カリフォルニア州、グリーンケミストリー法実施規則案の最終版を公表

 実施規則最終案の修正版が2010年11月16日に公表されました。
オリジナル版からの主な修正点は以下の通りです。(2010.11.25 updated)

  • 『責任主体』の定義を、消費者向け製品の製造者か小売業者のいずれか、に変更する。
  • 2015年末までは、『優先製品』は、(12歳以下の子どもを対象とする)子ども向け製品(電子機器が含まれる可能性あり)、パーソナルケア製品、および家庭用掃除用品の3カテゴリーに限定される。
  • DTSCが作成するリストは、化学物質については『懸念化学物質』リストのみ、製品は『優先製品』リストのみとなる。
  • Tier I代替策評価(AA)と届出の規定を削除し、『優先製品』に対してのみAAの実施を義務付ける。

 

 米国カリフォルニア州で2010年9月14日、いわゆる「2008年グリーンケミストリー法」の規定(※1)に基づき、消費者向け製品に含まれる懸念化学物質とその代替策を特定・審査する仕組みを作ることを目的とした実施規則案「Safer Consumer Products Alternatives:消費者向け製品のより安全な代替策」(※2)の最終版が公表されました。

(※1) 法案番号AB1879、Health and Safety Code §25252と§25253
(※2) California Code of RegulationのTitle 22のDivision 4.5にChapter 53を新たに追加

 カリフォルニア州環境保護局(Cal/EPA)の有毒物質規制局(DTSC)は、2011年1月までに実施規則を策定するよう定められており、2010年4月には規則案の骨子を、6月には規則案のドラフト版を公表し、パブリックコメントを実施していました。
 今回発表された規則案は、規則の制定のために、州法に則ってカリフォルニア州行政法局(OAL)に提出された正式な規則案となります。

 この規則案は、消費者向け製品に含まれる懸念化学物質を特定して、化学物質と製品の優先順位付けプロセスと、その代替策をレビューするプロセスを策定し、懸念物質への曝露を抑制したり、リスクのレベルを引き下げたりするには、どの方法が最適かを決定することを目的としています。
 また、この規則案には、代替策をレビューした後に、DTSCがとることのできる規制対応策の範囲も明示されています。

 この目的を実現するための仕組みは、おおまかに以下のような流れになっています。

  1. 対象:カリフォルニア州で取引されるすべての消費者向け製品、および特定のハザード特性を示し、それらの消費者向け製品に含まれることが合理的に見込まれるすべての化学物質
  2. 前項1.に該当する化学物質のなかから『検討対象化学物質』リストを作成<DTSC>
  3. 『検討対象化学物質』リストのなかから『優先化学物質』リストを作成<DTSC>
  4. この時点で『検討対象化学物質』か『優先化学物質』リストに掲載された物質を含む製品からその物質を取り除いたり、オリジナル製品をほかの製品で置き換えたりする場合は、DTSCへの届出を行うとともに、要件のゆるやかなTier I 代替策アセスメント(AA:Alternatives assessment)を実施<製品の責任主体>
  5. 『優先化学物質』を含む消費者向け製品のなかから『検討対象製品』リストを作成<DTSC>
  6. 『検討対象製品』リストのなかから『優先製品』リストを作成<DTSC>
  7. 『優先製品』としてリストアップされた製品のTier II AAの実施(AA作業計画とAA実施報告書の作成と提出も含む)<製品の責任主体>
  8. AAのレビューと規制対応策案の検討および提案<DTSC>
  9. 規制対応策案に対するコメント・プロセスを経て、最終的な規制対応策の実施<DTSC>

 代替策アセスメント(AA)の実施を義務付けられている『責任主体(responsible entity)』とは、最終版で初めて登場した用語で、製品ブランド名または商標の所有者やカリフォルニア州の製品輸入者、製品流通業者、製品を販売する小売業者、および製品に関してこれらの主体のひとつと契約に基づく合意を結ぶすべてのそのほかの者、と定義されています。

