水ビジネス市場は、最大の環境市場

世界の水市場は今後、年間で何十兆円規模といわれるほどに大きなものになりつつある。拡大する大きな要因として、先ず水質汚染や水不足、上下水道施設の老朽化と漏洩事故多発、急激な都市化や人口増加に伴う水インフラ拡充の必要性、テロリズムなどに対するセキュリティー対策への高まる要求、経済成長に伴う快適性を求める富裕層の増大、などが挙げられる。

最近の米国の報告では既に敷設されている上下水道の老朽化が進み、それらの修理・保守に要する資金はそれぞれ21兆円強とされ合計で約43兆円に上ると推計されている。しかし、この資金需要に連邦政府は2兆円程度支出するにとどまり、とても十分なものではないといったのが実情である。

米国ではこれに加え、カリフォルニア州やアリゾナ州など経済成長性が高く年間降雨量の少ない温暖な気候の都市に人口が集中し、その結果慢性的な水不足はより深刻な問題となっており、今後、淡水化プラントの増設、下水再利用プロジェクトの推進、などに巨額の投資を必要としている。

一方、今まで水不足地域として名高かったオーストラリア、スペインなどの地中海沿岸諸国、中国の北京・天津地域に限らず、いまや地球温暖化の影響が増す中で、日本を含め世界のあらゆる地域や国で水問題は最大の環境問題、さらに国の生命線としてエネルギー問題を超えた優先的課題として捉えられ始めている。

「水は次代の石油である」

こうした認識は、2008年4月下旬にボストンで開催された投資家や環境団体らの全米規模のネットワークであるCERESの2008年総会で多くの専門家により示された。すなわち「水は次代の石油である――需要は増えるいっぽうなのに、供給には限りがある」との認識だ。彼らは「世界的な水危機」が、経済面、環境面、および健康面でビジネスやコミュニティにもたらすリスクは計り知れないと指摘している。

水ビジネス企業のビッグ4の特徴―本情報サービスが注目する点

Veolia、Suez、Siemens、GEという国際水大手は”ビッグ4”といえるだろう。RWEに代わってドイツの水産業を代表する Siemensと、米国の威信をかけて国際水市場で躍進するGEは、総合電機メーカーとしての総合力を活かして水分野での進境はここ数年特に著しい。これらビッグ4以外にも多くの企業が他分野から水市場に参入してきているが、これは、拡大する水市場が可能性を秘め魅力的だからにほかならない。

当社は単に大きいからとか、急成長しているからとか、いったことを主な根拠として特定の企業にスポットを当てるのではない。ビッグ4などの企業に注目して報じるのは、彼らの企業戦略や経営ビジョンに日本企業や日本の上下水道事業者、そして政策立案者にとって学ぶべき多くのことが存在しているからである。すなわち;

  1. 高い社会貢献の理念をもって、「水問題を抱え、しかも前近代的で保守的な市場である」異国の発展途上国や地域での地道で忍耐強い市場参入戦略
    ―自分たちが異国の市場で何のために何ができるのか長期ビジョンを示す意味がここにある。異文化を有し外国資本にセンシティブな海外市場への「配慮に満ちた」ソフトランディング・アプローチ、ビッグ4はこれを実践。
  2. 地域戦略及び製品戦略面で優れたM&A展開
    ―自社の短所を埋め合わせるための効果的なM&Aを巧みに実践。特に最先端技術の獲得に向けたM&Aは生命線。
  3. 水事業戦略と並行してエネルギー、廃棄物処理、通信、そして交通システムなどのインフラ事業への新規参入あるいは市場拡大を進める「マルチ・ユーティリティー戦略」
    ―GEは水市場参入に遅れを取ったがいまやその総合力を多分に活かせる最強のプレーヤーになりつつある。
  4. 国内及び海外各国における民営化事業への参入戦略
    (BOT、BOTなどの資金調達を含む大型プロジェクトの受注能力)
  5. 国や地域、あるいは国連の最新の水関連政策や法規の動向に呼応した市場戦略の展開

このようにM&Aが繰り返される背後には、次のような基本的ファクターが存在していることに変わりがない。

水事業の民営化の幕開けそして拡大

アジアやアフリカでの衛生環境の悪化や資金不足などを理由とした上下水道事業の民営化を発端に民営化市場が顕在化し、民間の水処理会社や浄化装置メーカーには、インフラ事業参入への門戸が大きく開かれた。その流れは、米国でも進み、日本でもその兆しが見られる。

水事業の民営化の世界的拡大

上下水道事業の民営化は、東南アジアや南米、アフリカといった発展途上国に限らず、欧州や米国でも100年以上を経過した上下水道施設の老朽化が進んだ結果、民営化の勢いが増しつつあり、これは世界的な傾向となりつつある。

先進的水企業の高度な浄化・運営管理技術への期待

有害化学物質や細菌類が多様化しそれらによる汚染が深刻化する都市部や産業地域では、水資源の不足や安全性への不安が高まり、より高度で効率的な浄化・運営管理技術を有する民間企業への期待が高まってきた。

水ビジネス市場の巨大性と高い成長性

米国では、水道のインフラの刷新・整備だけでも今後20年間で57兆円が必要と見られており、中国でも今後5ヶ年で 1000ヵ所の汚水処理場建設を計画し、それに数千億円が振り向けられている。特に、潜在民営化市場はまだその2%程度しか手がつけられておらず、今後の成長性が極めて大きい。

水インフラの優位性

水のインフラを制することはエンドユーザー(住民)を獲得することにつながり、それは廃棄物処理処分、電気・ガス供給などのサービスを提供する足がかりになるとともに、通信インフラの獲得を容易にする。Veoliaが米国TV通信サービス大手のSeagram社を2000年夏に1兆円で買収したのはその現われである。既にインターネットでの水の販売を始めている企業もあり、そこには市場の拡張性が存在する。

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