(CERCLA)について、有害物質の放出が発生した場合の連邦政府の執行権限と責任当事者の特定を中心に、法律の主要な規定を整理・解説。
  • 過去の事件や最近の傾向を含め、CERCLAの背景にある米国の土壌汚染問題を概説。
  • 土壌汚染がもたらす環境全体への幅広い影響を踏まえ、大気・水・廃棄物など、CERCLAと連邦の主な環境保護法との関わりも記載。

第6章 エネルギー政策・気候変動対策

バイデン政権からトランプ政権になり米国のエネルギー政策・気候変動対策は激しく変化している。

  • 2025年8月時点で有効なエネルギー政策・気候変動対策の基本となった法規の概要を整理。
  • それぞれの法規の関係性を図解
  • 新政権下で政策はどう変わろうとしているのかを解説

第7章 労働安全衛生

2024年の改正により連邦の労働環境における危険有害物の取り扱いは国連のGHS第7版に倣うようになり大きく変わった。しかし一部GHG第7版との違いがあるので注意を要する。
本章では、化学物質などの危険有害物の取扱に的を絞って説明する。

労働環境における

  • 化学物質の取り扱い
  • 危険物の取り扱い
  • 許容曝露制限値
  • 危険有害性衆知規則
  • 連邦と州の規制の関係
  • 罰則

第8章 騒音・振動・悪臭

騒音、振動、臭気に関して、連邦の規制の現状を再確認する。

  • 騒音に関して:以下のような連邦の規制の現状
    • 全般的騒音規制について
    • 労働環境における騒音規制
  • 振動と臭気に関して:
    • 連邦の規制の現状
    • 州・地域の規制を調査するための情報

第9章 廃棄物・リサイクル

※本章は、2024年9月に発売した「米国法体系ガイド(製品編)」をベースに作成した。

  • 複雑かつ量が膨大な「米国の廃棄物に関する法規」の全体の枠組みを簡潔に整理。
  • 米国の製造拠点が該当する「廃棄物の排出者」の責務を重点的に解説。
  • 一般的な有害廃棄物と「ユニバーサル廃棄物」の排出者要件の比較一覧表付き。

本製品の目次

2025年9月発行の目次は、確定次第公表いたします。

第0章
総論
(17頁)
  •  米国の行政区分と基礎データ
    • 基本情報
    • 地方行政区分
  • 政治体制
    • 概要
    • 行政府
    • 立法府
    • 司法府
  • 連邦・州・地方政府の関係性
  • 法体系と法形成過程-法律・規則
    • 法体系
    • 法形成過程
    • OMBによる規制措置のレビュー
  • 司法制度
  • 環境規制に関係する主な組織
  • 罰則
第1章
環境影響評価
(29頁)
  • 国家環境政策法(NEPA)
  • 絶滅危惧種保護法(ESA)
  • 環境影響評価制度を補完する関連法令
    • 国家歴史保存法(NHPA)
    • 沿岸域管理法(CZMA: Coastal Zone Management Act)
    • 連邦土地政策管理法(FLPMA:Federal Land Policy and Management Act)
    • 魚類・野生生物調整法(FWCA:Fish and Wildlife Coordination Act)
第2章
化学物質
(11頁)
  • 発生源での有害化学物質低減-汚染防止法(PPA)
    • 法令概要
  • 緊急時対応とPRTR-緊急時対応計画及び地域住民の知る権利法 (EPCRA)
    • 地域の緊急時対応計画を作成するための報告
    • 施設での偶発的な有害物質放出の際の緊急時報告
    • 「地域住民の知る権利」報告
    • 有害物質排出インベントリー(TRI)
第3章

