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ドイツ水市場新戦略-ドイツ国策ブランド”German Water Partnership”の立ち上げ

ドイツ水市場新戦略、重大ニュース
ドイツが国家の総力を結集し急伸する国際水市場ニーズに対応
ドイツ国策ブランド”German Water Partnership”の立ち上げ

EnviX社、日本語版解説書を発売中!
―バラバラで非力な日本の水企業は、このままでは国際水市場で沈没

水市場は、環境市場というくくりだけではなく、さまざまなビジネス市場の中にあって世界のいたるところで確実に拡大し、しかも人間の福利・生命にとってかけがえの無い市場という点で、今後、地球上で最大の市場として一層注目されることは疑いないだろう。エネルギー市場以上に、国益や国民の生命・安全に直結する天然資源に係わる重要で大きなライフライン市場である。 現在、地球温暖化の影響もあってか、洪水が多発する一方で水不足はアフリカ、地中海沿岸地域、オーストラリア、中国、北米そして南米でも拡大し続けている。それは、産業革命以降の価値観にも大きな疑問を投げかける契機ともなっている。

自国の保守的市場で甘やかされてきたドイツと日本の水企業
それほどに重要な資源でありながら、その開発、利用、運営管理及び関連する技術開発などに係わる取組は国によって大きな開きがある。市場開発力、開発建設資金、利用技術、経営管理手法、高度技術、及び海外M&A能力などのファクターに目を向けて国際水市場を見るなら、これらの諸点で断然勝っているのはフランスであり、米国であろう。それに継ぐのはドイツ、英国、日本などとみられるが、フランスや米国勢の前で後者はあまりに非力である。特にドイツと日本は高い水関連技術を有し水市場分野で一定の規模を占めてはいるが、こと国際水市場では、大型プロジェクトのみならず潜在的市場での率先した総合的開発推進力は極めて脆弱である。国内でさえ、水事業の民営化への取組みが大きく遅れ、その結果、非効率の水道事業を抱える地方自治体の行政改革は一向に進まず赤字は増大し、そうこうしているうちにともにフランス勢のVeoliaや米国勢のGEなどに国内市場さえ奪われ始めているのである。一方で、技術先進国としての自負があだとなって、企業の技術力や資金力を過信していたばかりに、国内の諸資源を効果的に統合できず、国内外での大型プロジェクトや革新的プロジェクトへの対応ができず、結局のところ、手を付けやすい中小の保守的技術に依存した物件への関与に甘んじてきたといえる。

ドイツの水ビジネス、官民一丸となって国際水市場に進出へ
ドイツ政府も日本同様に、自国の水企業の技術力や資金力を過大に評価していたきらいがある。ドイツは、今までに国内電力大手のRWE社やEon社を国際水市場でも活躍しうるプレーヤーとして期待し支援してきたが、結果的には2社とも海外市場での経営力不足から撤退を余儀なくされてしまった。そこで図らずも、ドイツの最大重電メーカーであるSiemens社がドイツの代表格として、VeoliaやGEに追随しようとしているが、その差は縮まりそうにない。日本には、水ビジネスを手がける大手重電メーカーも装置メーカーもあるが、エンジニアリングや経営ノウハウまで含めた総合力から見て最大手重電メーカーでさえSiemensには敵わない。

ドイツ統一ブランド「German Water Partnership」の設立
このように世界の水市場が、開発途上国のみならず先進国でさえも拡大する中にあって、海外市場への進出が緩慢なドイツの水ビジネスセクターの取組みに業を煮やしたドイツ連邦政府は、2007年12月、自らが音頭をとって、国内水事業を一つの統一ブランドのもとに結集させ、国際水市場に本格的に進出することを狙いとして、”German Water Partnership”を2008年4月までに立ち上げることを表明した。そして、5月初めに公式にスタートさせ、5月5~9日に新ミュンヘン国際見本市会場で開かれる≪水・下水・廃棄物・リサイクル(IFAT)国際見本市≫に、統一ブランド”German Water Partnership”として参加する。
このドイツ政府の方針は、ドイツの水関連企業や組織は優れた技術、ノウハウをもちながら、企業規模は中小零細で国際競争力に欠け、相互の連携にとどまらず公的機関とのタイアップもうまくいっていなかったバラバラな状態を改革し≪統一ブランド方式による国外進出≫を本格化しようとする戦略である。この点について、マハニヒ環境次官は、「”German Water Partnership”は、外国からの問い合わせに対する窓口となると同時に、ターゲット市場の開拓にあたりドイツ企業間の協力のみならず、関係研究機関や連邦省庁との協調を促進するものである。発展途上国や中進国で上下水道を設置したり、効率的な経営の仕組みを構築する取り組みに、ドイツ企業や団体の関与を強めていきたい」と抱負を述べている。

「ドイツ統一ブランド国際水市場戦略」解説書の日本語版発行
エンヴィックス社は、ドイツ連邦政府が環境省の専門情報誌UMWELT(2月号)の中で解説した「German Water Partnership」戦略をいち早く日本の関係者に正確にお伝えすることを目的に、同戦略を日本語でまとめ3月18日に発行している。
このドイツの「ドイツ統一ブランド国際水市場戦略」は、現在、革新的な水行政のあり方について明確な方向性を全くといって示していない日本の中央政府や地方政府はもちろん、公的研究機関、水エンジニアリング企業、水装置産業、水プラントメーカーなどにとって、ドイツと同様に硬直化した日本の水ビジネスを改革し将来戦略を学び取る絶好のツールになるものと確信している。
エンヴィックス社が発行する「ドイツ統一ブランド国際水市場戦略」日本語版は5~6頁と簡潔なものであるが、その内容は意義深いものであり、現状では他に詳細を記したものがない中で、貴重な資料といえる。エンヴィックス社としては、5月に開催されるIFAT国際見本市でのドイツ連邦政府の展開も追跡取材するつもりであり、さらに弊社が2008年6月に主催する予定の「EnviX第3回世界水ビジネス動向セミナー」でも、ドイツの新たな戦略展開を組入れて世界水市場の最新動向を解説する。

製品名

「ドイツ統一ブランド国際水市場戦略」解説書
日本語版WORD A4判6頁

価格

¥15,750 (税込)

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