 責任主体には、DTSCへの情報提供要件も課せられていますが、DTSCは、こうした要件は、消費者向け製品に対して複数存在する責任主体の内、どれか一つの主体が満たしていればよい、としています。
 そして、多くの場合、規則の要件は、責任主体とは明確に定義されていない製造者、事業者団体などが、責任主体に代わって満たすことになるとDTSCは見込んでいます。

 いっぽう、最終的に実施される規制対応策には、消費者への製品情報の提供、使用済みとなった製品のスチュワードシップ・プログラムの策定、製品の販売禁止などがありますが、これらは、

  • (1)選定された代替策を用いて製造した製品
  • (2)代替策が選定されていない『優先製品』
  • (3)選定された代替策を用いた製品が開発され、流通するのを待つ間に、そのまま取引される『優先製品』

 に対して適用されます。
 この中に、『優先製品』を代替するはずの(1)が入っているのは、オリジナル製品よりは安全だというだけで、依然として人々の健康や環境にリスクをもたらす代替策しか見つからなかった、という可能性があるからです。選定された代替製品にそうしたリスクがない場合、規制対応策は要求されません。

 これと同様の”監視の目”は、製品中の懸念化学物質に早期に対応する場合のTier I AAにも光っています。Tier I は、Tier II に比べて要件が軽いため、責任主体が選定した早期対応代替策が依然として有害な影響を及ぼすといった”残念な代替”となってしまうことも十分予測されます。
 そうした”残念な代替”が見つかった場合、代替物質や代替製品が再度、優先順位付けプロセスの対象となる可能性があります。

 今回の規則案とともに発表されたスケジュールによると、パブリックコメントの受付は2010年11月1日で締め切られました。今後、DTSCは寄せられたコメントをレビュー、規則案の変更を検討し、最終規則をOALに提出するとともにDTSCのウェブサイトに掲載します。
 その最終規則をOALが検討して、規則の制定プロセスは2010年末までに完了する予定です。

 

 この規則案が現状のまま制定されると、カリフォルニア州で販売される消費者向け製品の製造者をはじめとするステークホルダーが大きな影響を受けることは必至です。
 また、この規則案で構築される仕組みが”グリーンケミストリー”の概念を用いた規制アプローチのひとつのモデルとなり、ほかの州や、場合によっては連邦レベルでの化学物質や消費者向け製品の規制に影響する可能性も十分にあると思われます。

-調査報告書(ブリーフレポート)のご案内-

 今回の規則案のパブリックコメントに関する公示に盛り込まれていた20ページほどの【規則案の概要】部分を全訳し、一部情報を追加して調査報告書を作成しました。カリフォルニア州で始まろうとしている新しい規制アプローチの基本情報として、ご参考になさってください。

  • タイトル:カリフォルニア州「グリーンケミストリー最終規則案」-概要と解説-
  • 納品物:Docファイル(MS Word)、A4版29ページ(表紙と目次を含む)
  • 価格:¥20,000(税別)
  • 発行:2010年11月11日

 ご注文は、http://www.envix.co.jp/info/contact.html または Tel:03-5928-0180 よりお願いいたします。

 また、2010年4月公表の規則案の骨子を基として、DTSCが作成したFAQ(よくある質問)をもとに、この内容を平易な言葉で概説した調査報告書「カリフォルニア州のグリーンケミストリー推進の取り組みとその動向」を2010年7月に発行しております。
 こちらの調査報告書では、新しい化学物質規制のアプローチとして”グリーンケミストリー”を推進してきたカリフォルニア州の取り組みや、同州のイニシアティブでまとめられた残りの政策勧告の実施状況なども、併せて報告しています。

  • タイトル:カリフォルニア州のグリーンケミストリー推進の取り組みとその動向
  • 納品物:Docファイル(MS Word)、A4版13ページ
  • 価格:¥12,000(税別)
  • 発行:2010年7月13日

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