(63頁)
  •  米国の水に関する問題
    • 米国民の水の問題に関する認識
    • EPAの水質汚染に関する報告書
    • 水不足およびインフラ老朽化
  • 水質汚染防止に関する規制体系
  • 水質浄化法(CWA:Clean Water Act)
    • CWAとその規則の用語の定義
    • NPDES許可(法律§1342)
    • 直接排出
      • 浚渫・埋土
      • 原油流出と流出防止
    • 雨水排出
      • バイオソリッド (biosolid)
    • 前処理
    • 取水
  • CWAに基づく州ごとの水質基準(WQS:Water Quality Standards)
    • 参考:州ごとの水に関する法律
    • 付録
  • 安全飲料水法(SDWA)
    • 法令概要
    • 公共水道システム
    • 非一時利用の専用水道システム(NTNCWS:Non-transient non-community water system)
    • 第一種飲料水基準(National Primary Drinking Water Regulations)
    • 第二種飲料水基準(National Secondary Drinking Water Regulations )
    • 地下圧入規制
    • 地下圧入規制プログラム(UIC)
    • 地下水保護プログラム
    • 飲料水中の鉛
    • 水源地評価・保護プログラム
    • 州政府水道整備基金(State revolving loan funds)
第4章
大気
(35頁)
  • 大気汚染防止の現状と問題
  • 大気浄化法(CAA)とその規制体系の概要
  • 国家環境大気質基準(NAAQS)- 大気浄化法(CAA)
  • 新規固定排出源の排出性能基準(NSPS:New Source Performance Standards)-大気浄化法(CAA)
    • 規制概要-新規汚染源排出基準(NSPS)
  • 国家有害大気汚染物質排出基準(NESHAP)-大気浄化法(CAA)
    • 規制概要-国家有害大気汚染物質排出基準(NESHAP)
  • 新規排出源審査(NSR)-大気浄化法(CAA)
    • 規制概要-新規排出源審査(NSR)
  • 酸性雨規制-大気浄化法(CAA)
    • 規制概要-酸性雨規制
  • 許可プログラム-大気浄化法(CAA)
    • 規制概要-許可プログラム
  • その他の要件と罰則-大気浄化法(CAA)
  • 大気汚染規制に起ころうとしているドラスチックな変化
第5章
土壌
(40頁)
  •  米国の土壌汚染問題と法体系
    • 汚染土壌カテゴリー
    • 土壌汚染がもたらす影響
    • 土壌汚染の現状と傾向
    • 土壌汚染にかかわる環境法
  • 包括的環境対策補償責任法(スーパーファンド法)
    • 目的
    • 成立の背景と主な改正法
    • 特徴
    • スーパーファンドの資金源
    • データベース
    • 近年の取り組み
    • 法令概要
  • CERCLAと他の環境法とのかかわり
第6章
エネルギー政策・
気候変動対策
(25頁)
  •  エネルギー政策の現状
    • エネルギー政策の歴史と背景
    • エネルギー政策に関連する各種法規制の概要
  • 主要エネルギー関連規制・プログラム
  • 気候変動政策の現状
    • 気候変動政策の経緯と背景
    • 気候変動政策に関連する各種法規制の概要
  • 米国におけるエネルギー・気候変動政策の今後の動向と影響
第7章
労働安全衛生
(30頁)
  • 労働安全衛生の早わかり
  • 労働安全衛生の現状と問題
  • 労働安全衛生に関する規制体系
  • 化学物質管理の法的根拠
    • 法令概要
  • 危険物(引火性液体や高危険化学物質等)
    • 規制概要-引火性液体
    • 規制概要-高危険化学物質
  • 許容ばく露制限値(PELs)
  • 危険有害性周知規則(HCS/HazCom)
    • 危険有害性周知規則の構造
    • HCSの危険有害性分類
  • 州の管轄及び計画
  • 罰則
第8章
騒音、振動、臭気
(7頁)
  • 騒音 規制概要
    • 騒音規制法と製品騒音
    • 健康を脅かす水準と通常生活水準
    • 騒音と作業者ばく露
    • 各州の騒音規制
  • 振動規制、悪臭規制
第9章
廃棄物・リサイクル
(29頁)
  • 米国における廃棄物の排出および処理処分
    • 有害廃棄物
    • 一般廃棄物
  • 廃棄物に関する法体系(RCRA)
    • 基本情報
    • 資源保全回復法(RCRA)概要
    • “Solid Waste” の定義に関する注意事項
    • 固形廃棄物の定義
  • 非有害廃棄物(州または地域の固形廃棄物計画)
    • 廃棄物の分類
    • 非有害廃棄物の実施規則
  • 有害廃棄物規制に関する実施規則
    • 有害廃棄物の特定とリスト収載
    • 家庭廃棄物(household waste)
    • 有害廃棄物の排出者(Generator)
    • 排出者の遵守要件
    • 有害廃棄物の輸送者
    • 処理・保管・処分施設(TSDF)
    • 陸地処分(野積み)の制限
    • EPAの管理による許可プログラム:有害廃棄物許可プログラム
    • 州の有害廃棄物プログラム授権のための要件
    • ユニバーサル廃棄物
    • 混合廃棄物(mixed waste)
    • 罰則
    • 最新動向

価格・お申込み

製品名 米国環境法体系ガイド 工場編(2025年版)
発売・更新日 2021年9月15日
2025年9月25日更新
納品物 PDFファイル(全10章 A4判)
価格

分冊での提供にも対応いたします。

  • A. 全10章一括購入 300,000円(税別)
  • B. 章ごとに購入(必ず0章「総論」が付きます)
    • 1章「環境影響評価」50,000円(税別)
    • 2章「化学物質」 30,000円(税別)
    • 3章「水」70,000円(税別)
    • 4章「大気」60,000円(税別)
    • 5章「土壌」60,000円(税別)
    • 6章「エネルギー政策・気候変動対策」40,000円(税別)
    • 7章「労働安全衛生」 40,000円(税別)
    • 8章「騒音・振動・悪臭」 20,000円(税別)
    • 9章「廃棄物・リサイクル」 40,000円(税別)
連絡先
contact@envix.co.jp
03-5928-0180(担当:行徳、馬場、奥田、Adamson)