
ベトナム政令113/2017/ND-CPの解説コラム
ベトナムで、2017年10月9日、「化学品法の詳細と施行の手引きに関する政令113/2017/ND-CP号」(以下、本政令)が制定されました。本政令は「2007年化学品法」の詳細を規定し、またその施行を手引きするものであり、全7章、40条、6つの付属書から構成されます。
ベトナム領土内で化学品に関わる活動に関与する組織・個人が本政令の対象となり、その主な内容は以下の通りです。
- 化学品の製造・取引における安全確保のための一般要件
- 産業における条件付き製造・取引化学品;「産業における条件付き製造・取引化学品」を製造・取引するための適格証明書を発行する条件、書類、手順、手続き
- 工業前駆体の製造・取引条件;工業前駆体の輸出入許可書を発行する書類、手順、手続き
- 産業における製造・取引が制限される化学品;「産業における製造・取引が制限される化学品」の製造・取引許可書を発行する書類、手順、手続き
- 禁止化学品、有害化学品
- 化学品事故の防止と対応
- 有害化学品に関する活動拠点に対する安全区間
- 化学品の分類と安全性データシート(SDS)
- 化学品の登録、申告、化学品情報の提供v
- 化学品の安全トレーニング
また、本政令の付属書1~5では各種規制の対象となる化学品名が記載されております。
本政令の施行日は2017年11月25日となっており、施行後は、従来の「化学品法の詳細と施行の手引きに関する2008年10月7日付政令第108/2008/ND-CP号」および「政令第108/2008/ND-CP号を一部改正・補充する2011年4月8日政令第26/2011/ND-CP号」は無効となりますので、ベトナム国内で化学品を取り扱う企業の方々はご注意ください。
参考:政令113/2017/ND-CPの制定までの経緯
本政令113/2017/ND-CPは、従来の政令108/2008/ND-CP(およびその一部を改正する政令26/2011/ND-CP)に替わるものであり、その制定までの経緯は次の通りです
2016年 (具体的な日付は不明) |
商工省のホームページにて、「化学品法の詳細および施行を手引きする政令の改正案」が公開され、意見募集が実施された。当時の案は全8章、40条、6付属書から構成され、その内容は以下の通りである;
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2016年6月3日 | ベトナム商工省・化学品庁によって、ホーチミン市にて「化学品管理に関する法律文書を改正する草案への意見募集」と題したセミナーが開催された。 |
2016年8月12日 | ベトナム商工省・化学品庁によって、ハノイ市にて、政令108/2008/ND-CPの改正案に関するセミナーが開催された。同セミナーで商工省・化学品庁のLuu Hoang Ngoc副局長は、本改正の背景にある、以下の現状の課題を挙げた。
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2016年8月22日 | 商工省のホームページにて、「化学品法の詳細および施行を手引きする政令の改正案」が公開され、意見募集が実施された。当時の案は、全8章、39条、5つの付属書から成る。 |
2016年12月6日 | 商工省・化学品総局とJICAによる「ベトナムにおける化学品管理能力向上プロジェクト」の下でセミナーがハノイで開催された。本セミナーは、現在作成中の国家化学品リストに関する話題が中心であったが、政令108/2008/ND-CPの改正動向についても一部紹介された。 |
2017年7月10日 | 「化学品法の詳細と施行の手引きに関する政令案」がWTOに通知された。 |
2017年10月9日 | 正式に「化学品法の詳細と施行の手引きに関する政令113/2017/ND-CP号」として制定された。 |