
日本、「労働安全衛生規則の一部を改正する省令」(熱中症対策の手順化と周知)を公布
日本で、2025年4月15日に、「労働安全衛生規則の一部を改正する省令」が公布された。本省令によって、労働安全衛生規則の「第3編 衛生基準 第5章 温度及び湿度」のなかに、「第612条の2 熱中症を生ずるおそれのある作業」が新たに追加された。その内容は、熱中症のおそれのある作業に関する条文の追加で、実施事項の要約は以下の通りである。この改正により、熱中症対策が義務化された。
- 熱中症を生ずるおそれのある作業に従事する者が熱中症の自覚症状を生じた疑いがあることを他の者が発見した場合にその旨の報告をさせる体制を整備する。
- 熱中症を生ずるおそれのある作業に従事するものに対して、報告体制を周知する。
- 熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ作業場ごとに熱中症の症状の悪化を防止するために以下のような手順を定める。
- 当該作業からの離脱
- 身体の冷却
- 必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせる。
- その他熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置
- 当該作業に従事する者に対し、措置の内容及びその実施に関する手順を周知させる。
改正労働安全衛生規則は、2025年6月1日に施行される。
対象となる作業
対象となる作業の条件は、「WBGT(暑さ指数)28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上、もしくは1日4時間以上の作業の実施」とされている。ただし、この条件を満たさない作業であっても、作業強度や着衣の状況等によっては、熱中症のリスクが高まるため、労働安全衛生規則に準じた対応の実施を通達で推奨する予定である。
*暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)とは人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、①湿度、②日射・輻射(ふくしゃ)などの周辺の熱環境、③気温の3つを取り入れた指標。日常生活に関する指針として、危険(31以上)、厳重警戒(28以上31未満)、警戒(25以上28未満)、注意(25未満)が日本生気象学会より公表されている。
関連URL
- 「労働安全衛生規則の一部を改正する省令」を公布する官報のURL
https://www.kanpo.go.jp/20250415/20250415h01445/20250415h014450002f.html - 「職場における熱中症対策の強化について」(厚生労働省パンフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/001476821.pdf
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